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#オリジナル小説

不透明な愛

不透明な愛

あなたがくれる

濁った水の中でも生きていけるようになったのは

いいえ…濁った水の中でしか、

生きられなくなってしまったのは

いつからだろう。

こんなはずじゃなかったと思う反面、

この現状に幸せを感じている自分がいる。

綺麗な恋愛に憧れたあの頃の私は

とうの昔に置いてきた。

あなたといる今が、この空間が

何よりも大切で、何よりも好きだから

誰かに邪魔されるなんて考えられなかった

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Wonder

Wonder

一面深緑の世界に降る色とりどりの雨。

白や黄色、ピンクに青…

いつもどこかで雨が降り、世界を彩っている。

土砂降りの日もあるけど、ほとんど毎日霧雨。

だけど1年に3回くらい、全く雨の降らない

いわゆる乾季がやってくる。

いつもは賑やかな外の世界が

しんと静まり返り、少し寂しい気持ちになる。

雨季は、毎日雨続きで嫌だし

乾季は、私の楽しみが奪われてしまうから嫌。

…私の楽しみ、知

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Like a Sugar

Like a Sugar

気がつけば、俺の頭の中を支配していて

気がつけば、お互いに求め合っていて。

それなのに君が振り向くことなんて、

奇跡に等しい。

「俺のことは遊び、なんだろ?」

きっといつもみたいに、素っ気ない言葉が

返ってくるだろうと思っていた。

「…そう思うんだったら、

 私を本気にさせてみてよ。」

何かが違う、夜が始まった。

部屋に響く君の甘い吐息。

唾液の交わる感覚が身体中を駆け巡る。

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チョコレート事件

チョコレート事件

世の中がバレンタインだと浮かれていた中、
私たちの学校は絶賛テスト期間。

最終学年への進級がかかった大事な
学年末テスト。
チョコだのなんだの言ってる場合じゃないよ。

そして無事テストが終わり、
遅めのバレンタインが学校に訪れた。

昼休みはみんなでお菓子パーティーだし、
放課後はテストが終わった開放感で
遊びに行く人がいっぱい。

私? 私は、お菓子パーティーはするけど
真っ直ぐ帰宅組。

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