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腱板損傷 棘上筋は鍛えてはだめですか?

腱板損傷の原因にインピンジメント症候群があります。
三角筋の収縮により、骨頭が上方移動し、間にある腱板が肩峰下に衝突することで損傷を起こします。
拘縮によるObligate translationもインピンジメントを起こす原因となりますが、腱板機能低下が起きるとさらにインピンジメント症候群が起こりやすくなり悪循環に繋がる恐れがあります。

腱板筋の役割は、骨頭を関節窩に引きつけることであり、その腱板筋を鍛えることで、腱板筋の機能残存、さらなる障害の予防が可能になるとされています。
では腱板筋である4つの筋を全て鍛えばいいでしょうか?
今回、上腕骨頭の上方移動に関連する腱板機能に着目した面白い論文があったので紹介させていただきます。

参考文献:
The Rotator Cuff Opposes Superior Translation of the Humeral Head
Neil  1995 PubMed

https://doi.org/10.1177%2F036354659502300303

目的:肩挙上運動における上腕骨頭の移動に対する腱板機能の活動を評価した

方法:肩甲帯は正常な肩甲胸郭関節の関係を維持しながら、三角筋と腱板筋の収縮を評価した

・4つのパターンで評価
①三角筋のみ
②三角筋、棘上筋
③三角筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋
④三角筋、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋

結果:
棘下筋、小円筋、肩甲下筋を伴わない外転は、三角筋のみの外転と同様に骨頭の上方移動を引き起こした

いかがでしょうか。
まとめると、まず三角筋は挙上の主動作筋として作用するため、骨頭を上方に移動させるのには納得がいきます。それを関節窩にとどめるのが腱板の役割ではあるのですが、腱板筋のひとつである棘上筋は骨頭の上方移動を起こすということです。
確かに、棘上筋の走行から見てもベクトルが関節窩の上を向いていることがわかります。そして他の棘下筋、小円筋、肩甲下筋は骨頭を下方へ引き下げてくれる役割があるので、積極的に鍛えなさいということです。面白いですね。

というわけで、腱板損傷へのアプローチとして腱板トレーニングを行う際は、棘上筋はそっとしておいて、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の選択的な強化をしたほうがよさそうです。どうぞご参考に。


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