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むち打ち損傷後の頭痛

むち打ち損傷後に頭痛に悩む患者さんをよく拝見します。
画像上では何も問題がないと言われてしまうことが多く、とても悩んでいる方が多いので、少しでも助けになることができればと思っています。

頸部や頭部の硬膜は、神経支配を受けていることから、硬膜が頭痛の原因となることがあります。(Bogduk 1986)硬膜性頭痛には、硬膜に分布する三叉神経の関与が考えられています。

激しい損傷がある場合、神経系の損傷は避けられません。制御できない外力により、頸椎だけでなく、体全体の神経系に急激な動きと伸張ストレスが引き起こされます。
直接的に神経または脈管系が損傷することもあれば、他の筋、関節といった非神経組織の損傷による出血や浮腫によって関節的に神経が損傷することも考えられます。

硬膜性頭痛の症状としては、
・デルマトームと一致しない痛み (例えば、痛みの帽子を被ったような感じ、締め付けられる痛みなど)
・左右交互に現れる、両側性に現れる (片頭痛とは違う)
神経を伸張されるような動きで引き起こされる (ベッドで長座位で座る)
・相対神経伸張の存在を示していると思われるパターンがある (つまり、他の神経領域の症状がある)

これらから、神経系の問題が大きく関与していることが伺えます。同時に、今まで為す術なしであった頭痛に関して、何かアプローチする方法があるのではないかと考えます。
そのためには、まず、神経系をしっかりと評価すること
特に上肢や下肢の神経を伸張した際に、頭痛が誘発されるかを見ることは重要だと思います。これで頭痛の誘発があれば神経系の関与を疑うので、神経モビライゼーションなどで治療の効果が得られる可能性があります。

ただし非常に繊細な部分ではあるため、評価治療には十分に注意を払い、患者さんを決して悪化させないリスク管理が最優先です。そのために知識、技術をしっかりと身に付け、少しでも皆さんの力になれればと思います。
見ていただきありがとうございました。

参考文献:
バトラー・神経系モビライゼーション
David S.Butler,2000,三秀舎

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