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何てこと!自宅が被災するなんて‼榎川氾濫の現場より-地元民の回想

広島は温暖な気候で、比較的天災の被害もない。
住みよい土地だ。
というのはもう過去の話。

最近はどうも自然災害に狙い撃ちされている感が否めない。


2018年7月。
西日本豪雨と名付けられた驚異的な豪雨災害から派生した、榎川氾濫。
自宅がまさにその氾濫場所のすぐ近くにあり、ダメージクリティカルヒットだった。
半年経って今更だけど、記憶が褪せてしまわない内に、備忘録も兼ねて書き記すことにする。

※思い出したまま書いているので、広島弁満載です。


川がね!氾濫したんよ!!

その日は暑い日で。
午後から撮影の仕事があった。
普段はもっとゆっくり家を出るけれど、暑いしクールダウンの時間も兼ねて、朝10時頃に家を出た。

バスか自転車かで悩んだ末、何となく自転車をチョイス。
暑かったけど。その日はなんだか自転車気分だった。


7月6日に降り出した記録的な雨により、中四国各地ですでに豪雨による被害が相次いでいて、ぼんやりとそのことを考えながら家を出た。
自転車に乗りながら、家のすぐ近くに流れている川に目線をやる。件の榎川だ。

あれ?水かさ減ってないじゃん。

その時点でちょっと不思議には思っていた。
けどまあ、あれだけ各地に甚大な被害を及ぼした歴史的な豪雨だったから、こんなものなのかな、とも思った。
そのうち引くよね、と。

その日は本当に雲一つない晴天だった。

「なんか気持ち悪いくらい晴れてんなー。逆に不気味だわ。」

第六感が働いたのだろうか??
本当に、そう思いながら自転車をこいでいた。


事務所について、あれやこれやとしている間に、スマホに不在着信が入っているのに気づく。
母親からだった。

当時私が住んでいた家は、古い実家を譲り受けたものだった。
築30年以上の年季の入った家。
そこに、猫2匹と一緒に住んでいた。

両親はそこから車で約10分ほどの場所に住んでいる。
よくウチに来ては、あれやこれやと世話を焼いてくれていた。
その日も両親がたまたまウチに来て、用事を済ませようとしていたようだった。


母に電話を掛け直す。
いつもより早く電話が取られる。

「母さん、何~?電話したよね?」
今日は電話を取るの珍しく早いじゃん。と思いながら、呑気に質問する私。


電話口から聞こえる息切れ。
ゼエゼエ…
母「…川がね!氾濫したんよ!!」

ん???

母「今、逃げようる!」

ん??んん???

私「どこの川の事?」

母「榎川よね!」

半ば叫び声。

母「車がだめになったー!(涙)」

えっ!どういうこと?どういうこと!?

母「父さんが、膝まで泥水に飲まれて…!一気に水があふれて…ゼエゼエ…今……大丈夫なんじゃけど…一緒に逃げよる…ゼエゼエ」


氾濫したと聞いても、私の頭の中には、じょろりと川から水がはみ出した映像しか想像できていない。
車がだめになった!?
逃げよる??
膝まで水に浸かった!?
どんな状況かさっぱりだった。
そもそも川の氾濫というのがどういう規模で起こるのかが想像できない。


あの榎川が。
普段はおとなしいあの榎川が。
確かに水かさは多めだったけど、溢れそうな感じでもなかったのに…。


ビックリしつつも状況がつかめず、とりあえず電話は良いから逃げろと伝えて、会話を終えた。


安否不明の猫と親

親からの電話を切った後、友達から着信が入った。

「ちょっとリナ!大丈夫!?」
緊迫した友達の声。
前置きもなく第一声にこれで、ビックリした。
友達は、大手ゼネコンで働いている。
こういった情報は早耳なのだろう。


私「えっ。大丈夫なんだけど、今市内におってさ。なんか川が氾濫したってさっき連絡が来て、、状況がつかめん」

友「やばいよ!ニュースやってるよ!リナんち、やばいよ!」
焦りすぎて語彙力が低下している友達の状態に、これはいよいよ大変なことなのだなと思った。

私「そういえばヘリコプターの音凄いね。外から聞こえる。これって…そうなん??」

友「そうよー!川氾濫してやばいけん!今市内におるんじゃね、無事で良かった」

私「でも父さんと母さんがどうやら府中におるみたい」

友「えっ!」

私「や、さっき電話で話して逃げよるみたいよ。大丈夫っぽいけど、そんなにやばいんじゃ。ちょっと帰ってみる。今から仕事だったけど、断るよ。私おらんでも回る案件じゃし」

友「だめだめ!危ないよ。ていうか、帰れんと思うよ…」


帰れないほどの状況というのはどういう事なのか。
私の事務所には、テレビがない。だからニュースが見れなかった。
混乱していたせいで、パソコンやスマホで速報を調べることにも思い至らなかった。

事務所のある広島市内中心部は、本当に良い天気で、平和そのもの。
自宅が川の氾濫で混乱に陥っているというのに、その混乱を想像できる素材が何もなかった。


その時ふと頭をよぎった。

えっ‥待って。
うちのにゃんこ達は大丈夫なん?

2匹いるうちの1匹は出入り自由にしていて、お散歩が大好き。
多分、この時間は外に出て遊んでいるはず…

もう1匹は家猫だけど、結構どんくさいドジっ子。
家の中に水が浸入していたら、もしかしたらもしかするかもしれない…


猫の事もあって、また、逃げていると電話をくれた両親の事も気になって、再度母親に電話をする。


つながらない。


父親に電話をする。


つながらない。


えっ‥‥。



<つづく>

サポートしていただけると泣いて喜びます!! よろしくお願いいたします。 起業して3年。 山あり谷ありで谷が深く、2018年は西日本豪雨で甚大な被害を受けました。 被害の穴埋めや、復興が遅れている地域の仲間を助ける為に使います。