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【NYレポート】ムスリム経営のコンビニとニャンコ

皆さん、こんにちは! 在米24年目、ニューヨーク在住の音楽家・文筆家、伊藤玲阿奈(れおな)です。

先週、私が住んでいるハーレム地区で、グリコのポッキーを仕入れてくれた近所のムスリム(イスラム教徒)が経営するコンビニのお話をしました。(こちらです👇)

今回は、その続きという訳ではないのですが、ムスリム経営のコンビニにまつわるエピソードをもうひとつ。

前回もお伝えしたとおり、私がよく利用する近所のコンビニは3軒あります。他にもコンビニはたくさんあって、我が家により近いものもあるのですが、3軒以外を利用することは滅多にありません。

品ぞろえは大して変わらないのに、それはなぜか?

答えはカンタン。3軒のうち1軒はポッキーがあるから(前回登場のお店)。そして残りの2軒にはニャンコがいるから、です。

こんな風に👇、ドドドーンと(笑)

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「ちゃんとこのレジで払っていくにゃ」(筆者撮影)

コンビニ店内にニャンコが? 昭和の時代ならまだしも、最近の日本ではあまり考えられませんね。猫カフェが人気になるくらいなので、それだけお店で動物を飼うのには(おそらく衛生上の理由から)抵抗があるということでしょう。

ところがNYでは案外と見かけます。しかも、私の大好きなニャンコを。

衛生に関する規制がどうなっているのか分かりませんが、おそらくその理由は、コンビニの個人経営主にムスリムが多いからだと思います。

というのは、イスラム教においてネコは神聖な動物とされているのです。なにしろ教祖・ムハンマド(マホメット)の命を助けたのだとか。ゆえにムスリムはネコをとても大切して、礼拝中にニャーニャー入ってきても許されてしまいますし、商売繁盛のために店内で飼うこともあるわけです(中華系の方が店内に三国志の英雄・関羽の像を置くようなものかな?)。

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もう一軒のコンビニにいるニャンコ。このあと、お店の人にこの子の名前を聞いたところ、笑ってしまう事態が・・・(筆者撮影)

ここで興味深いのは、逆に不浄とされている動物のことです。いったいどの動物だと思われますか?

答えは、なんとイヌ! 

あんなに人懐っこくて、ネコと人気を二分しているはずのイヌなのに、イスラム圏では不人気です。その宗教的な理由には幾つかあるようですが、ムスリムに聞くと、どうやら臭いが嫌われているようです。そこから衛生上よくないというイメージになったのかもしれません。

イスラム教は今のサウジアラビア、つまり "暑い"、というよりも "熱い" 砂漠地帯で生まれました。ですから信者を守るためにも、衛生については取りわけ厳しい決まりがあります。

そういえば、私がジョージ・ワシントン大学にいた頃、日本人の先輩がモロッコ人とお付き合いされていて、ムスリムの人たちがいかに綺麗好きか何度も聞かされたことがありました。

ただ、昔より格段に衛生的な生活ができるようになった最近は、ムスリムなのにイヌを好む人も出てきたようです。たとえば、パキスタンのカーン首相やムシャラフ元大統領は愛犬家として知られています。

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「日本のイヌめ。成敗してやるにゃ!」マウンティング(?)される私。

いずれにしても、ニャンコが商品と一緒にならんで寝ているのをNYのコンビニで見かけたとしたら、おおかた経営者がムスリムだろうと予想がつくわけです。(でなければ、ネズミ対策でしょうね)

さて、上の写真の私に乗っかっているネコ。とても懐っこくて可愛い子なので、ある日、お店の人に名前を尋ねてみました。すると、どんな答えが返ってきたと思いますか?

アハハ、知らない。名前ないんよ!

えぇぇぇぇぇ、本当ですか!? 夏目漱石の「吾輩は猫である。名前はまだ無い」の世界そのままじゃないですか!! 

「ホントに尊敬してるんだか、適当なんだか・・・。」 予想外の返答に、唖然としつつも大笑いした私でありました。

皆さんなら、一体どんなリアクションになるでしょうか!?

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「お金がにゃい? このATMで下ろしにゃさい」(筆者撮影)

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「起こしちゃ嫌にゃ」(筆者撮影)

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プロフィール:伊藤玲阿奈 Reona Ito
指揮者・文筆家。ジョージ・ワシントン大学国際関係学部を卒業後、指揮者になることを決意。ジュリアード音楽院・マネス音楽院の夜間課程にて学び、アーロン・コープランド音楽院(オーケストラ指揮科)修士課程卒業。ニューヨークを拠点に、カーネギーホールや国連協会後援による国際平和コンサートなど各地で活動。2014年「アメリカ賞」(プロオーケストラ指揮部門)受賞。武蔵野学院大学スペシャル・アカデミック・フェロー。2020年11月、光文社新書より初の著作『「宇宙の音楽」を聴く』を上梓。タトル・モリエイジェンシーのnoteで『ニューヨークの書斎から』を連載中。

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