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「昨年(2021年)買ったものの中で、最も『買ってよかった!』と思うものを教えてください」って訊いてみた!【定性リサーチ実験室】

こんにちは、リサーチャーの牛尾です。今日も「定性リサーチ実験室」のお時間です🎉


◆定性リサーチ実験室とは?

リサーチでは「問い」が重要です。いい問いかけには「いい答え(= あなたの疑問を解き明かし、次のアクションのヒントになるような答え)」が、そしてクソみたいな問いには「クソみたいな答え(= 毒にも薬にもならぬ答え)」が返ってくるものです。

・というわけで!実際にリサーチをやってみて、「こんな問いかけをしたら、こんな答えが返ってきましたよ」「今回の気づき・反省点は○○です」といったリアルな知見を皆さんにシェアします


◆今回の実験

◇問い

今回は、「あなたご自身が昨年(2021年)買ったものの中で、最も『買ってよかった!』と思うものを教えてください」と問いかけてみました。

じつに年始らしいリサーチですね🎍


◇調査目的

これはTVや雑誌の企画ではありません。したがって、単に「皆が買ってよかったもの」を把握しても仕方がない。重要なのはその先です。すなわち、【皆がそれを買った理由/買ってよかったと思う理由 = 皆が求めているもの = ウォンツ】!!

ウォンツを把握できればしめたものです。後はそれを踏まえて新商品を開発したり、既存商品をリニューアルしたりするのです。


◇今回のポイント

「あなたご自身が昨年(2021年)買ったものの中で、最も『買ってよかった!』と思うものを教えてください」という問いには2つの懸念があります。

・懸念1:「もの = 有形財」ばかりが挙がり、「サービス = 無形財」が挙がらないのではないか?

・懸念2:「高価なもの」ばかりが挙がり、「比較的安価なもの」が挙がらないのではないか?


ということで、設問文に以下の注釈を加えました

・注釈1:モノに限らず、サービスでもOK!

・注釈2:高価なものでも、安価なものでもOK!


◆実験結果(回答例)

実際に回収した定性データの内、1データを見やすくまとめてみました(私のコメントも付けてみました。「リサーチャーの視点」という欄です)。

どのような回答が挙がったのか雰囲気を掴んでいただければと思います。


※画像クリックで拡大します。

AirPods(第3世代)_2-1


◆実験結果(知見)

◇ポイント1

まず、【懸念1:「もの = 有形財」ばかりが挙がり、「サービス = 無形財」が挙がらないのではないか?】について。

これは、回避できたのか微妙な結果でした。


というのも、確かに「パレスホテル東京のラウンジバーPrivéでアフタヌーンティを楽しんだ」といった回答はあったのですが、数がかなり少なかったのです(全体の3%程度)。


コロナ禍のせいでサービスを利用する機会が減っているのか、それとも上述の通り注釈を付けたものの、やはり有形財にばかり考えがいってしまったのか……?


◇ポイント2

続いて、【懸念2:「高価なもの」ばかりが挙がり、「比較的安価なもの」が挙がらないのではないか?】について。

こちらはたぶん失敗です。上述の注釈では上手く回避できませんでした。


「イケアのカラトリー」(100円未満の商品です)といった回答は見られたものの、しかし数が少ない!スマホや家電、室内運動器具など5~10万円程度のものが多く挙がり、1000円未満と思われるものは全体の5%程度にとどまりました。


いやぁ……このデフレ下の日本ですよ!安くていいものはたくさんありますよねー!?


◇ポイント3

プレゼント用に購入したものを挙げてくれた人がいました。

具体的には「着る毛布 シャチ(丸眞社)」と「ピーカンナッツ(サロンドロワイヤル社)」で、「相手が喜んでくれたので私も嬉しかった」とのことです。


◇まとめ

▶1

懸念に対処すべく「モノに限らず、サービスでもOK!」「高価なものでも、安価なものでもOK!」という注釈を付けてみましたが……うーん、その効果はあまり高くないように感じました。

たぶん、回答は「高価な有形材」に偏っています


やはり欲張りや横着はいけませんね。

まるっと聴取しようとするのではなくて、

・Q1:「もの(有形材)」について教えてください。

・Q2:「サービス(無形材)」について教えてください。

・Q3:「5万円以上のもの」について教えてください。

・Q4:「500円未満のもの」について教えてください。

・Q5:「プレゼント用に買ったもの」について教えてください。

……と順々に聴取するべきでした。そうすれば、より幅広い声を集めることができたでしょう。そして、より多様なウォンツを引き出し得たはずです。


▶2

「予算や設問数・インタビュー時間の都合でそんなに細かく分けて訊けないよ!」という場合もあるでしょう。

しかし、二兎追うものは一兎も得ず。今回の実験のようにまるっと質問するのはおすすめできません。そんな時には「今回は5万円以上のものについて集中的に聴取しよう。それ以外についてはまた別の機会に訊こう」と割り切るべきでしょう。

そうすれば、望ましい回答(= あなたのビジネスに役立つ回答)を集め得る可能性が高まるはずです。


最後までご覧いただきありがとうございました。それでは次回の実験でまたお会いしましょうー!!

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