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マーケに携わる人は「本音」「本当」「本質」といった言葉には警戒すべきだと思いますよ、いやマジで!!

こんにちは、リサーチャーの牛尾です。


★本記事のテーマ:「本音」「本当の○○」「本質」といった言葉にご用心!


「本音」って何?「本当」って何?


<1>

「インタビューで本音を聞き出したい」

「インタビューでは本音は引き出せない。重要なのは<観察>だ」

「人びとが本当にほしがっているものを知りたい」

「皆が本当に望んでいるのは何だろう?」

……なんて言葉をよく耳にしますが、はて、その<本音>とか<本当>ってのは一体何を指しているのでしょうか?


そこをきちっと定義しなければ、<本音/本当>を把握することはできません。


<2>

だって、そりゃそうですよね。

ヒラタクワガタを捕まえんとして山に登ったとしても、そもそもそれがどんな虫なのか知らなければ見つけることはできない。


見ず知らずの人から「面白い映画が見たいな。何かオススメはありませんか?」と尋ねられたとして、あなたは答えられますか?

答えられるはずが……ない!

だって、その人の言う<面白い>の意味がわからないのですから。

まずは、その人が何を指して<面白い>と言っているのか明確にする必要があります。ハラハラドキドキのサスペンス?感動のラブストーリー?それとも吐き気を催すスプラッター?


<3>

そして大変失礼な言い方になりますが……<本音>とか<本当>という言葉を使う方は思考停止していることが多い

メチャクチャに多い!

重ね重ね失礼なことを言いますが、「あのぉ。<本音>とか<本当>とか言っておけば何か斬新で素晴らしいインサイトやアイデアが出てくると思っていませんか!?んなことあるかい!!」とツッコみたくなったことは数知れません。


というわけで皆さん、<本音>とか<本当>という言葉が口から飛び出しそうになった時にはどうぞ一度踏みとどまって、「……はて。私は何を指して<本音>とか<本当>とか言っているのだろう?」と自問自答していただければと思います。


「本音」「本当」「本質」なんて存在するのか?


<1>

というかですね、そもそも<本音>とか<本当>なんてものは存在するのでしょうか?


あなたは、【物事には本質があり、巧くアプローチすればそれを知ることができる】と思っていませんか?

でも本当に?

本質なんてものは果たして存在するのでしょうか?


<2>

堅苦しい言い方になり恐縮ですが……すべては社会的に構成されたものにすぎないのでは?

そしてまた、すべては関係の中に存在するだけなのでは?

つまりリサーチで解き明かすべきは、個々人の<本音/本当/本質>なんてものではなく、我々が埋め込まれている社会的文脈や社会構造なのではあるまいか。


<3>

例えば、「彼は本当は優しい人なんだよ」という言葉。

それは<本当>でも何でもなくて、単に「あなたのような美人の前では優しい人」「お金や時間に余裕がある時は優しい人」に過ぎないのではないでしょうか?


人間には<本質>なんてものはない。

一瞬一瞬の行動があるに過ぎない。

それを都合よく切り取って「ここからここまでが本質、ここから先は本質ではない」と線引きしているだけではないか?


<4>

インタビューをしていると、「あの人は本音を語っていないよ。モデレーターがバイアスをかけてしまっている」なんておっしゃる方がいます。

なるほど、確かにそういうこともあるでしょう。経験不足のモデレーターが過剰に干渉してしまうことは現実にあり得る。


とはいえ……では、その<本音>ってのは一体何なのでしょうか?


家族や友人の前での発言が<本音>ですか?

ウソだ―!

それは単に「家族や友人の前での発言」「家族や友人に配慮した発言」に過ぎませんよね。


では、1人きりの時に考えることが<本音>ですか?

いやいや、それも違います。


いいことがあった日には明るい妄想が捗るものだし、嫌なことがあった日にはメランコリックになる。つまりは、いろいろなものに翻弄されまくるのが人間じゃないですか。

それなのに<本音>って……都合のいい部分を切り取って、「これが彼の本音です」と言っているだけではありませんか?


結論


・Point1:あなたがマーケの関係者であれば、<本音/本当/本質>といった言葉はなるべく使わない方がいいと思います。むしろ、「<本音/本当/本質>なんてものはない」というところからスタートするよう心掛けるのがオススメです。

・Point2:もしも「これが<本音/本当/本質>ですよ」なんて言う方と出会った時には、特定のシーンや反応を恣意的に切り取っている可能性が高いと考え、「あなたがおっしゃる<本音/本当/本質>というのはどのようなものですか?」と尋ねることをオススメします。1つか2つ、あるいは3つくらい例をあげてもらえば、目線が揃うはずです。


ぜひ参考にしてみてくださいねー!!

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