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”誰も悪くない”という世界を覗いてみた私の体験談

子育てをしていると、誰かを無性に責めたくなることってありませんか?

「わがままばかり言ってくる子どもが悪い」

「夫がちっとも家事や子育てを手伝ってくれないのが悪い」

「そもそも、子育てを応援してくれない社会が悪い!!」

そんな思考が始まってしまったら最後、「周りは敵ばかりだ」と思いたくなるかもしれせん。

私も放っておいたらついそんな思考パータンに陥りがちでした。

今回は、中学2年生の息子との間で起きた、「あるできこと」がきっかけで、誰も悪くない世界を覗いてみた体験談とその後の変化についてご紹介しながら、
「なぜ人は敵を作りたくなるのか」心の根本的な原因についても触れてみようと思います。

※フィクションではありません、全て実話です(笑)

※Podcastでも同じ内容をお話ししています。
音声で聴きたい方はこちらからどうぞ♫


ヘトヘトになって帰宅した後の思わぬ事態


その日、私は、遠方で大切な会議があったため、朝6時から出かけ、帰宅したのは夜の11時でした。

履き慣れない靴を履いていたため、踵が靴づれしていてヒリヒリ「失敗したな〜」と痛みを堪えつつ、冷たい雨が降りしきる中、やっとのことで安心の我が家に辿り着いたのでした。

ところが、鍵を開けたのに、扉が開かない。「あれ?鍵の閉め忘れかな?」今度は、反対に回してもやっぱり開きません。

その時、私はハッとしました。息子はいつも寝る前に、決まって内側の鍵もロックしてくれていていました。

今回も、何も考えず、いつも通り内側からロックしてしまったに違いありません。

夫もこの日は不在。一人で留守番していたので、防犯意識がさらに高まっているのでしょう。

インターフォンを何度も鳴らしましたが無駄でした。息子の寝ている2階の部屋までは音が届きにくいのです。

扉をどんどんと叩いてみたり、携帯に電話をかけてみたり・・・。一通り考えうるできることを全部やったものの、起きる気配は全くありません。

そうこうするうちに、お隣のアメリカ人のご主人が「どうしたんですか?」と驚いた顔で様子を見にきました。

扉をドンドンと叩く物音に、「もしかしたら泥棒でも入ったのか?」と心配したということでした。

息子は起きないのに、お隣さんに気づかれてしまうとは・・・(涙)

申し訳ないと謝りつつ、鍵が開かない事情を話すと、お隣の部屋から息子の部屋の壁を叩いてみましょうと提案してくれました。

結局、息子が起きる様子はなく、私はアメリカ人のご夫婦にお礼を言って、「今夜はどこかのホテルに泊まります」と我が家を虚しい気持ちで後にしたのでした。

靴づれした足をヒリヒリさせながら、雨の中、トボトボと登ってきたばかりの坂道を降りながら、息子に対してものすごい怒りの感情が湧いて来るのがわかりました。

「”11時は帰るね”と前もって電話を入れたのに」

「いつもの習慣とはいえ、内側からロックをかけるとは一体なんて不注意なんだろう!」

そんな非難の言葉が次々と溢れると、さらに怒りのボルテージは上がります。

けれどもその時ふと、「あ、私は今、息子を悪者に仕立て上げようとしている」と我に帰ったのでした。

私から見たら、扉を開けておかなかった息子が不注意で悪いと感じるけれど、息子には息子の事情があったのかもしれません。

「それを知らないままに、一方的に悪者に仕立てるのはめよう。」と現状を受け入れると決めた瞬間、怒りの感情がふっと和らいだのでした。

結局、痛い足をひきづりながら雨の中を一駅歩いてみたものの、三連休のなか日で、ホテルはどこも満室でした。

仕方ないと受け入れたとは言え、朝まで一体どうすればいいのだろうと途方にくれていると、お隣のアメリカ人の奥さんからメールが入りました。

「真理子、三連休でホテルはきっと満室でしょう。子どものベットが空いています。私たちの家に泊まってください。友達ですからどうか遠慮はしないで。」と言った内容が英語で綴られていた。

結局私は、そのお言葉に甘えることにしました。

再び家に到着したのは、夜中の12時過ぎ。

それにもかかわらず、お隣の奥さんは暖かいお茶を出してくれて、パジャマと歯ブラシまで貸してくれました。

翌朝、メールを見た息子から「ドアを開けたよ」と返信が届いていました。

息子には「昨日、ママはとても大変だったよ」と言うだけで、責めることはしませんでした。(顔は怒ってたかも・笑)

後から話してみると、彼も昨日は初めての英検を受け、一人での食事の準備をして、くたくたになり、9時には寝てしまったと言うことでした。

誰にも頼れない状況で、全てを一人でこなす緊張感もあったのでしょう。

一回熟睡したら朝まで起きないのは、育ち盛りの証拠かもしれません。

もちろん悪気があったわけではなく、「今度からは気をつけようね」と言う話し合いで今回のパプニングは締め括られたのでした。

悪者を作りたくなる心の働きを知る


私が息子を責めるのを思いとどまった理由の一つに、誰かを悪者にしたくなる心のメカニズムを知っていたからというのがあります。

「人はなぜ誰かを責めたくなるのか。」

その根本的な原因となっているのが、バーストラウマという心の傷です。

バーストラウマとはお腹の中にいた赤ちゃんが、狭い産道を通って生まれてくるプロセスに作られる「自己否定感の種」のようなもの。

フロイトの弟子である精神分析家オットーランクによって初めて発見され、誰もが多かれ少なかれ潜在意識と呼ばれる心の深い領域にもっていると言われています。

暖かくて、安心安全なお母さんの子宮から、強く圧迫されながらこの世界に生まれ出るプロセスは、人間にとって人生最大の試練になるのです。

この時作られたバーストラウマは「生まれてきてよかったのだろうか」「存在していいのだろうか」という不安感を心の奥底で常に生み出し続けています。

こうした感覚があるために、何かの刺激で「存在が否定された」と感じると、人は無意識に周りに”悪者”を作り上げ、「あの人は悪いけど、私は悪くない」「私はこの世界に存在してもいい」という安心感を得ようとするのです。

今回のケースを分析してみると
・私は外に締め出されたことに、惨めさ=自己否定的な気持ちを感じた

・息子が悪い!!と思うことで怒りの感情を生じ息子を悪者にすることで、自分の惨めさを感じないで済むようにした

といった具合でしょうか。

外側に敵を作り出し”自分は善である”という立ち位置をとることで、一時的に守られたかのように錯覚するかもしれませんが、結局それは長続きしません。

むしろ、自分は善であるとしたいがために、周りに敵を作り続け、不要な争いを生み出す結果にも繋がっています。

誰も悪くないを経験した私たち親子の変化


今回の経験は、わたしたち親子の関係に思わぬ変化をもたらしました。

これまで私が出かける時、「えーまたなの~?」と嫌とは言わないものの、不服そうなことをが言うことも多かったの息子。

ところが最近では、「気をつけて行ってきてね」「お土産よろしく」と気持ちよく受け入れてくれるようになりました。

さらには、自分で食事を作ろうとしたり、「一泊ぐらいなら泊まりも大丈夫だよ」と言ってくれたり、心の成長の密かに感じています。

おそらく親子間で知らず知らずのうちに「あなたが悪い」「私は悪くない」と言うような「被害者」「加害者」を互いに演じていたのが、

今回の出来事で”どちらも悪くない”という対等な関係性を体験したことで、息子の自立を促したのかもしれないなと思っています。

”誰も悪くない世界”へいく方法



”誰も悪くない世界”

それは、どこか遠くの場所にあるのではなく、心の奥底にある”バーストラウマ”を癒し、どんな状況でも”私は存在していい”という境地に達したとき、たどり着く場所だと言えます。

私が息子にイライラしながらも、気づいてすぐに切り替えられたのは、ヒーリングによってバーストラウマをある程度癒していたからだと思います。

そうやって自分の心を癒していくことが、本当の意味で安心して生きていくことに繋がっているようです。

今回のできごとを振り返ってみても、誰も悪くないという立ち位置をとったことで、
史上最悪の事態だと思っていた現象が、お隣さんの親切や優しさに触れて、親子関係もさらに良くなる事象に変化しました。

もちろん私も
まだまだ失敗することもあるし、
間違うこともあります。

それでも少しつづ、誰も悪くない平和な世界を自分の内側に広げていきたいなと思っています。


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