打ち寄せる波の音、穏やかな涼しい風、砂の香り。夕日が沈みかけ、海を照らしている。1本の木の下で、私は目を覚ました。 「うう…、眩しい。ここは…、海?」 「あれ?…
今日、最初のお客様は20代後半の男性である。 男性がお店に入るなり、胸がぞくっとした。顔ははっきりと違う。でも雰囲気がそっくりなのだ。 あの大好きな彼に…。 …
蒸し暑い毎日だけど、最近はずいぶんと快適に過ごせている。私は海音くんを失ってから、”色々”あって、一風変わったお店を始めた。 ビルの狭間にあるお店”Fortune”…
のどかな5月1日。私は今日で29歳になった。私の隣にいる彼、海音かいとくん。今日は私が病み上がりだったため、家でお祝いすることにしたのだった。海音くんは、「すず、お…
「んん…。」 「ん、ん…、ここは、どこ?」 カイの歌声で眠っていた私が目を覚ますと、どこかのお家にいるようだった。隣には、カイが寝ている。ということは、ここは…
広大な光の空間。心地が良い。ずっと、ここに居たいな…。 …ズ、スズ、スズ! 「…んん…。」 「スズ起きてってばー!」 小人たちが、私を懸命に起こす。 「…ん…
月変化/Tsukihenge
2024年5月8日 15:09
打ち寄せる波の音、穏やかな涼しい風、砂の香り。夕日が沈みかけ、海を照らしている。1本の木の下で、私は目を覚ました。「うう…、眩しい。ここは…、海?」「あれ?藤井さん?」 藤井さんがいない。驚いて勢いよく立ち上がる。「痛っ…!」 砂の上に、右腕を下にして大きく倒れ込んだ。傷口には少量の血が滲んでいる。と同時に、重要なことに気がついた。 足がない…。 私の足は、まるで人
2024年5月4日 23:48
今日、最初のお客様は20代後半の男性である。 男性がお店に入るなり、胸がぞくっとした。顔ははっきりと違う。でも雰囲気がそっくりなのだ。 あの大好きな彼に…。 健康的な、少し筋肉質で細身で高身長で…。 サラサラな髪に少し焼けた肌。 「8時50分に予約していた藤井です。今日はよろしくお願いします。」 ああ、この声だ。懐かしい…。温かくて心地いい。思わず涙が溢れそうになった。 どうし
2024年5月4日 23:47
蒸し暑い毎日だけど、最近はずいぶんと快適に過ごせている。私は海音くんを失ってから、”色々”あって、一風変わったお店を始めた。 ビルの狭間にあるお店”Fortune”。 ここを開いて3年目、私はもう40歳になる。あれから10年が経ったけれど、心の中にぽっかり空いた穴はまだ完全に埋まらない。 「もうそろそろ先生は40歳ですね〜。少し早いですけど今日は珍しくお客さんが少ないんで、先生の誕生日
2024年5月4日 23:45
のどかな5月1日。私は今日で29歳になった。私の隣にいる彼、海音かいとくん。今日は私が病み上がりだったため、家でお祝いすることにしたのだった。海音くんは、「すず、お誕生日おめでとう。」と言って、2人には大きすぎるケーキとオシャレで小さな箱を渡した。 「プレゼントの中、見てみて。」 彼は瞳を輝かせながら言った。 私の前では飼い主をずっと待っていた子犬のようになるのだ。そんな彼も職場では、ク
2024年5月4日 23:38
「んん…。」「ん、ん…、ここは、どこ?」 カイの歌声で眠っていた私が目を覚ますと、どこかのお家にいるようだった。隣には、カイが寝ている。ということは、ここはカイのお家?「ん、ん、おはよ。スズ、よく寝ていたね。」「カイのお家に連れてきてくれたの?」「うん、スズの家の中、小人たちが騒がしくて…。」 確かに、小人たちと暮らすのは楽しいけれど、熟睡が難しい。「スズ、しばらくはここ
2024年5月4日 23:34
広大な光の空間。心地が良い。ずっと、ここに居たいな…。 …ズ、スズ、スズ!「…んん…。」「スズ起きてってばー!」小人たちが、私を懸命に起こす。「…ん、ん。」「スズったら、本当に起きない!もー!スズのために、おいしい食材もらってきたのにー!」「ん…、分かった、ありがとう、…おはよう。」まだ眠たい…。「やっと起きた!朝ご飯、全部食べちゃうからね!」小人たちは勢いよく