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解説 時をよく用いよ(第二説教集17章3部) #171

原題:An Homily for the Days of Rogation Week.  That all good things cometh from God. (祈願節週間のための説教~あらゆる善きものは神より出る)

第3部に入ります。聖句でいうテーマはこれでしょう。

目が見えもせず、耳が聞きもせず、人の心に思い浮かびもしなかったことを、神はご自分を愛する者たちに準備された。(コリントの信徒への手紙一 第2章9節)

第3部のポイントは次の4点です。
①第2部の振り返り
②仲立ちであるキリストと聖霊の働き
③無辺の恵みを覚え有限の時を生きる
④まとめと結びの短い祈り

第2部の内容が簡単に振り返られ、すべてのものは決して人間の力で得られているのではなく神から出ていて、人間は賜物としてそれを受け取っているということを踏まえるものの、賜物は神から直接に与えられているのではなく、仲保者を介して受けていることが確認されます。

慈善をもって兄弟を愛することができるのも、まさにわたしたちに働く神のみ業です。堕落したわたしたちが悔い改め、わたしたちを引き上げてくださる神のご慈悲に手を伸ばせるのも神のみ業です。わたしたちが引き上げられたいと思っているとき、その思いを砕かれてわたしたちを再び落とされるのも神です。(略)わたしたちの功徳や行いや努力や知恵や美徳がそういったものをもたらすというのでしょうか。そうではありません。(略)あらゆる慈悲の父であられる神はわたしたちにこの大いなるみ恵みをもたらされました。ただそれは神ご自身でではなく、仲立ちをもってであり、その仲立ちとはたった独りのみ子にほかなりません。(略)キリストの贖いがあることによってわたしたちの破滅は避けられました。

また、神はキリストを通して賜物を人間に授けるだけでなく、キリストを通してさまざまなことを為されるということも述べられます。

キリストによって、全能の神はこの世の終わりを告げられ、ご自身の前にすべての人々を集められ、生ける者と死せる者の両方を裁かれます。キリストによって神は邪な者を地獄の業火に定められ、一方で善良なる人に永遠の命を授けられ、永遠に天においてご自身とともにあることを確かにされます。

また聖霊の働きについても述べられます。

聖霊によってわたしたちは自身の務めにおいて穏やかに勇気をもって歩むことができます。聖霊によって、わたしたちは全能の神のみ恵みを受けるに相応しい器となることができます。秘かな働きにより心を清めて純なものにするのも聖霊です。聖霊は至るところにあって、わたしたちの目には見えない力により万物を統理しています。聖霊は全能の神に思いを致すための心を照らし、人間の舌をして神の誉れを口にするようにさせます。

父とみ子キリストと聖霊の三位一体の神への信仰と、与る恵みの大きさへの感謝の中で生きることが説かれますが、その上でこの世にある「時」の大切さが述べられます。

この世の時のなかで霊的な知恵が見出されることを知れば、来たる時に向けて自身を鍛えることができ、いたずらに時が過ぎるのをよしとするのではなくそのなかにあってこの知恵を求めて行いを為すことができます。そうして自身を高めていけば、神が無辺のご慈悲と寛大さから、どのようにしてすべての人にこの世で悔い改めの時と場所を与えてくださっているのかを知ることができます。

神の恵みは無辺のものであるが、人間の世は有限である。有限の時を神への感謝の中で生きるようにすることが訴えられます。

みなさんは神の罰によって駆り立てられているのではなく、神のみ恵みに感謝するようにとされています。(略)この世の時をよく用い、勤勉さをもって時を得て、わたしたちに注がれる光と恵みに自身を適わせましょう。神の愛と裁きは、この世において神が為されている業であるのですが、決してわたしたちに救い至るためのものを得させないように働いてはいません。最悪でも、この危険な時代にあって、世を危ういものにしようとしている醜悪な悪魔の企みに負けて、わたしたちが神の訪れを望んでもその中を歩むことができなくさせているものではありません。

三位一体の神への信仰をもって、勤勉にこの世を生き、救いに至ることを奨励し、聖書の言葉をそのまま引用した短い祈りをもって第3部は終わります。

「私たちの内に働く力によって、私たちが願い、考えることすべてをはるかに超えてかなえることのできる方に、教会により、また、キリスト・イエスによって、栄光が世々にわたって、とこしえにありますように。アーメン(エフェ3・20~21)。」



今回は第二説教集第17章第3部「良い忠実な僕」の解説でした。次回はこの試訳をお届けします。一度でお届けするには長いので二回に分けてお届けします。


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