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解説 新しい命を得て新しい人を着る(第二説教集14章) #155

原題:An Homily of the Resurrection of our Saviour Jesus Christ, for Easter-Day. (救い主イエスキリストの復活についての説教、イースターのために)

第14章に入ります。この章は部に分かれていません。聖句でいうテーマはこれでしょう。

神は、豊かな憐れみにより、死者の中からのイエス・キリストの復活を通して、私たちを新たに生まれさせ、生ける希望を与えてくださいました。また、あなたがたのために天に蓄えられている、朽ちず、汚れず、消えることのないものを受け継ぐ者としてくださいました。あなたがたは、終わりの時に現されるように準備されている救いを受けるために、神の力により、信仰によって守られています。(ペトロの第一の手紙 第1章3~5節)

第14章のポイントは次の5点です。
①キリスト復活の教理は極めて大きい
②キリストは復活を確かめさせている
③復活はキリストの大勝利を意味する
④復活を揺るぎなく信じるべし
⑤まとめと結びの祈り~新しい命へ

まず冒頭で復活の教理の大きさが述べられます。

主イエスの復活こそがキリスト教信仰における偉大にして極めて健やかな教理であると言えます。復活の教理は極めて大きく、また極めて重みがある大切なものですので、弟子たちがそれを心から確信するために、キリストは死から生へとよみがえられたのち四十日にわたってこの地上におられました。

キリストは復活ののち四十日にわたってこの世にあった。そのなかでいろいろな人々に、さまざまな形で、「死した者が生き返った」ことを確かめさせたことが述べられます。

救い主はご自身で死を征服され真に再び生へとよみがえったことを、四十日を費やして荘厳にして極めて力強い主張と徴によって弟子たちに明らかになされました。

キリストは復活の後に多くのところでご自身を現され、復活の教理を確かなものとされました。キリストはあるところではご自身の手や足や脇腹をお見せになり、人々にそこを触れるように言ってご自身が亡霊ではないことを確かめさせられました。

キリストの復活が持つ意味の大きさは、それがすなわち、この世の人間にとって不可避である「死」を征服したというところにあります。

キリストの死は死を滅ぼし、悪魔を打ち負かし、死の力を支配下に置いて、あらゆる劫罰を伴う地獄を滅ぼしました。死はキリストの勝利に吞み込まれ、地獄は永遠に消し去られました。(略)死が征服されたのですから、それに従う罪もともに滅びることになります。死も罪も消え去るということは、死の力をもって罪を造り出し地獄を統べる悪魔の専横も潰えることになります。そもそもキリストの大いなるみ力が死や罪に劣るなどあり得ませんが、キリストはご自身の死によって勝利を得られ、その勝利を極めて栄えある復活によって証しされました。

この大勝利については、『コリントの信徒への手紙一』におけるパウロの言葉が引用されています。

「死よ、お前の勝利はどこにあるのか。死よ、お前の棘はどこにあるのか(一コリ15・55)。」

またこのように説かれます。この章の前半の核になる言葉です。

わたしたちはキリストの死によって罪から救われただけではなく、復活によって義を与えられました。わたしたちは死から救われただけではなく、キリストが死からよみがえられて天の国の門を開かれたことにより永遠の命に至ることになりました。

キリストの死は死を征服し、復活は勝利を証しするとともに、キリストを信じる人々に天の国の門を開くことにつながったと力強く説かれます。この上にたって、この章の後半では信仰の大切さが説かれます。キリストの復活を信じることについては、聖書のこの言葉が引用されています。

「私たちの主、救い主イエス・キリストを深く知って世の汚れから逃れても、再びそれに巻き込まれて打ち負かされるなら、その人たちの後の状態は前よりも悪くなります。義の道を知りながら、伝えられた聖なる戒めに背くよりは、その道を知らなかったほうが、彼らにはまだよかったのです。彼らの身に起こっていることは、『犬は自分の吐いたものに戻る』とか『豚は身を洗って、また泥の中を転がる』とかいう、ことわざのとおりです(二ペト・20~22)

信じることの大切さと難しさ、そして信じきれない弱さを持つことの愚かさを一度に示す引用をもとに、信仰を堅く持つようにと訴えて説教が進められます。終わりに、キリストとその復活を信じ、イースターにあたり、復活をどのように記念して新しい命へと向かうべきかが説かれ、結びの祈りに繋がります。

キリストの国の民は聖なる日を霊的に祝うこととしましょう。具体的には、(略)罪という古い種を、つまり悪や邪という種を避けるのです。(略)わたしたちのこの世の生すべてにわたって、神のみ心に適った命の純粋さやキリストの教えの持つ真というパンをもって食事としましょう。


今回は第二説教集第14章「新しい命を得て新しい人を着る」の解説でした。次はこの試訳となりますが、一度でお届けするには長いので、2回に分けることとします。


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