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【簡単あらすじ】完全殺人(微ネタバレ)【西村京太郎/祥伝社文庫】



『最もすぐれた殺人方法を示した者に大金をやる』


空き別荘に集められた四人に対して、男はこう提案した。
そして集められた四人には「殺人を犯したが逮捕されなかった」という共通点があるという。

つまり、「完全殺人」の成功者たちだった。

凶器の消し方、アリバイ工作、動機の隠蔽… 
四人は自らの犯罪を語り始めた。

完璧な殺人とは?
そして、男の奇妙な提案の真意とは?

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『はじめに』
酷かった花粉の飛散もようやく収まり、窓を開けると爽やかな風を感じるポカポカ陽気という、絶好の読書シチュエーションを得られる時期が到来しました。
ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。


西村京太郎さんが2022年3月に亡くなられたというニュースを聞いて、大きなショックを受けた方も多いのではないでしょうか。

その後本屋探索をしていたときに、このようなインパクトのある表紙を見つけましたので、当然のごとく購入した短編集です。



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1.奇妙なラブ・レター

現在失業中の早川、朝から何か良いことがありそうな予感がしてアパートを出た。
いつもの散歩コースの公園でベンチに腰かけていると、ハッとするような若い美人からラブ・レターらしきものを渡される

2.幻の魚

釣りに凝っている田島は絶好の釣りポイントが多い式根島に出かけた。
二階建ての旅館に宿泊した田島は、東京からの若い女性と一緒になる

3.完全殺人

がらんとした部屋にある円テーブルに、五人の男女が腰を下ろしていた。
その中の一人である主人役の男は、ニヤッと笑い「あなた方に、安心して完全殺人の体験を語っていただきたい。そして、最も秀でた殺人方法を示された方に、この二百万円を差し上げることにしたい」と、他の四人に話しかけた。

4.殺しのゲーム

岡田正男は、胃がんで余命があと一年の状態。
ある時、「今、貴方は死への恐怖に怯えていらっしゃるはずだ。その恐怖を忘れさせて差し上げたいと思っているのですよ。それでも、お茶を付き合う気にはなりませんか?」と、ある男に話しかけられる。
その後岡田は、その男鈴木正助と殺しのゲームを行うことになる。

5.アリバイ引き受けます

某商事会社の外事部長の田沢伸吉は、妻が若くて美貌のジャズ・ピアニストと不倫関係にあることに悩んでいた。

6.私は狙われている

営業課長の私は、ある時駅のホームから誰かに突き落とされた。
誰かに命を狙われている、と感じたものの次第に気にしなくなった。
しかしその二か月後、ある店でハイボールを飲むと、そこにはヒ素が混入されていた…

7.死者の告発

新婚二か月の山野哲二は、警察からの電話を出張先で受ける。
それは「妻の美和子が多摩川の河原で殺されている」という衝撃の内容だった。
哲二は警察の事情聴取の際、死体のそばにSの字が残されていたということを聞く。

8.焦点距離

成功報酬付きの素行調査をしていた松本が殺された。
遺品には、超音波を使った自動焦点カメラで撮影したにも関わらず、五枚ともひどいピンボケをした写真が残されていた。

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上記八編の中で、私は「アリバイ引き受けます」が好みです。

現実であれば、誰もが簡単に騙されるはずの無い提案なのですが、それが成立した場合に起こるだろう出来事について書かれています。

最終行の表現も色々考えさせられるところも、とても良いです。

西村京太郎さんといえば、私もそうですが、西村京太郎トラベルミステリーを思い出す方が多いのではないでしょうか。

しかし、今作のような通常のミステリー作品も書かれておりますので、機会がありましたら是非読了されることをおススメします。

ただ、各編とも昭和30~50年代に雑誌に掲載された作品ということですので、背景や価値観などが現代とは違っている部分にはご注意ください。



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