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瀬戸内から世界へ〜変化を魅せる地域🛥

今から40年前は高度成長期から安定成長期へのまっただ中。悲願の瀬戸大橋の工事が始まり、本州が陸続きになる四国にとっては夢の様な“開国前夜”とも言うべき時を迎えていた。

:そして現在。当時とはいささか趣は異なるものの、確実に第2の波が押し寄せて来ていたことを実感していた。

 3年に一度のトリエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭が開催される。そして地方空港二番目の民営化で全国的に注目を集めた「高松空港」の国際線の更なる充実が図られていた。

 外国人観光客が更に増える一年。長年のデフレ、バブル崩壊による失われた20年の反動、地価の上昇はローカル地域を変える役目を果たしている。

 そして「瀬戸内海」はついに、欧米の注目を集めるまでに。

来年は待望の「東京五輪」の開催。2025年には「大阪万博」も決まった。人が来ればビジネスが栄えるのが常。観光業しかり、交通事業者etc.

人口減少社会の到来で四国の未来に漂いつつあった悲壮感を取っ払うゆるやかだけどしっかりした追い風が吹いてきたのだ。

 瀬戸内エリアに人が集まれば、必ずいろんな感動を持ち帰ってくれて、それを個人レベルで情報発信をしてくれる。そんな時代。そしてリピーターとなってくれれば、そのうちもしかしたら四国・瀬戸内で仕事をするために、移住や留学も考えてくれるかもしれないという淡い期待もある。

 そして地方企業に直接雇用される。もはやそこには国境は存在しない。

 四国はもはや東京だけを相手にするのではない。世界を相手に売り込む時期になった。時を逃してはならない。

 見逃せないのが、外国人仕様になった宿泊施設や集客施設での体験に、日本人もある意味、これまでになかった発見を見出してきていることではないか。増え始めたゲストハウスと呼ばれる「シェアタイプ」の宿泊施設では、日々、非日常の体験をキーワードにしたイベントが開催されている。その土地ならではの風俗や伝統を、国籍関係なく楽しんだり学んだりすることで、その土地を知ることが出来る仕掛けがどの施設でも存在する。様々な国からの色んな考えを持つ人が持ち込む思考や視点がそこで交わり、日本人の視野も広げてくれるきっかけとなっている。

 ひとつ気になるのは北海道のニセコエリアの状況

 地価の高騰で住宅地も商業地も上げ率は地方ではナンバーワンだ。多くがアジアを中心としてオセアニアなどの、海外の企業や投資家が購入し、それを海外からの観光客のために貸し出す。宿泊や長期滞在が出来る大規模な施設を相次いで建設している。地元にはあまりお金は落ちていない。逆に高くなった固定資産税がネックとなり、地元を離れざるを得なくなっている地元民のケースも多くあるようだ。

 海外の観光客にその魅力を見出され、日本人があまり行くことがなくなってきていた観光地が再び脚光を浴びる。それ自体は良いことなのだが、行きすぎると逆効果になってしまうこともある。これでは本来の地域活性化とは言えなくなってしまう。

せとうち圏の空港に増える国際路線の開設

 せとうち、四国を気に入ってリピートしてくれる、移り住んでくる外国人は今後、ますます増えて来るのは間違いない。地域の居住者と一緒になって、地域の活性化に取り組めると未来は明るくなるかもしれない。

 広島空港も高松空港に続き、民営化への動きを加速し始めている。

 神戸空港も昨年春の民営化を経て、今後は24時間化、国際化へ向けた舵を切っていくものと思われる。四国でも高松に負けじと、相次いで高松以外の空港に国際定期便の乗り入れのニュースが伝えられ、アジアの国ならインを関西、アウトを四国の空港に設定出来るようになった事で、バラエティ豊かな瀬戸内、四国の周遊コースも組みやすい。

 インバウンド4千万人に向けた国の方針が示された。

 本気モード。ここまで急激に外国からの訪問客が増えた国をかつて聞いたことがない程だ。確かに個々に見ると弊害も出て来てはいるが、人口減少社会に突入している先が暗い日本が唯一生き残る手段が「観光産業」であることも自明であることは誰もが認めざるを得ない。

 関連消費額はなんと8兆円である。アベノミクスで一番の成果。

 ニューヨークタイムズ紙の電子版は、昨年の新年に掲載した「2019年に行くべきデスティネーション(52エリア)」として、第七位に「瀬戸の島々」を選出。紫雲出山から瀬戸内海を望む満開の桜の絶景がイメージ写真に選ばれた。2015年の成田空港のカレンダーに選ばれたものと同じ風景が、ついにNY発で世界に発信されたのだ。

 世界を旅する観光の達人達にも、瀬戸内に興味を持ってくれるタネが蒔かれた。そのタイミングでのコロナ禍は誠に残念なのだが、この流れ自体はコロナ収束後も変わることはないだろう。もはやインバウンド抜きの地方創生は難しい。グローバルな舞台で輝ける地元を作っていくことが、日本国内でも輝き続ける事の出来る条件。瀬戸内圏はすでにその領域に足を踏み入れた。


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