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解説 主の日、私は霊に満たされた(第二説教集8章1部) #124

原題:An Homily of the Place and Time of Prayer. (祈りの場と時についての説教)

第二説教集第8章に入ります。第7章が「祈りについて」でしたが、これに続くものと言えます。ちなみに第9章も関係してきます。第7章から第9章までがひとつのテーマになっていると見ることができます。

第8章は二部構成です。まず第一部の解説をします。聖句でいうテーマとポイントは次のとおりです。

主の日、私は霊に満たされ、後ろの方でラッパのような大きな声を聞いた。(ヨハネの黙示録 第1章10節)

第1部のポイントは次の5点です。
①安息日とは何か
②日曜日を聖としない二種類の者
③聖とする日に祈るべき場所
④教会堂に集うことの意味
⑤まとめと結びの短い祈り

第8章は祈りの場と時についての説教ですが、第1部ではまず祈りの「時」について触れられます。具体的には「安息日」についてです。十戒を基としつつ、ユダヤ教の安息日とキリスト教の安息日の違いについて述べられます。

神がお示しになったこの戒律に、信仰に篤いキリスト教徒たちは主であるキリストが昇天なされたすぐ後から従い始め、週のなかの特別な日を選んで共に集う日を定めました。しかしその日とはユダヤ人が定めた七日目ではなく、主の日とは主の復活の日であり七日目の後であることから、週のはじめの日とされました。

安息のための第一日とは日曜日を意味しますが、これはユダヤ教の第七日の後の一日目を言います。『ヨハネの黙示録』ではもっと平明に、聖ヨハネが「主の日、私は霊に満たされ(黙1・10)」たと言っています。

キリスト教の安息日は、天地創造ののちに神が休まれた七日目(土曜日)ではなく、キリストが復活した復活の日に合わせて週の一日目(日曜日)であることが確認されます。この上でこの日を、つまり主日を聖としない者が大きく二つに分けられるということが次のように嘆かれます。

一方は、大してする必要のあることでもないのに、何かするべき仕事があるとして、日曜日に休むことをしない者たちです。(略)そしてもう一方はこれよりも悪い者たちです。日曜日に遠くにも出ず働きもしませんがその他の曜日もそうで、神が定められた聖なる日であるから休むというわけではない者たちです。

主日に神を讃えるために業を休まない者も問題だが、それ以上に問題なのはそもそも日々を怠惰に過ごして主日が特別な休日とならない者であるとされ、このような者はこの第1部のあとのところで「獣にも劣る」とさえ述べられています。

祈りの「時」として「安息日」について説かれた次は、その「場」として「教会堂」について説かれます。

神の民が集うべき場であり、特に日曜日に定められている聖なる休日である安息日を祝福し聖とするべき場は、神の神殿である教会堂です。

これについて、キリスト教徒が苦難の道を歩んでいたことが述べられます。

キリストと使徒たちの時代においてはキリスト教徒に神殿も教会堂もありませんでした。(略)彼らはいつもほとんどが迫害や妨害や苦難に遭っていて、そのようなものを造るだけの自由を認められていなかったからです。

しかしこのような状況でも、人々が信仰をもっていろいろなところに集まって礼拝を献げたことについて『使徒言行録』から多くの箇所が引用され、かつて人々がいかに情熱をもって神を讃えていたのかが説かれます。その上でこのように説かれます。

いつでもどこでも清らかな心で、純なるもろ手を上げましょう。ただしそれを神殿である教会堂で安息日にも行うべきです。信仰に篤いわたしたちの先人たちや初期教会の教父たちは、教会堂を建てるのに自分たちの財産を惜しむことはありませんでした。それどころか迫害の時代にあって、命を危険にさらし自らの血を流すことも厭わず、教会堂に集っていました。それにひきかえわたしたちは教会堂に来て少しでも働きをしているというのでしょうか。

確かにパウロが「あなたがたは神の神殿であり、神の霊が自分の内に住んでいることを知らないのですか(一コリ3・16)」と言っているとおり、本来的にはキリスト教徒ひとりひとりが神殿であるのですが、その神殿たるひとりひとりが「安息日」に「教会堂」という一つのところに集って神を讃美することの意味が説かれ、短い祈りをもって、第1部は終わります。


今回は第二説教集第8章「祈りの場と時についての説教」の第1部「主の日、私は霊に満たされた」の解説でした。次回はこの試訳をお届けします。


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