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【ライター&学生向け】参考資料・文献を探すときのコツ

先日「参考資料の探し方」を引用リツイートでご紹介したのですが、これはnoteにまとめておいたほうが誰かの役に立つかな? と思ったので、具体的に書き記しておきます。

【前提 この記事を読むのに向いている人】
●ネットや図書館での資料検索に困っている人
●図書館のレファレンスサービス? なにそれ? な人
●大学生(特に史学科の人)
●ライター


◆元になったツイ

引用元の若林さんは以前から交流のあるライターさんで、近現代日本を舞台にした小説を執筆していらっしゃる方です。
ツリーで「司書の方に直接相談するのは盲点でした」と仰っているのを見て、(あっ、そうか、意外とレファレンスサービスって周知されていないんだな)と感じ、そこから国会図書館のレファレンス協同データベースをご紹介させていただきました。


◆そもそもレファレンスサービスとは

図書館で司書が調べものを手伝ってくれるサービスです。「〇〇について調べたいんだけど、どの本を読めばいいか分からない」「〇〇ってどう調べるの?」など、情報や資料に関する相談に乗ってくれます。

司書がいる図書館なら公立・私立問わずどこでも利用できて(もちろん大学図書館も)、施設によっては直接来館せずとも電話や郵送、ホームページ経由で対応してもらえます。

来館の場合、レファレンスカウンターもしくは総合カウンターで受け付けてもらえるので、カウンター内のスタッフさんに声をかけてみましょう。


◆国会図書館レファレンス協同データベースとは

さて、次に国会図書館が運営しているレファレンス協同データベースについて。

レファレンス協同データベース事業は、公共図書館、大学図書館、専門図書館等におけるレファレンス事例、調べ方マニュアル、特別コレクション及び参加館プロファイルに係るデータを蓄積し、並びにデータをインターネットを通じて提供することにより、図書館等におけるレファレンスサービス及び一般利用者の調査研究活動を支援することを目的とする事業です。

https://crd.ndl.go.jp/jp/library/abstract.html

要するに、国会図書館が全国の図書館と連携して運営している、調べものに役立つサイト。この中でとくに使えるのが、「レファレンス事例」と「調べ方マニュアル」です。

レファレンス協同データベースより


レファレンス事例は、データベース参加図書館で行われた質問とその回答です。事例によっては回答プロセス(質問に答えるため、司書がどのような調べ方をしたか)も書かれており、参考文献だけでなく調べ方の勉強にもなります。

レファレンス事例サンプルページより


後述する「検索キーワード」も記されているため、今後の資料探しのヒントにもなるという、至れり尽くせりな仕様。

調べ方マニュアルは、「特定のテーマやトピックに関する情報源の調べ方」を教えてくれているページです。何かを調べたい時にまず押さえるべき基本的な情報源が紹介されています。

調べ方マニュアル一覧より


レファレンス事例、調べ方マニュアルともに、簡易検索欄・詳細検索欄・事例およびマニュアル一覧がトップページに表示されています。

(※ほかにも「個人文庫や貴重書など、参加館が所蔵する特殊なコレクションに関する情報」がまとめられた特別コレクションもありますが、今回は紹介しません)


◆資料を探すときのコツ

やっと本題。まずはレファレンス事例の使い方のコツ。

検索結果の事例タイトルをパッと見て(自分の調べものとはテーマが違うな……)と思っても、とりあえずクリックして中身を見てみましょう。じつは探しているテーマに関連する本が紹介されていた、ということもあります。このあと説明する「検索キーワードの工夫」ともつながるポイントです。

レファレンス協同データベースはもちろん、各図書館検索、CiNii等の論文検索サービス、検索エンジンでの調べもの全般にいえることですが、参考文献を探すコツは「キーワードの工夫」です。

とくに歴史についてのテーマ・トピックを調べたい場合、いかに関連キーワードを想定できるかで、検索結果がかなり変わってきます。

たとえば私の研究テーマである「精神病者監護法」を調べようと思っても、そのキーワードだけでは満足な結果を得られません。試しにレファレンス協同サービスとCiNiiでそれぞれ調べてみましょう。

レファレンス協同サービスではヒット数5件


CiNiiでは65件

CiNiiではちょっと多いですが、それでも研究に必要となると少ないですね。
そこで、「明治」「精神病」「狐憑き」「座敷牢」「近代日本」「医学」「庶民」「病」「瘋癲」「発狂」「監獄」などといった、思い浮かぶ限りの関連キーワードを組み合わせて入力します。

そうすると「精神病者監護法」に関する記述を含む文献に出会えたり、直接ではないにしろ必要な周辺知識にリーチできます。

「精神病 明治」でヒット数17件。「精神病者監護法」と比べて+12件


同じく「精神病 明治」で139件ヒット。「精神病者監護法」と比べて+74件

キーワードの工夫はごく初歩的なことですが、調べ慣れていない人・未知の分野を調べようとしている人にとっては、盲点かもしれません。

◆関連キーワードがまったく浮かばないとき
最初の検索ワードの時点で最低でもなにかひとつは情報にリーチしているはずなので、そこで書かれている言葉や、書籍ならば参考文献一覧からキーワードを拾いましょう。というか書籍だったら、参考文献一覧の中から次々読んでいけばいいです(乱暴)。
関連キーワードが浮かばない=知識が足りない、なので、直接欲しい情報でなくても周辺領域の知識をどんどん入れていくとよいですよ。

この時点で「うげー難しー」と思った人は、連想ゲームだと思ってください。

冒頭で引用した若杉さんの「明治か大正の豪商の生活を記録した書籍」「華族と豪商(実業家?)が明治時代に結婚した実例」ですが、私ならこういう検索をかけてみます。ただし知識がない分野なので、ちょっとズレているかも。

検索ワード▶江戸,明治,大正,近代,近代化,明治維新,大正デモクラシー,実業家,商人,財閥,社会階層,身分制度,都市,生活,生活様式,軍需産業,事業,〇〇家(各財閥の家名),成金,爵位,戦争,女学校,教育,女学生,使用人,奉公,伝記

ビッグワードとしてはこんなもんかなぁ……全然ひらめかなかった。
結婚の事例に関しては、各新聞社のデータベースから「華族 結婚」「令嬢 御成婚」とかで何かしらの報道記事が出てきそうな気もします。

上記リンク内にある各新聞社のオンラインデータベースはめちゃくちゃ便利ですが、個人契約するか契約図書館内からアクセスする必要があるのが不便(学術ID持っていても個人PCからはVPNかませないといけなくて面倒)。

県立府立図書館レベルなら契約しているはず。

ちなみに大学図書館は卒業生でなくとも一般利用できるところがあります。周りに大きい図書館がない方は、近くの大学図書館を調べてみてはいかがでしょうか。

なんか資料の探し方のコツというより、図書館の利用の仕方みたいになっちゃったな。
何処かの誰かのお役に立てればなによりです。


◆おまけの雑記

冒頭でも書きましたが、図書館のサービスってあんまり知られていないんですよね。それこそ日常的に図書館を利用できる大学生であっても、じつは自大の図書館の使い方を知らない……なんて珍しくないのではないでしょうか。
かくいう私も、所属大の図書館のさまざまなサービスを知りだしたのは最近になってからです。

これは大学側が積極的にサービスを周知していないことに問題がある気がしています。
うちの大学を例に挙げると、学部1回では図書館ツアーがありましたが、それ以降は大学ポータルサイト内・図書館サイトでの案内、もしくはパンフレットが配られるのみでした(ちょっと記憶が怪しいけど)。

つまり、自ら積極的に知りにいかないといけない状態なんですね。

大学生なんて自主性を求められる生き物ですから、大学側が手とり足とり……も違うんでしょうけど、ちょっともったいないなと感じています。

ちなみに私は病んで意欲をなくした院生だったので、「検索機で蔵書を調べる以外に何があんの? あ、なんか頼めば他の図書館から取り寄せてくれるらしいね」レベルでした。あとは図書館サイトから各種データベースに学認で入るくらい。

ほんとうにもう最近になって、「うちの学術IDでMaruzen eBook Libraryとか使えんの!? 読み放題じゃんやった!!」ってなりました。お恥ずかしいったら。いやお前今まで検索結果の何を見ていたの? って感じですけど。そこに「電子で読めるよ」って記載されてたじゃん、と。

偉そうに資料検索の仕方~などと書きましたが、上記のような人間なので、まだまだ自分が知らない図書館の使い方や検索方法があるんだろうなと思っています。
ただ今回ご紹介した方法で、欲しい資料に大体はあたれるはずです。

気が向いたら、初心者ライターさんやライター志望者さん向けに、「正しい参考資料・情報の調べ方」も書こうと思っています。
編集をやっていたとき、一次資料・二次資料という概念や、信用できる資料の判別等を知らないライターさんが多かったので……(なんでそんな根拠のないサイトを参考にしているんだ! と白目を剥いたこと多々アリ)。

最後に欲しい文献リストもとい、誰かの興味を広げられたらいいなリストを貼っておきます。気が向いたら本ちょーだい♥笑。


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