#01 プロローグ 【マッチングアプリで出会ったモラハラ婚約者と別れた話】
こんな結婚観で生きてきた
昔から、「普通に結婚して、普通に子供を産んで、普通におばあちゃんになるんだろうなぁ…」という発想が私にはなかった。結婚や出産に漠然とした憧れがないのだ。「結婚」がしたいのではなく、好きな人がいれば、その人とは結婚したいと思った。相手ありきの願望。
そんな私を見かねた知人は、結婚と恋愛は別だとか、好きにこだわっていたら結婚はできないという話をしてくる。私にはこのお説教が「どうせ恋愛感情なんて消えるんだから、好きじゃなくても先に進むのが賢いやり方だよ。結婚したいんでしょ?」と聞こえてしまう。
そりゃあ、どんな人が相手でも長く付き合っていたら大なり小なり気持ちが離れることがあるだろう。でも、好きな人と結婚して、いずれ気持ちが落ち着くのと、気持ちのない相手と結婚するのとでは大違いで、後者の結婚生活がうまくいくとは思えない。
好きでもない人と同じ空間で暮らすのも、その人の食事を一生用意し続けるのも、セックスをするのもまっぴらごめんだ。それなら、一人でいたほうがよっぽど楽しい。
それに、私は別に少女漫画みたいなキラキラした大恋愛を求めているわけではない。私の言う好きは「ときめき」ではなく、「この人を幸せにしたい」「この人を大事にしたい」なのであって、これは一生涯の相手を決めるのに必要最低限の感情だと思う。
結婚したいからこの人としよう。
ではなく、この人が大好きで、幸せにしてあげたいから結婚したい。
そう思える人が見つからなければ、一人で楽しく生きればいいし、40目前になってやっと芽生えた出産願望は叶わなくても仕方ないと思っている。悲しいけれど。
30代に突入してから「一向に結婚したくならない私って人として何か欠落しているのかな?」と悩んだこともあったけど、この考えを素直に認めてからは少し生きやすくなった。仕方ない、これが私なんだから。
マッチングアプリをやってみた!
37歳になってコロナが大流行。外出頻度が激減して出会いの場がなくなり、唐突に「マッチングアプリをやってみよう!」と思った。
漠然とした結婚願望はないものの、出会いの場には片足をつっこんでおくようにしていた。何もせずに45歳未婚になるのと、恋愛を試みてうまくいかなかった45歳未婚になるのとでは、後悔の度合いが違うから。
アプリはすごく楽しかった。
プロフィール作成や異性との交流を通して、自分の内面にたくさんの発見があった。婚活って、自分の誇れるところを知り、恥ずかしいところも受け入れる作業なんだなぁ、なんて思ったりもした。人見知りしない性格が功を奏して、相手を知るのも苦じゃなかった。
でも、いつまで経っても素を出してくれない男性や、趣味や好きな食べ物などの上っ面な情報交換しかしたがらない男性に飽き飽きしてきてしまい、交際に繋がる手応えはないまま一年が過ぎた。
「一度やめようっと。惰性で良縁はやって来ないし」
始めたのが唐突なら、やめるのも唐突。まさに退会ページに進もうとしたそのとき、私の足あとを辿ってイイネしてくれた男性がいた。それがモラハラ婚約者くんだった。
おことわり
このシリーズは、彼への未練によるものでも、彼への恨み辛みをぶつけるために生まれたものでもありません。最低最悪な結末を迎えたものの、私にとって大切な恋愛であり、大事件すぎるネタだったのでw、人生の記録として事実を淡々と記すものです。
楽しかった思い出は慈しみ、心に刻まれたトラウマは文字にすることで浄化したい。
なお、大人の発達障害に関する表現が登場しますが、それを否定する気持ちは一切ありません。
りん