【簡単あらすじ】明智小五郎事件簿Ⅱ(微ネタバレ)【江戸川乱歩/集英社文庫】
日本を代表する名探偵の一人、明智小五郎が解決する事件簿を事件発生順にならべたコレクションの二作目。
ある春の夜、浅草公園で小林紋三が目にしたものは、十歳くらいの子供の胴体の上に、大人の頭が乗っかった小男だった。
小林はその時、その不気味な男の懐中から、風呂敷に包まれた青白い人間の手が転がり落ちたところを目撃する。
同じ頃、実業家・山野家の令嬢「三千子」が行方知れずになっており、百貨店では女性の切断された手首が見つかっていた…
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1.一寸法師
ある夜酔っぱらっていた小林紋三は、帰り道に「十歳ぐらいの子供の胴体の上に、借り物のような立派やかなおとなの顔がのっかっている」一寸法師を見かけた。
興味をもった小林がその一寸法師を観察していると、懐中から「人間の手首」を落としたことに気づく。
その後、素人探偵明智小五郎に、実業家山野大五郎の妻が「娘の三千子が家出した」という相談を持ちかける。
2.何者
学生生活の最後の夏ということで、結城弘一邸に集まり楽しんでいた同窓生たち。
ある夜、突然何かを叩きつけるような音が鳴り響いた。それはピストルの発射音であり、弘一は足首の骨をグチャグチャにされる重傷を負った。
入院中の弘一は、現場や犯行の状況から見事な推理で犯人を突き止めるが…
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以前レビューしました、D坂の殺人事件等を含む「明智小五郎事件簿Ⅰ」の続編になります。
「一寸法師」も「何者」も、どちらの作品も、時代背景が事件の発生と解決に大きく関わってきます。
前作と比較すると、特に一寸法師では、エログロ表現・差別表現が多いため、少し読みづらいと感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、作者独自の世界観を味わうために必要な表現だと思います。
『一寸法師』では、殺人犯・事件の犯人に対する処遇方法。
『何者』では、「明智小五郎は理屈っぽいばかりだ」と自分を否定していた犯人に対する、当てつけがましいと言えるほどの推理の論理展開や披露方法。
どちらも、明智小五郎の人間性の一端が分かる作品です。
明智小五郎という探偵に、カッコよさ・男らしさ・すがすがしさなどの印象を抱いていた方々にはハードルが高い作品かもしれませんが、私にとっては明智小五郎の魅力がさらに増すことになった作品でした。
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