凍結肩 frozen shoulderに対するリハビリ
今回は臨床で最もよく見られる病態の一つである凍結肩についてお話ししていきます。
まず凍結肩という用語ですが、他に似たような用語が混在しており、
痛みや筋力低下を呈する他の肩障害とひとまとめになってしまいがちです。
実際はこれらの障害を、個別に診断し治療をする必要があります。
理由としては
・用語が不正確であり誤用される(凍結肩、癒着性滑液包炎、関節包炎など)
・明確に定義された診断基準に欠けている があげられます。
そこでこの論文では、いくつかのサブグループに分類をしています。
① primary (原発性)
② 糖尿病性 グループ
③secondary グループ
primary グループは一般的な凍結肩にあたるもので、他に関係する病態がないものです。
糖尿病は凍結肩の発症に関与があり、①と比較すると予後も悪くなりやすいです。secondary グループは、腱板損傷や二頭筋炎といった明らかな一次障害があり二時的に凍結肩がある場合に分類され、予後が悪く一次障害の治療が必要とされます。一次、二次障害が絡むので診断に関しても最も困難とされています。
次に発生率に関してですが、
凍結肩の発生ピークは40〜60歳、70以上は稀でわずかに女性>男性
同じ肩での再発は稀だが、反対側での再発は20%
糖尿病は凍結肩に最も関連する状態で有病率は4%で一般の2〜4倍のリスク
とされてます。
肩は最も可動性のある関節ですが、凍結肩では関節包、靱帯の炎症性拘縮を特徴とし、関節内容積を減少させ、肩甲上腕関節を制限します。肉眼的には、凍結肩の関節包は急性血管炎、炎症、肥厚を伴うガラス状の外観をしており、時間と共に線維性の外観に進行します。特徴的な制限として、外旋制限が生じますが、
1st外旋には前上方、2nd外旋には前下方のタイトネスが関与しています
ここまで説明してきましたが、根本となる凍結肩の原因に関しては、いまだ
明らかになっていません。ただし、痛みが先行し、徐々に制限になっていくことから炎症から線維症への変化が示唆されています。
症状としては、
・夜間痛
・肩甲帯周囲に広がる痛み、灼熱感
・肩関節外旋制限 (自動、他動運動ともに) が特徴的です
外旋制限は後方脱臼やOAでも見られるが、これらはレントゲンで発見することで鑑別が可能です。また症状の進行には段階があり、定義は難しいとされていますが、主に炎症期、移行期、拘縮期の3つのフェーズに分かれています。
最後に治療に関してですが、私たち理学療法士としては
痛みのコントロール、可動域の改善が目的となってきます。
Dierksらの研究では、『疼痛範囲内での理学療法』と『集中的な理学療法』の効果を比較したところ『疼痛範囲内での理学療法』の方が良い結果をもたらした。
といった結果になっており、やはり愛護的な痛みのない範囲での可動域訓練が重要かと思います。
そして、炎症期には肩甲上腕関節以外のところにアプローチするなどの、名フェーズに合わせたリハビリを行うことが重要と感じます。
何事もまずは病態をしっかり理解し、それにあった評価、治療を展開することが大事ですね。
以上、今日は凍結肩に関してでした。読んでいただきありがとうございました。
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