りはたろう

整形外科クリニックの理学療法士です。 楽しみながら、ゆったり学習しています。 主に論文や臨床での経験を投稿致します。 基本的に無料で、簡単な投稿をする予定です。 記事内容についての詳細や、論文情報、臨床の相談事等ありましたら、気軽にコメント下さい。 一緒に楽しく学びましょう。

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最近の記事

胸郭出口症候群 TOS

胸郭出口症候群の中にも分類があるのは、セラピストのみなさんご存知でしょうか? おおまかな分類として、まず3つに分けることが出来ます。 神経性TOS  (NTOS) 静脈性TOS (VTOS) 動脈性TOS (ATOS)です。 そのうちNTOSが90%以上、VTOS5%、ATOS1%といわれています。 それぞれ病態が異なりますので、評価による鑑別が必要になります。 簡単に説明すると、 まず、VTOSは鎖骨下静脈が問題となるので、チアノーゼや腕の腫脹が現れます。鎖骨下静脈

    • 大腿神経伸張テスト

      以前に坐骨神経の伸張テストであるSLUMPテストについての記事を書きましたが、今回は大腿神経の伸張テストについてまとめていきます まず神経を評価する際は、支配領域の筋力、感覚、反射をセットで評価することが大事であることは言うまでもありません。 追加で、神経の長さを変化させた時の症状を見ることで神経障害かどうかの鑑別精度が格段に向上します。 例えば大腿前面の痛みを訴える患者さんがいたとします。 その痛みの原因が、筋なのか、神経なのかを評価する必要があります 大腿神経は股関

      • slump テスト 神経の評価

        皆さんスランプテストはご存知でしょうか? 腰痛患者を見る上では外せない神経テストの1つです。 今日はスランプテストについて解説していきます スランプテストは特に坐骨神経の伸張性を見るために使われます 以下に手順を示します ①まず患者のベッドの端に座らせます ②患者の手を、背中の後ろに組ませ、頭頸部を屈曲位に保持します。 (腰椎は中間位で保持する) ③股関節を屈曲、足関節背屈させ、膝を症状が出る位置まで伸展していきます。 (坐骨神経の伸張) ④ここで屈曲位に保持し

        • 心因性腰痛の評価 STarT Back screening tool

          腰痛はなかなか複雑なもので、椎間板ヘルニア、椎間関節、筋が原因のものもあれば、いわゆる非特異的腰痛といった原因がはっきりとわからないものが85%を占めていると言われています 疼痛の定義は2020年に41年ぶりに改訂され、 「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」 とされており、組織損傷がなくとも起こりうる痛みの存在を明確にしています。 もちろん非特異的腰痛=心因性と言いたいわけではありません。近年、医療

          中枢性感作とリハビリ

          痛みについて考える上で最近注目されている言葉として、中枢性感作があります。みなさんご存知でしょうか? 感作とは、痛みを強めてしまう体のしくみの事を言い、定義としては、『通常の痛み入力に対する侵害受容神経の反応性の増強.または閾値以下の入力に対する反応性の形成』とされています。 末梢性感作と中枢性感作に分けられますが、今回は中枢性感作についてお話しいたします。 中枢性感作とは?簡単に説明すると、痛みの信号が中枢神経(脳、脊髄)で過剰に高まり、一般的に感じる痛みよりも、より

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          中枢性感作とリハビリ

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          股関節外転機能の改善に最適なトレーニングとは?

          股関節の運動機能障害は様々な筋骨格系障害に関連しています。 例を挙げると,膝蓋大腿関節障害、ACL障害、腸脛靱帯炎、腰痛、股関節障害など,股関節だけでなく腰,膝といった隣接する関節に負担を与えます。 このように股関節障害と下肢障害の関連性に基づいて、股関節筋強化のリハビリテーションの注目が高まっています。 では股関節といってもどの筋肉にフォーカスして筋力強化を行なっていけば良いのでしょうか? いくつかの報告では膝蓋大腿痛のある患者は、機能的作業の際に、股関節外転、外旋、

          股関節外転機能の改善に最適なトレーニングとは?

          痛ければ、もっと運動をしなさい!?

          痛みがあると、安静にしなければならない、運動はしないほうがいいと思うのが一般的です。そして慢性的な痛みの悪循環を繰り返すことになります。 運動は慢性痛を軽減することが可能と言われていますが、そのメカニズムはあまり確立されていません。では、この論文に関して紹介します。 この論文では、慢性痛における運動効果を調べた15つの膨大な研究データをさらにまとめています。(メタアナリシス) その結果ですが、運動すること(筋力訓練)が、痛みを感じる閾値の増加に繋がることを示しています。つ

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          ジュニアアスリートの怪我の原因はテレビゲームだった!?

          ジュニアアスリートとテレビゲームに関する面白い論文がありましたので紹介させて頂きます。 方法 宮城アマチュアスポーツ協会に所属するジュニアアスリート6143人(6〜15才)にアンケート調査を実施。 結果 ・筋骨格系の痛みの有病率は25.5%だった。 ・テレビゲームを一日3時間以上プレイする群は、1時間以下の群と比較して痛みの発生と有意に関連があった(オッズ比1.39、95%信頼区間1.12−1.73) ・テレビの視聴とは相関がなかった いかがでしょうか。 まず、

          ジュニアアスリートの怪我の原因はテレビゲームだった!?

          腰椎椎間板ヘルニアの脱出方向による分類

          ヘルニアの分類には程度の分類と脱出方向の分類がありますが,今回は脱出方向の分類についてまとめていきます。 分類 ①central type/medial type:脊柱管内の正中に脱出したもの ②posteolateral type/mediolateral type :脊柱管内の外側に脱出したもの③intraforaminal type:椎間孔内に脱出したもの ④extraforaminal type/far lateral type:椎間孔のさらに外側に脱出したもの

          腰椎椎間板ヘルニアの脱出方向による分類

          腱板損傷 棘上筋は鍛えてはだめですか?

          腱板損傷の原因にインピンジメント症候群があります。 三角筋の収縮により、骨頭が上方移動し、間にある腱板が肩峰下に衝突することで損傷を起こします。 拘縮によるObligate translationもインピンジメントを起こす原因となりますが、腱板機能低下が起きるとさらにインピンジメント症候群が起こりやすくなり悪循環に繋がる恐れがあります。 腱板筋の役割は、骨頭を関節窩に引きつけることであり、その腱板筋を鍛えることで、腱板筋の機能残存、さらなる障害の予防が可能になるとされてい

          腱板損傷 棘上筋は鍛えてはだめですか?

          腱板機能低下に関係する神経障害

          腱板損傷の治療を行うとき、超音波エコーなどの画像上の損傷は軽度でも、思ったより腱板機能訓練の効果が得られないことはないでしょうか? そんな時は、神経障害が隠れているかもしれません。 筋力を改善するには、筋力訓練が必要です。ただし、筋を支配する神経に障害があれば、効果は得られません。当たり前ではありますが、ここを見逃してしまうことが多いのが現状です。今日はこの問題に関してお話ししていきます。 まず腱板筋(rotator cuff)の確認から。 棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲

          腱板機能低下に関係する神経障害

          橈骨遠位端骨折後に頻発する長母指伸筋腱断裂

          橈骨遠位端骨折は転倒による代表的な骨折のひとつですが、その合併症として長母指伸筋腱断裂(EPL断裂)があります。今日はEPL断裂についてお話ししていきます。 骨折後の、発生頻度としては、0.8〜4.9%で、 受傷後数週間以内に転位の少ない骨折に多く発症すると言われています 転位が多い骨折より少ない骨折に多く発症するのは意外ではありますが、なぜでしょうか? 理由としては、 といったことが有力かと思います。 発生機序としては ・背側皮質のsharp edge ・リス

          橈骨遠位端骨折後に頻発する長母指伸筋腱断裂

          凍結肩 frozen shoulderに対するリハビリ

          今回は臨床で最もよく見られる病態の一つである凍結肩についてお話ししていきます。 まず凍結肩という用語ですが、他に似たような用語が混在しており、 痛みや筋力低下を呈する他の肩障害とひとまとめになってしまいがちです。 実際はこれらの障害を、個別に診断し治療をする必要があります。 理由としては ・用語が不正確であり誤用される(凍結肩、癒着性滑液包炎、関節包炎など) ・明確に定義された診断基準に欠けている    があげられます。 そこでこの論文では、いくつかのサブグループに分類

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          Double Crush Syndrome

          https://journals.lww.com/jaaos/fulltext/2015/09000/double_crush_syndrome.5.asp Double Crush Syndrome(以下DCS)では末梢神経の経路に沿った2つ以上の場所での神経圧迫が起きます。 末梢神経障害の病態生理学は複雑で、様々な議論がなされています。 その中で、最も受け入れられている原則は、1箇所での神経障害があると、さらに神経を損傷しやすい状態になるといったことです 一般的にD

          Double Crush Syndrome

          dorsal root ganglia  

          梨状筋症候群、手根管症候群などの絞扼性神経障害では、絞扼を受けた神経領域とは別の領域の痛みを感じることがあります。 dorsal root ganglia(後根神経節、背根神経節)(以下DRG)という言葉を聞いたことがあるでしょうか? ここには数千の神経細胞体が存在していると言われています。 今回、絞扼性神経障害でよく見られる、損傷部位とは違う領域での関連痛の出現 その謎にせまる文献について紹介させていただきます 方法: ラットの大腿部にチューブを配置し、坐骨神経を12

          dorsal root ganglia  

          むち打ち損傷後の頭痛

          むち打ち損傷後に頭痛に悩む患者さんをよく拝見します。 画像上では何も問題がないと言われてしまうことが多く、とても悩んでいる方が多いので、少しでも助けになることができればと思っています。 頸部や頭部の硬膜は、神経支配を受けていることから、硬膜が頭痛の原因となることがあります。(Bogduk 1986)硬膜性頭痛には、硬膜に分布する三叉神経の関与が考えられています。 激しい損傷がある場合、神経系の損傷は避けられません。制御できない外力により、頸椎だけでなく、体全体の神経系に急

          むち打ち損傷後の頭痛