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友の移住と転職支援<4>

彼女なりの分析


> 業務連絡、今の状況を分析した。
仕事終わりにLINEを開くと、長いメッセージ。


・後輩が辞めた理由はわからない→考えてもわからない→どうしようもない
・上司→なんでそんな言い方するんだろう→面談してほしいとお願いした
・先輩→なんでいちいち言うんだろう→私はどんなとき注意する?→ミスに気付いた時、ミスしそうと気付いた時→もしかしてもっと大きなミスが起きないように気にかけてくれていた?→気にかけていてくれたのかも→でもたたみ掛けるように言われるのはきつい→私は他の人にしてないかな?→先輩はどんな気持ちでいっているのだろう→聞かなければわからん→別の親しい先輩に様子をきいてからにしよう

> なんで辞めたいのか、がわからなくなってきた

後輩が辞めたことで生まれた気持ち
上司との関係で生まれた気持ち
先輩に対して生まれた気持ち
それは全て違う事柄から生まれたもの。
モヤモヤした気持ちをほどくことで、それぞれに気がついた。

こういった気持ちが動機になって転職を考えるのもいいが、この場合彼女は、自分の意志で会社を辞めたと受け止めることが難しくなる。
いわゆる他責や後悔。

< 結局、応募したの?
> したよ、面接したところもある。
  でも志望動機聞かれて、「会社辞めたいから?」って言葉が浮かんで、
  なんか違う気がするって思ったんだよね。
  そこから、自分のこと考え始めた。

< で、どうするの?めっちゃ書いてたけど。
> 1回話してみて、それでも違和感あったら、今の会社とは縁がなかった 
  と思って辞める。今は気持ちが宙ぶらりんで、そうにもならない気持ち
  をどうにかしたいって思ってたけど、そもそも、どうにもならないと思
  い込んでるだけで、まだ何もしてなかった。
< そうかー
> そうねー

上司の思い、先輩の思い


彼女は上司と先輩それぞれと話した。1対1で、勇気を振り絞るほどではないけど、結構気合入ったという。

上司は彼女と後輩、先輩の関係を「仲がいい」と捉えていた。先輩の態度は、彼にとっては当たり前の光景。
これは時代背景が影響しているとわかり、そういうことかと感じた。
後輩からは慕われているように見えている。だからこそ、上司自身も突然の退職に実は見えてないところで何かあったのでは……と不安を感じていた。

先輩は彼女に「期待」していた。直下に配属された彼女に対し、惜しみなく支援をしているつもりで、彼女が感じたこと伝えると、「自分自身がそんな思いをさせていたとは」とショックを受けていた。
その姿をみて、「あ、この人めっちゃ一生懸命なんや」と彼女自身は感じたようだった。
後輩に対しては、もしかして自分のせいかも、と思ったらしい。彼女に対してと同じように、「期待」して「一生懸命サポートしよう」と接していた。

この話はあくまでも、彼女の捉え方。直接話をきいていない私に、真相はわからない。しかし、彼女の中で会社に対しての捉え方が変わったようだった。

> 意外と、人だった。
< 意外と、人?
> 上司でも不安になるんだなとか、わかってね。
  今までは「別の生き物で分かり合えない存在」と思ってたみたい。
< なるほどー
> そう思うと、私ももっと成長したくなってきた!
< おおお!

「異動することになったよー!」


数日後のその知らせに、私は電話のボタンをすぐに押す。
「どういうこと?」

早っ、と言いながら彼女が笑う。
「上司に、2人の話聞いたら、もっと仕事の幅を広げたくなった、って話したら、新しい部署の話をくれて…それが別支店で。○○市だよ。」
「えーーー移住!引っ越しや~」

「そうそう、久しぶりにね。でもさ、会社辞めないと挑戦できないと思ってたから、こんな選択肢もあったんだって思ったよ。」
「一歩踏み出した結果じゃない?」
「確かにね。話してなかったら、こうはいかなかった気がする。」


彼女の転職はここで終わった。


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