rico_maron1111

Note初心者です。のんびり気ままに、過去に書いたものや、思いついたものを投稿していけ…

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Note初心者です。のんびり気ままに、過去に書いたものや、思いついたものを投稿していけたらいいなあと思っています。 どこかの砂浜で、ガラス瓶が波に揺られて流れつくように、訪問した読者の方へ何か届けることができたら。そんな思いを抱えながら、文章を綴っていきたいです。

最近の記事

初夏への移ろいに、思ったこと

 鈴がころんと鳴るように、青葉がやわらかに茂る5月。  祖父が長野県に住んでいることもあり、私は、家族と共に幼少期から長野県を訪れている。よく訪れるのは、祖父の家がある上田市と、軽井沢。  今年のゴールデンウィークは、祖父の家に寄った後、軽井沢を訪れることになった。  そのため、現在、軽井沢のホテルでこの記事をしたためている。  久しぶりに祖父の家を訪れると、薄紫色の花弁をつけた「マツバウンラン」が自生していた。 その小さな花の様子は、妖精たちが靴をパタパタと散らつか

    • ナガミヒナゲシと人生訓

       2024年5月1日の朝の天気は、雨が降りそうなくもり。  春のまどろんだ湿気を頬に感じながら、近所の住宅街を散歩する。  最近、Googleレンズで草花の写真を撮り、名前を検索するようにしている。  本日出会ったのは、「ナガミヒナゲシ」だ。橙色のワンピースをふわりと身にまとった少女を想起させる、可憐な花である。道路沿いによく見かけるので、名前は知らなくとも、見たことがある人は多いと思う。  ナガミヒナゲシについて少し調べてみると、アルカロイド性の毒性があるため、素手で

      • 向かい風、逆風に春一番

         前回の投稿をしてから、2か月余りが経った。  愛犬の散歩をしていると、ホトケノザが鮮やかに色づいていて、「春が来たなあ」と、ほのかに嬉しい気持ちになる。    新年ということもあり、前回には「頑張ろう」と宣言したものの、病気の恐ろしさに包まれて、一進一退の状態が続いている。一進一退の状態だからこそ、滓が溜まるように、現実で起きてくる問題が停滞してしまっているように感じている。  この病気になってから、チーズを探すネズミみたいに、ちょろちょろと不安が浮かんでくることが増え

        • 新年が明けて

           あけましておめでとうございます。  新年が明けてから、石川県の大地震などを始め、心穏やかでないニュースが身を取り囲んでいる。  どうか、今日1日も皆さまが平穏に過ごせますように。  今朝、愛犬を連れて近所の公園へ散歩に出かけた。冬の朝の寒さには厳しいものがあるけれども、背中に当たる太陽は、きらきらとあたたかい。薄氷のカーテンにくるまれたような心地を覚える。  耳をすませば、カラスが大きな翼を振るわせている音も聞こえてくる。  前回の投稿をした後、無事退院した私は、自

        初夏への移ろいに、思ったこと

          初冬と忘れ物

           窓辺からみえる街路樹はいまや散り、寂しげに葉を揺らしている。   ある日、私が窓辺から目を凝らすと、通りを挟んで向かい側に、小さな託児所があることを発見した。  それからというもの、私は、毎朝託児所に連れてこられている子どもたちを、少しだけ観察するようになった。  「早く行こうよ」と、小さな弟の手をひっぱる女の子や、行くのを渋っている男の子、去り行くお母さんを、いつまでもじっと見つめている子ども。  野に咲く小さな花々のように、その様子は点々ばらばらだ。  私の子

          初冬と忘れ物

          雨の日に、ぽつりと

           入院したばかりの頃は、誇らしげに葉を茂らせていた銀杏の木は、今や赤みがかったシナモン色に染まっている。足元には、はらはらと葉が落ちていて、灰色のコンクリートに彩りを添えている。    コロナの影響で、外出ができないという病院の方針から、外出できないのであるが、傘をさしている人々を窓辺で眺めては「今は雨が降っているのか」とハッとさせられる。  よく目を凝らせば、針のような細さで、やわらかに雨が降っているのが見えるのだけれど、意外と気づかないものだ。  あまり深刻な病というわ

          雨の日に、ぽつりと

          詩作「追憶の」

          青と白にまぎれて ふっと息をこぼした 透明な魚が 目の前を泳いでゆく 白い花々に見つめられて ポケットにいちまいの葉を しのばせる 砂に埋まった木々たちを 波風が遠くさらうので

          詩作「追憶の」

          落ち葉をふわりと散らして

           私が入院している部屋がある、七階の西病棟からは、やわらかな太陽の光に照らされて金色に染まる、銀杏の木々が見える。転倒などの危険性のために庭園には行けないため、残念ながら、澄んだ秋の空気を吸うことはできない。そのため、この木々たちが秋を感じる指針となっている。  秋をイメージするとき、私は子どもの頃を思い出す。特に小学校の頃の記憶だろうか。  私の小学校の校庭には、背の低い子どもがあんぐりと口を開けるくらい、大きな銀杏の木がそびえたっていた。秋になると、臭い銀杏が地面に落

          落ち葉をふわりと散らして

          新宿駅に向かうバス車内で―「ある朝のできごと」—

           私はかすかな振動を感じて目を覚ました。目をうっすらと開けると、紺色の布がピンと張られた座席に、折り畳み式の小さなテーブルとドリンクホルダー、荷物をかけるフックが見える。  下方を見ると、「走行中はシートベルトを着用して下さい」と記載された紙が網ポケットに入っていた。ああそうだ、新宿駅に行くために高速バスに乗っていたんだっけ、と陽光が射さない曇り空のように、ぼんやりとした頭で考える。バスの車内には上品な老夫婦に、出張らしき会社員の3人しか乗車しておらず、大学生くらいの年代の

          新宿駅に向かうバス車内で―「ある朝のできごと」—