月変化/Tsukihenge

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小説を書くこと、創作することが好きです☺︎ 主に”小説家になろう”で公開しています💭 https://ncode.syosetu.com/n9661ip/

最近の記事

⑥再生少女”Death”(連載恋愛小説)眠る人魚

打ち寄せる波の音、穏やかな涼しい風、砂の香り。夕日が沈みかけ、海を照らしている。1本の木の下で、私は目を覚ました。 「うう…、眩しい。ここは…、海?」 「あれ?藤井さん?」   藤井さんがいない。驚いて勢いよく立ち上がる。 「痛っ…!」  砂の上に、右腕を下にして大きく倒れ込んだ。傷口には少量の血が滲んでいる。 と同時に、重要なことに気がついた。  足がない…。  私の足は、まるで人魚のように1つのヒレとして繋がっていた。人魚の存在なんて、御伽話の中だけだと思っ

    • ⑤再生少女”Death”(連載恋愛小説)Fortuneの奇跡

      今日、最初のお客様は20代後半の男性である。  男性がお店に入るなり、胸がぞくっとした。顔ははっきりと違う。でも雰囲気がそっくりなのだ。  あの大好きな彼に…。  健康的な、少し筋肉質で細身で高身長で…。  サラサラな髪に少し焼けた肌。  「8時50分に予約していた藤井です。今日はよろしくお願いします。」  ああ、この声だ。懐かしい…。温かくて心地いい。思わず涙が溢れそうになった。  どうしてこんなにもそっくりなの?  「どうかしましたか。」  「すみません、では…

      • ④再生少女”Death”(連載恋愛小説)カルマを抱えたお客様

         蒸し暑い毎日だけど、最近はずいぶんと快適に過ごせている。私は海音くんを失ってから、”色々”あって、一風変わったお店を始めた。  ビルの狭間にあるお店”Fortune”。  ここを開いて3年目、私はもう40歳になる。あれから10年が経ったけれど、心の中にぽっかり空いた穴はまだ完全に埋まらない。  「もうそろそろ先生は40歳ですね〜。少し早いですけど今日は珍しくお客さんが少ないんで、先生の誕生日パーティーしません?」  そう言ったのは、”Fortune”で経理を担当してい

        • ③再生少女”Death”(連載恋愛小説)運命の結婚式前夜

          のどかな5月1日。私は今日で29歳になった。私の隣にいる彼、海音かいとくん。今日は私が病み上がりだったため、家でお祝いすることにしたのだった。海音くんは、「すず、お誕生日おめでとう。」と言って、2人には大きすぎるケーキとオシャレで小さな箱を渡した。  「プレゼントの中、見てみて。」  彼は瞳を輝かせながら言った。  私の前では飼い主をずっと待っていた子犬のようになるのだ。そんな彼も職場では、クールで有名らしい。海音くんは、潤んだ茶色く青みがかった瞳で私を見つめる。  本

        ⑥再生少女”Death”(連載恋愛小説)眠る人魚

          ②再生少女”Death”(連載恋愛小説)はじまり後編

          「んん…。」 「ん、ん…、ここは、どこ?」  カイの歌声で眠っていた私が目を覚ますと、どこかのお家にいるようだった。隣には、カイが寝ている。ということは、ここはカイのお家? 「ん、ん、おはよ。スズ、よく寝ていたね。」 「カイのお家に連れてきてくれたの?」 「うん、スズの家の中、小人たちが騒がしくて…。」  確かに、小人たちと暮らすのは楽しいけれど、熟睡が難しい。 「スズ、しばらくはここに居るといいよ。好きに休んで。…寧ろ、俺は居てくれると嬉しいから。」  顔を背

          ②再生少女”Death”(連載恋愛小説)はじまり後編

          ①再生少女”Death”(連載恋愛小説)はじまり前編

           広大な光の空間。心地が良い。ずっと、ここに居たいな…。  …ズ、スズ、スズ! 「…んん…。」 「スズ起きてってばー!」 小人たちが、私を懸命に起こす。 「…ん、ん。」 「スズったら、本当に起きない!もー!スズのために、おいしい食材もらってきたのにー!」 「ん…、分かった、ありがとう、…おはよう。」 まだ眠たい…。 「やっと起きた!朝ご飯、全部食べちゃうからね!」 小人たちは勢いよく走っていく。  みんな朝から元気だなぁ。  私の家は穏やかな森の中にある。木

          ①再生少女”Death”(連載恋愛小説)はじまり前編