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腰椎椎間板ヘルニアの脱出方向による分類

ヘルニアの分類には程度の分類と脱出方向の分類がありますが,今回は脱出方向の分類についてまとめていきます。

分類

①central type/medial type:脊柱管内の正中に脱出したもの
②posteolateral type/mediolateral type :脊柱管内の外側に脱出したもの③intraforaminal type:椎間孔内に脱出したもの
④extraforaminal type/far lateral type:椎間孔のさらに外側に脱出したもの

特徴

①は全体の約20%にみられるとされ椎間板が正中に脱出するため左右両側性の症状が出ることが多い
②は全体の約70%で最も多く,分岐直後の神経根が圧迫される(L4/5であればL5の同側性の症状をきたす)
③,④は全体の数%であるが,③は上位の神経根が圧迫される可能性があり、④は高確率で上位の神経根が圧迫される

理由としては,①から④にいくほど外側に脱出することになるため,下外側方向に走行する神経の解剖学的位置をイメージすると上位の神経根が圧迫を受けるということは理解しやすいかと思います

以上4つがヘルニアの脱出方向による分類となります。

腰椎各関節での位置異常や過可動性を疑う場合,その分節での椎間板障害も起こりやすくなります。

重要なことはL4ー5間で問題があった時に,L5の神経根障害だけでなく,L4とL5の両方の神経根障害の可能性を頭に入れておかなければならないということです。

腰椎椎間板ヘルニアの発生頻度としては,L4/5が最も多く,次いでL5/S1、L3/L4となります。
我々療法士としては、特にL4、L5、S1領域の知覚、運動、反射それぞれの支配をしっかり理解しておき評価する必要があります。簡単ではありますが,以下を参考にしてください

L4 足背屈 前脛骨筋 膝蓋腱反射 
L5 足趾伸展 長趾伸筋 後脛骨筋反射
S1 下腿三頭筋 アキレス腱反射

そして最終的には画像所見と照らし合わせて,どの分節が問題で上下どちらの神経根症状が出ているのかまで考えられるようになるといいですね。

以上です。読んでいただきありがとうございました。ではまた。

参考文献:
腰椎変性疾患:腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症の外科治療
水 野 正 喜Spinal Surgery 24(1)71-79,2010

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