発達障害の人が「メタ認知」を鍛えるべき理由について当事者が解説する
こんにちは。りおです。
今回は、「発達障害のメタ認知」について書きました。メタ認知とは、僕のnoteを読んでくださる方は馴染みがあるかと思います。今回は改めて一つのテーマとして取り上げて記事を書きました。
メタ認知とは、感情対処や人間関係構築などに大きく関わり、生きるうえで非常に重要な能力です。メタ認知がないとストレスコントロールや対人関係などにおいて支障が生じ、結果として生きづらさの原因になってしまいます。
今回は、「メタ認知とは何か」というところから始まり、メタ認知の鍛え方まで、私の経験を含めながら解説します。ぜひ、最後までお読みください。
1.メタ認知とは
メタ認知とは、「自分の思考や感情について考え、自己観察する能力」です。つまり、自分がどのように考えているのか、どのような状態であるのかを意識することです。
「メタ(meta-)」とは「高次の〜」を指す接頭語であり、メタ認知は通常の認知よりも高次の活動や知識を意味する語です。
簡単にいえば、「自分の思考や感情を一つ上の次元から見つめる能力」のことです。
「『自分の認知』への認知」と表現されることもあります。
例えば、「自分はダメなやつだ」と考えた時に、「あ、また「自分はダメなやつだ」と考えた」と自分の思考に気づいたならば、その気づいた思考(「〜と考えた」の部分)がメタ認知によるものになります。
イメージとしては、自分が何かをしながら(考えながら)、常にもう一人の自分が斜め上から冷静に見ているような状態です。自分の思考・言動について、もう一人の自分が客観的な立場から、その思考・言動を把握している状態と言えます。
2.メタ認知は何に役立つか
メタ認知は自分の思考や感情や言動について客観的に把握することと上で説明しましたが、私たちはメタ認知があるおかげで下記のことが可能となります。
✔︎ 思考や感情のコントロール
自分の思考や感情を現在進行形でモニタリングし、必要に応じて調整する能力を高められます。例えば、「悪い自動思考」に気づけ、より適切な思考へと変えることができます。
✔︎ 注意力の監視
自分がどれだけ集中しているか、何に注意を向けるべきなのかを認識します。例えば、勉強中に他のことに気を取られれば、それに気づいて注意を再び勉強に向けられます。
✔︎ 自己評価
自分の強みや弱みを認識します。例えば、自己を正しく評価できればそれに合った改善方法を見つけ出し、レベルアップをすることができます。
✔︎ バイアスの認識
自分自身が思考や判断に潜在的なバイアスから影響を受けていることを認識することができます。例えば、他人に対して「あいつは○○なやつだから」という偏見を抱いていれば、それに気づくことができ、偏見を除いたニュートラルな態度で接することができます。
このように、メタ認知は「自己洞察」において非常に重要な役割を果たします。自己洞察があれば自己コントロール力が向上し、自分を思う通りに成長させることができます。
ちなみに、自己洞察が高い人ほど他人の気持ちを推測する能力が高いということが研究で明らかになっています。メタ認知は他者理解にも大きく関係するようです。
3.メタ認知が弱いとどうなるのか
1.なぜ発達障害の人はメタ認知が弱いのか
ここからは発達障害の人が抱える問題について見ていきましょう。まず、発達障害の人のメタ認知が弱い原因を説明します。複数の要因が複合的に絡み合っています。
✔︎ 刺激処理の異常
発達障害の人々は、刺激処理や情報の処理に異常がある場合があります。情報の過剰な処理や選択的な注意の困難があり、情報の取捨選択がうまくできないことがあります。メタ認知には、自分の注意を監視し、適切な情報にフォーカスする能力も含まれます。刺激処理の異常があると、メタ認知の遂行に支障をきたします。
✔︎ 認知機能の影響
発達障害の人々は、認知機能(認知プロセスを制御し、組織化・計画・問題解決などを行う能力)にも困難を抱えることがあります。メタ認知は認知機能の一部とされており、自己規制や注意の統制、計画的な思考といった能力が必要です。認知機能の影響により、メタ認知の発達が遅れることが考えられます。
✔︎ コミュニケーションの困難
発達障害の人々は、ソーシャルスキルやコミュニケーションの面で困難を抱えることがあります。メタ認知は、他人の思考や意図を読み取る能力や自己と他者の関係を理解する能力も含んでいます。コミュニケーションの困難があると、他人の思考や感情を正確に把握することが難しく、自己と他者の関係を適切に理解することも難しい場合があります。
2.メタ認知が弱いと何が起こるか
次にメタ認知が弱いと起こる問題や困難について見ていきます。いくつかリスト化しましたが、発達障害を抱える人の多くが日常的に感じる問題が多いかと思います。
✔︎ 制御と自己規制の困難
メタ認知が弱いと、自分の思考や感情、行動を適切に制御することが難しくなります。反芻思考に陥りやすく、また感情に飲み込まれ、ストレスを感じることが増えます。また衝動的な言動が増え、「空気が読めない」と評価されるリスクにつながります。
✔︎ 不注意
「自分がいま何に対して注意を向けているのか」がモニタリングできないことにより、集中力のなさや不注意が目立つようになります。一つのことに集中できず、ミスも増えるようです。
✔︎ 極端な思考(「べき」思考や白黒思考)
自分が抱いているバイアスを認知できずに、マイナス思考に陥りがちです。「あいつは自分のことを嫌っているに違いない」というような根拠の薄い思考を抱きやすくなります。また、「べき」思考や極端な思考を抱いていることも認知できず、その思考から抜け出すことが困難です。
✔︎ ソーシャルスキルの困難:
メタ認知は、他人の思考や感情を理解し、適切なソーシャルスキルを発揮する能力にも関連しています。メタ認知が弱いと、他人の視点や意図を理解することが難しくなり、ソーシャルスキルの発達に支障をきたす可能性があります。
✔︎ 問題解決と意思決定の困難:
メタ認知は、問題解決や意思決定においても重要です。メタ認知が弱いと、問題の本質を把握し、適切な解決策を見つけることが難しくなります。また、自分の意思決定プロセスや判断基準を客観的に評価することも難しくなるため、効果的な意思決定が困難になる可能性があります。
✔︎ 問題解決と意思決定の困難:
メタ認知は、問題解決や意思決定においても重要です。メタ認知が弱いと、問題の本質を把握し、適切な解決策を見つけることが難しくなります。また、自分の意思決定プロセスや判断基準を客観的に評価することも難しくなるため、効果的な意思決定が困難になる可能性があります。
✔︎ 反芻思考
メタ認知は反芻思考やモンキーマインドを止めるのに有効です。思考が次から次へと浮かんでいることに気づく必要がありますが、自分が反芻思考に陥っていることに気づくにはまさにメタ認知が必要です。メタ認知がないと反芻思考を止めることができず、脳疲労や自己否定の原因につながります。
代表的なものをいくつかあげました。
衝動性や不注意、極端な思考など、発達障害の人が抱える問題としてよく言われるものも実はメタ認知が大きく関係していることがわかります。逆に言えば、メタ認知を鍛えれば、発達障害の人が抱えがちな問題はある程度まで緩和することが可能です。
次は、この記事で最も大事なパートである、メタ認知の鍛え方について見ていきましょう。
4.メタ認知の鍛え方
✔︎ 瞑想
僕のnoteをご覧いただいている方は「何回目だよ!」とツッコミを入れたくなるくらい、毎回登場しますね。でも、それほど瞑想は大事です。
メタ認知は、脳の背外側前頭前野という部分が大きく関連しています。合理的に物事を考え、情動を抑制するなどの機能を司ってる、とても大事な部位です。瞑想をするとこの部位が鍛えられることが研究で明らかになっています。
瞑想の基礎的なやり方が「呼吸に集中する→雑念が浮かぶ→雑念に気づく」という行為の繰り返しです。そのため、瞑想自体がメタ認知向上に役立つことは想像に難くないはずです。
また、瞑想は共感力やストレス向上や注意・集中力向上、不安解消など良いことづくしです。これを機に実践して効果を実感してもらえればと思います。
はじめて瞑想にチャレンジされる方はこの書籍がおすすめです。
僕もこの書籍で基礎的なことを学び、5年以上継続しています。
✔︎ ジャーナリング
こちらも僕のnoteではお馴染みですね。
ジャーナリングとは頭に思い浮かんだことをそのまま紙やノートに書く作業のことです。「書く瞑想」とも呼ばれるように、思考をありのまま紙に書いていくことで自分の思考を客観視することができます。これを続けると、日常でも自分の思考や感情に気づきやすくなります。
おすすめは、寝る前の時間帯に10~15分間、紙に書き出すというやり方です。夜は朝と比較して思考がぐるぐるしがちなので、紙に書くことで発散できます。
ジャーナリングにはメンタルヘルス向上やストレス発散という効果もあります。
✔︎ 音読
音読も瞑想と同じように背外側前頭前野を鍛えられます。
やってみると実感できますが音読は脳がとても疲れる行為です。
「見る・話す・聞く・理解する」というマルチタスクを同時に行うため、脳全体の血流が増加します。神経可塑性により筋トレのように脳のあらゆる部位が鍛えられるのです。
疲れる分、音読後には脳がクリアになることを実感できるはずです。
✔︎ 新しいことをやってみる
新しいことをやってみることはメタ認知の向上に非常に役立ちます。
というのも、新しいことをやると心の動きが活発化するため、自分の心を読んだり思考・感情をモニタリングする能力をフル活用されるみたいです。
ジャーナリングや日記と併せてやってみると効果的です。
新しいことと言っても、初めて入るお店でご飯を食べたり、普段と異なる道を歩いたり、という些細なことで十分なようです。
確かに、これらの行為をやると脳が刺激される感じはしますよね。
このように、メタ認知を鍛えるにはとにかく自己洞察のメソッドを行うことが大事です。
自分に合いそうなものから取り入れてみてください。
手軽さで言えば、ジャーナリングや音読がおすすめです。
習慣化は難しいものの効果が大きいのは瞑想です。
5.さいごに
瞑想や音読は僕も習慣化していますが、メタ認知は鍛えられていることを大いに実感しています。
これらを始める前の僕は、感情に飲み込まれやすく常に不安を感じていました。また、自己を客観視できていなかったため、不用意な発言で場を凍らせてしまうことも多くありました。
メタ認知を鍛えた結果、感情対処も上手になり、衝動的で不用意な言動も大幅に減りました。自分の考えていることと周囲の考えていることのズレが減り、周囲との協働も楽になりました。
また、反芻思考の減少はまだ道半ばですが、反芻思考に陥っている自分に気づくことができるようになりました。「あ、いま反芻思考になっているな」と気づいてメタ的に見つめるだけでも、自分へのダメージを大幅に減らすことができます。
これだけでも、僕は以前に比べるとずっと生きやすくなった気がします。
発達障害で悩むみなさん、メタ認知を鍛えて、一緒に生きづらさを和らげていきましょう。
このように、僕のnoteでは「生きづらさ解消のためのヒント」を紹介しています。特に、僕の記事では自分の経験ベースで解説することに気をつけています。
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本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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