解説 苦しみ耐えて御心に適う(第一説教集10章2部) #50
原題: An Exhortation concerning Good Order and Obedience to Rulers and Magistrates. (善き秩序と統治者への服従について)
第2部の解説をします。テーマを聖句で言えばこれでしょう。
召し使いたち、心から畏れ敬って主人に従いなさい。善良で寛大な主人にだけでなく、気難しい主人にも従いなさい(ペトロの手紙一 2章18節)
第2部のポイントは次の5点です。
①第1部の振り返り
②上に立つ権力に逆らってはならない
③善を行うキリストの足跡に続くべし
④虐げれてもサウルに反逆しなかったダビデ
⑤旧約世界で王に反逆した者たちの末路
ますは第1部の振り返りです。神は万物を創られ、この世に秩序を定められ、王などの為政者を置かれた。神を愛し信じる民は神が定めた王と権力に従わなければならない。その上でこう述べられます。
このうえで第1部にもあったパウロの言葉(ロマ13・1)が再び引用されて上に立つ者への服従が確認されます。その具体的な例としてキリストとその弟子たちの行いが述べられます。
しかしこれはただ弱気になってただ無抵抗に生きるというのではなく、確たる源を持つものです。ポンテオ・ピラトとキリストのやりとりを聖書から引用しつつ説かれます。
神による権威であるならば従うということになります。この次にペトロの言葉が引用されます。キリストに倣い、この世の権力に従うことが神の民に定められた務めであるとしています。
第2部の後半ではダビデとサウルの逸話が紹介されます。『サムエル記上』の18章から26章にかけてと、『サムエル記下』の1章にあることが紹介されます。ダビデは邪悪である王サウルを、絶好の機会がありながら手にかけなかったのです。
どのような事情があっても臣下が王を討ってはならない。邪悪な王を罰するのは神であるという考えからのものです。『サムエル記下』で最期を悟ったサウルが兵に命じて自身にとどめを刺させるのですが、その兵がダビデのもとに走ってサウルの死を伝えると、ダビデは激しく悲しみ嘆きます。このことについてこう説かれます。
神によらないこの世の権力はない。キリストはそのなかで苦しみを受けられた。わたしたちは信仰を持つならばそれに従い倣わねばならない。上に対して暴力をもって反抗するなどとんでもない。これを破った者の末路がいくつかの旧約世界の逸話を引き合いに出して説かれて第2部は終わります。
今回は第一説教集第10章「善き秩序と統治者への服従について」の第2部「苦しみ耐えて御心に適う」の解説でした。次回はこの試訳をお届けします。
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