【最終回】いま知っておきたい「移住×転職」 U I Jターンで実現する自分らしい地方暮らし
▼バックナンバー
第1回:なんとなくからはじめるUIJターン/移住先の選び方
第2回:遠距離就活のススメ/満足度UPの「移住×転職」ノート
●後悔しない選択肢の広げ方
あなたが思う「いい仕事」ってなんでしょう。
給料が高い? 知名度がある? 上司に恵まれた? 楽に稼げる?
私が知りたいのは「あなたにとっての」いい仕事です。
「やりがいがある仕事です」
「では、あなたにとってのやりがいとは?」
私は自治体で相談員をしていますが、「移住×転職しようと思っていたけど、やっぱりやめた」と言う方を支持しています。自分と向き合った結果「しないことを決めた」覚悟。その後の人生でも、ご自身で選択したことであれば、後悔しないです。違和感があっても、せっかくここまでやったのだから、と気持ちを無視してやり遂げる。こちらのほうが不幸な選択。
では、どうやって後悔しないようにするのか。それは「これしかない」から「これもある(選択肢を増やし自分で選ぶ)」状態に変えること。
せっかくここまでやったからと執着したことや、親に言われたからと他責にしたことがありませんか?
「これしかない」と思い込む原因は、自分で決断できない・選択結果の責任を取りたくないという覚悟のなさです。だれかに、自分に忖度しないで生きましょう。
人に話すことも大切です。他の人の価値観に触れる機会をつくりましょう。
また、いま本当にそれが必要か、考える時間をもつことも大事です。人によって、置かれている状況や価値観は異なります。しかし、情報はそんなことお構いなしに、あなたの元に流れてきます。自分に必要なことを選べるように、時間をかけて自分と向きあっておくと、ピンチのとき「やっててよかった!」「自分エライ!」と言いたくなります。
そして現地に行ってみることも重要です。
インターネットなどで調べた情報と現地の状況が違うことは、よくある話です。どこかのだれかの話だけではなく、自分の目で確かめることで情報の精度がぐっと高まります。
これらのことを、仕事探し、家探しなど一つひとつの項目に対してしっかり行うことで、自分の選択の結果に対して「ちゃんと考えた」と納得感が生まれます。
●私の「移住×転職」を叶えた方法
最後は準備について。ここからは「移住×転職」の実践編です。
移住先や仕事、働き方について「どこで生きるのか、どのように生きるのか、どんな自分になっているか」を考えたうえで、実行していただく内容になります。
都会 → 田舎へ転職する場合、都会 → 都会よりも収入がより一層減少するケースがほとんどです。第2新卒世代や職種・経験、保有資格によっては収入が増える可能性もありますが、地方で相場以上の求人が出た場合、シビアな椅子取りゲームが待っています。
私が転職支援をするときまずは、①スケジュールを立てます。「いずれ」「いい求人が出れば」と言っているうちは行動しません。まず絶対の期日ではなく、「この日までにできたらいいなぁ」の期日を決めます。そこから逆算して、いつ何をするか、それが失敗したらどうするのか、などと月単位の動きをざっくり決めます。現職の繁忙期や長期休み、年末年始など、あらかじめわかっている情報を反映しましょう。
次に、②応募書類の志望動機以外の部分を完成させます。
先に書いておくのには理由があります。転職活動の準備段階で最も時間のかかる作業は、履歴書・職務経歴書作成ではないでしょうか? 過去の私の転職活動でも、朝見たハローワーク求人に、その日の昼休憩を利用して応募しようとしたところ、「応募者殺到で紹介状の発行をストップしました」ということがありました。遠地から地元のスピードに勝てるのか、と不安になりますよね。そこで得た教訓は「先にできる準備はやってしまう」です。
いつ求人情報が出てくるかわかりません。ゆえに、すべての求人情報との出合いはご縁だと思います。チャンスを手に入れるために、どんなアンテナを張るのか。
次に行うのは、③求人情報の収集。
自己分析した結果をもとに探します。ここで重要なのは「検索ワード」。まずは思いつく言葉で検索し、検索結果の求人情報を見比べ、共通で使われている言葉や表現を探します。次は、その共通の言葉や表現で検索。一つの検索ワードだと結果が多すぎる場合は、もう一つ、もう一つとワードを増やしていき、具体的に絞っていきましょう。
私の初めての転職活動は前半、散々なものでした。
当時京都府に住み、新卒で入社した会社を1年で退職。「小学生のころから憧れていたデザインの仕事がやっぱりしたいー!」と転職活動を開始しました。デザインといっても靴やカバン(とくに安価で大量生産されるもの)のデザインをしたかったのですが、さっぱり面接を通過しません。
挙句、「営業で採用したい」と言われること数社……思い切って、「どうやったらデザイナーになれますか!!!!」と面接官に尋ねました。
こんな若気の至りの塊、思い出しても恥ずかしいのですが、「おもしろい!」と丁寧に必要なスキルや仕事で使うソフトを教えてくれた方がいました。お聞きした内容から、このままでは絶対採用されないと自覚できたので、一度転職活動を中断。必要な技術をスクーリングし、「よし!」と後半戦の転職活動を再開したとき、気づいてしまったのです。
(応募したことのある企業ばかり……や!)
そう……前半戦で使っていた検索ワードでは、応募済みの企業しかヒットしなかったのです。
そこで、視点を変えました。私のなりたいデザイナーは、どんな仕事内容か。
ふと「工場」という言葉を思いつき、検索をしてみると……
●中国工場へ出張
●工場で現地スタッフへ○○の指導
などと書かれた、見たことのない求人情報にヒットしました。まさに私が考えていた、大量生産品のデザイナーの仕事でした。
すぐに応募したところ採用。(美大も専門も出てないデザイン未経験者です)
結果、初めての転職は京都 → 大阪への「移住×転職」になりました。
後日採用の理由を上司に尋ねたところ、「他に応募もないし…… 未経験とはいえ、持参してくれたポートフォリオから、すぐに作業できるレベルのスキルがあると判断した」とのこと。複雑な心境はあったものの、憧れていた仕事に即戦力と見込まれ採用されたことは、大きな自信になりました。
当時の私は20代半ばで、いまほど転職市場に詳しいわけではありませんでしたが、「デザイナー・デザイン」というワードを求人票に書かず、デザイナーを募集していたことに驚いていました。しかし実際に仕事をしてみると、マーケティングや材料の仕入れ、カタログの作成など、デザインを描く以外の仕事のほうが多く、「なるほど」といった感じです。
さて、応募したいと思う求人に出合ったならば、2番手・3番手の求人も探しましょう。
「移住×転職」の場合、住んでいる地域によって移動費の負担が大きくなります。選考すべてがWEB面接であれば、金銭的な負担は少なくてよいのですが、自分の意向だけではどうにもならないのが転職活動。
1泊2日ならば、昼+翌午前で面接2件。面接場所によっては3件も可能です。一度の移動に何社か受けることで、選考結果が出るタイミングをおおむねそろえることができます。他の企業の選考結果が出ていないのに内定どうするか、決断を迫られて……という状態を、できる限り防ぐ作戦です。
内定受諾となれば、最後に④入社日の調整ですよね。
私の経験では「移住×転職」の場合、引っ越しの有無を考慮して入社日を調整されるケースが多いです。退職 → 引っ越しで、内定受諾して約2~3か月程度後に移住完了&再就職。
一般的に3月など進学や異動の多い時期は、引っ越し代が高額な時期。注意が必要です。自治体によっては引っ越し代の補助や割引制度もあるかもしれませんので、問い合わせしてみましょう。(もちろん事前に調べられていたら◎です)
内定を受諾してからのスピード感は、思っている以上にあっという間です。住民票の移動など行政手続きや、引っ越し手配などの業者とのやり取り。できれば少しだけ有給を残して、この時期に使えるように備えておくと安心です。
もちろん、ステップはこれだけではありません。人によって、状況によって異なります。
社宅のある場合や、家賃補助を受けるために住む場所が限定されてしまったなど、後から計画を修正する方もいます。なるべく、もれなく、準備はしたいですね。
「移住×転職」は、あなたにとっての大きな転機になります。
家族やパートナーなどにとっても転機になります。一人で考えず思いの共有を。
また、将来のことは考えれば考えるほど、たくさんのことを求めてしまいます。しかし、求めるほどに一番譲れないはずだった条件が薄れていきます。
「どこで・どうやって生きるのか」
心から安心できて楽しめる場所を探しましょう。
著者プロフィール
山本 りお
福岡県在住
移住×転職コンサルタント/国家資格キャリアコンサルタント
大学卒業後、販売職として子供服メーカーに就職。デザイナー、事務職など、5回の移住と6回の転職で「パートから役員まで」さまざまな働き方を経験。北九州市への移住をきっかけに、現在は移住や転職経験を活かした自治体設置する「移住・就職相談窓口」に勤務。4年間でのべ約4,000件の面談を実施。20代~40代の方を中心に「移住×転職」活動をサポート中。
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