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解説 神から出た霊を信じよ(第二説教集16章2部) #164

原題:The Second Part of the Homily concerning the Holy Ghost, dissolving this doubt; whether all men rightly challenge to themselves the Holy Ghost, or no. (聖霊についての説教の第2部、すべての人間は聖霊に正しく対しているかという疑問に答える)

第2部に入ります。まずは解説です。聖句でいうテーマはこれでしょう。

愛する人たち、どの霊も信じるのではなく、神から出た霊かどうかを確かめなさい。偽預言者が大勢世に出て行ったからです。イエス・キリストが肉となって来られたことを告白する霊は、すべて神から出たものです。あなたがたは、こうして神の霊を知るのです。(ヨハネの手紙一 第4章1~2節)

第2部のポイントは次の4点です。
①わたしたちの弁護者たる聖霊
②聖霊にかかわるローマ教会の誤謬
③ローマ教皇のいろいろな蛮行と愚行
④まとめと結びの祈り

第2部には第1部にはなかった副題が付されています。これは第1部の終わりにあったこの第2部の予告にもかかわることです。自身の内に聖霊が宿っていると公言する人は本当に聖霊に向き合っているのかということですが、この第2部は当時のイギリスの反カトリックの思潮をもろに反映していて、極めて反ローマの色彩の強いものとなっています。

まずはじめに聖霊はわたしたちの弁護者としてこの世に遣わされたことが述べられます。

救い主キリストはこの世を発たれて父のもとに行かれるときに、ご自身とはまた別の弁護者を遣わすことを弟子たちに約束なされました。その弁護者は永遠に彼らとともにあり(ヨハ14・16)、彼らをあらゆる真に導くとされました(同15・26)。

この弁護者たる聖霊について、このような疑問を立ち上げています。

聖パウロは「キリストの霊を持たない者は、キリストに属していません(ロマ8・9)」と述べ、加えて、「この霊によって私たちは『アッバ、父よ』と呼ぶのです(同8・15)」としています。聖霊が使徒たちのみならずキリストの会衆という四肢全体に与えられていることは明らかです。しかしここで疑問が生まれます。聖霊が自分の内に宿っていると偽っている者もいるのではないだろうかということです。

これについてローマ教会が、むろんのこと、自分たちには確かに聖霊が宿っていると主張しているとはいえ、それが本当であると言えるのかをかなり懐疑的に(とういうよりは攻撃的に)解き明かしていきます。まずはそもそも教会とはということについてこう述べます。

教会は三つの徴があることで真であるとされます。その三つとは純粋で健全な教理と、キリストが聖とし定められたところに従って執り行われる聖奠と、教会規律の適切な運用です。

この3点に照らし、ローマ教会は真の教会とは言えないと断じています。その端的な例として次のことが訴えられます。

キリストはご自身の教会に肉と血の聖奠を行うようにとされましたが、ローマの彼らはそれを生ける者と死せる者のためのいけにえとしています。キリストが使徒たちに執り行われたように、使徒たちはあまねく他の人々に二種類の聖奠を執り行ったのですが、彼らは信徒たちから杯を取り上げて一種類だけで十分であるとまでしています。

前者は煉獄の肯定、後者はぶどう酒を除いたパンのみでの一種陪餐についてのものです。ほかにもいろいろな例が引き合いに出され、ローマ教会はもはやキリストを親石としているとは言えない。真の教会ではないと断じられます。続いて、そのローマ教会の頂点にある教皇たちの蛮行や愚行が次々に述べられます。たとえばこのようなふうにです。

父に反抗するようにと子を唆して武器をとらせ、神の法や自然の法に反して、父を引きずりおろして残忍にも命を奪い死に至らしめる者を見たらわたしたちは何と言うでしょう。そのような者に悪魔の霊ではなく神の聖なる霊が宿っているとわたしたちは考えるでしょうか。そのようなことをする暴君が教皇パスカリス二世です。

このように、教皇に愚行や蛮行が見られ、ローマの教会は腐敗し、もはやそこに聖霊が宿っているとは言えない。終わりのところでこのように述べられます。

「サタンでさえ光の天使を装うのです(二コリ11・14)。」彼らは羊のようにして現れますが、その実は残忍で貪欲な狼です。彼らはみなさんがほとんどまったくその正体に気付かないようにと、外面的には大いなる聖や純粋な命があるように見せます。(略)ローマの教皇やそのとりまきの司教たちもみなこれと同じであり、彼らの言行に見ることができるとおり、間違いなく世を長く欺いている偽りの預言者であり偽のキリストです(ルカ21・8)。

神のご加護により、自分たちはこの暴政から守られていることが述べられ、それに感謝しつつ、第2部は、つまり第16章は終わります。


今回は第二説教集第16章第2部「神から出た霊を信じよ」の解説でした。次はこの試訳となります。一度でお届けするのにはやや長いのですが、話をうまく切れるところがないので1回でお届けします。


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