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ラダリング法で<value>を考える時には、この7つの項目を念頭に置くといい!!

こんにちは、リサーチャーの牛尾です。

「リサーチに関する学術論文を読んでみよう!」のコーナー!!


▶本記事では、以下の論文を取り上げます

Wansink, Brian. (2003), "Using laddering to understand and leverage a brand’s equity," Qualitative Market Research, 6(2), 111-118.


※補足1:英語の論文です(過去、公式に邦訳されたことはない論文です)。

※補足2:本論文のタイトルをGoogleなどで検索すると、PDFが見つかると思います。著者がアップロードした公式なもののようですので、本論文を読みたい方はこれを利用するといいと思います。


※もう1つ補足:本論文のテーマは<ラダリング法>です。ラダリング法についてはこちらの記事で詳述しました。先にご覧になることをお勧めします。


【おさらい】ラダリング法って何だっけ?


<1>

まずは、ラダリング法の基本をおさらいしておきましょう。


そもそもラダリング法とは、【「ある商品が売れたのはなぜか?」「消費者はどこが気に入ったのか?」を明らかにするための調査手法】です。

もう少し具体的に言うと……【<attribute = 商品の属性、特性>と<value = 人びとの価値観>のつながりを明確化することで、「なるほど!この商品の○○という部分が消費者の××という価値観(≒欲求)とフィットしたから売れたのか!」という気づきをもたらす】、これがラダリング法です。


<2>

で、そのattributeとvalueのつながりを明確化するためのツールが……そう、<価値マップ>

こんなのですね。


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ご覧の通り、最下層のattributeから最上層のvalueに向かって線が引かれています。そしてこの線をたどることで、「あー!この商品の○○という部分が消費者の××という価値観(≒欲求)とフィットしたから売れたのか!」という気づきを得ることができるのです。


※補足:ラダリング法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください!


よくある7つのvalue


<1>

さて!

本記事で注目するのは、価値マップの<value>の部分です。


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というのもですね、論文中にこんな一文があったんですよ。

Seven general values often prove to be the end goal for purchase behavior:
(1) accomplishment;
(2) belonging;
(3) self-fulfillment;
(4) self-esteem;
(5) family;
(6) satisfaction; and
(7) security.


つまり、【購買行動の最終的な目的は、往々にして以下の7つの<普遍性の高いvalue>になる】とのこと。

で、その7つのvalueというのは……

・【1】accomplishment:達成感/成し遂げたという感覚

・【2】belonging:所属すること/自分がどこかに所属しているという感覚

・【3】self-fulfillment:自己実現/「私は、自分の能力を最大限発揮して自分のしたいことをしている」という感覚/「私はいま自分にぴったりの場所で活躍できている」という感覚

・【4】self-esteem:自尊心/自己肯定感

・【5】family:家族

・【6】satisfaction:満足感

・【7】security:安心感


つまり、【価値マップのvalueには、往々にして<accomplishment>や<belonging>が入りますよ】というわけですね。


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<2>

<テレビゲーム>を例に考えてみましょう。

すなわち……


▶パターン1

私たちはなぜゲームに没頭するのか?ラダリングインタビューをやってみると、おそらくは【accomplishment】というvalueにたどり着くはずです。

つまりゲームは、「クリアしたぜ!」「1位になったぜ!」といった達成感>を味わいたいというvalueにフィットする商品なのです。


▶パターン2

【belonging】というvalueに到達することもあるでしょう。

わかりやすいのが子ども。彼らは皆で同じゲームをプレイすることで、仲間意識を共有しているはずです。また、マニアックなゲームをプレイする人たちも好例です。彼らは、SNSを通じて同好の士と交流する時に最高にワクワクしていることでしょう。

つまりゲームは、<所属しているという感覚>を味わいたいというvalueにフィットする商品でもあるのです。


▶パターン3

【family】なるvalueにたどり着くケースも考えられます。「家族揃ってワイワイ楽しめる。これこそがゲームの価値だよ!」というタイプの人ですね。

彼らにとっては、ゲームは<「家族の絆を深めたい」「家族の時間を大切にしたい」というvalueにフィットする商品>です。


7つのvalueを指針にしよう!


<1>

上述の7つの項目、どう思います?

「valueを考える時にいい指針になりそうだぞ!」と思いませんか?


もちろん、この7つですべてのvalueが網羅できるはずはありません。また、そもそもこれは著者の経験から導き出された項目であって実証された事項ではないようです(「Through the process of conducting over 1,200 laddering interviews」という記述があります)。

ゆえに、盲目的に信じては危ない。「ベテランリサーチャー曰くこの7つになることが多いらしいよ」くらいにとどめておくべきでしょう。


とはいえ、やはり指針があるとないとでは大違いです。

だって、指針があればこそ「この人のあの発言は、要するにaccomplishmentにつながるのでは?」なんて風に仮説をもって作業することができるのですから。

作業効率が増すでしょう。

精度だって高まるはずです。

複数人で作業分担することだって可能になります。


<2>

なお上述の7つの項目について、著者は以下のように付記しています。

With the exception of security, most of these values can be associated with the social and self-actualization levels of Maslow’s hierarchy of needs.


すなわち、【これらの価値観は、<security>を除いて、マズローの欲求階層における「社会的欲求」と「自己実現欲求」に関連している】。


本論文内では、7つの項目についてこれ以上詳しくは言及されていません。したがって、もっと色々知りたい方はマズローを勉強してみるといいかもしれません。


以上です!

皆さん、ぜひ参考にしてみてくださいねー!!

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