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資本主義で得られる幸せとは?

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毎日を生きよ

あなたの人生が始まった時のように

ゲーテ

◆資本主義の仕組み

この世界で生きる人の多くは資本主義経済というシステムの中で生活している。みなさんは資本主義の仕組みを理解できているだろうか?

以前、「僕は君たちに武器を配りたい」を紹介した時に資本主義の仕組みを「より安く、より良い商品を作ることで社会を進歩させるシステム」と一言で説明した。

◆資本主義で得られる幸せとは

この資本主義で得られる幸せを一言で言えば、「貢献の実感」だ。そしてこの貢献度をお金で測る仕組みが資本主義なのだ。これは「日本の没落」で紹介された「ファウスト」というゲーテの戯曲に暗示されている。今日はこのファウストを簡単な紙芝居でざっくりとまとめてみた。

◆ファウスト

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エシモの解説:あらゆる学問を究めた学者ファウストが晩年に落胆するシーンから物語は始まる。勉強だけしてきて、人のために働かなかった(働く必要のなかった富裕層なのかも)頭でっかちのおじいさんが主人公。

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エシモの解説:落胆するファウストの前にふと悪魔のメフィストフェレスが現れる。ファウストは悪魔と契約を交わす。その内容は悪魔がファウストの生前は欲望をなんでも叶えてやる代わりに、もし満足して「時よ止まれ、お前は美しい!」と言ったのならば、その場で死に、死後の世界ではファウストが悪魔に服従するという契約だった。

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エシモの解説:あらゆる欲望を満たしてみたが、心の底から満足することはなかった。これは受動的に得られるものに幸福感は感じない、あるいは慣れてしまうという人間の特性が表現されている。

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エシモの解説:自分の欲望を受動的に満たすことに飽きたファウストは、国の経済を発展させるために悪魔に通貨発行の仕組みを作らせたり、皇帝の戦に悪魔の力を使って肩入れしたり、次第に悪魔のパワーを見せつけるようになる。これは作者ゲーテが生きた時代の帝国主義の膨張と金融資本主義の特徴を表現している。(お金の価値は国の信頼の元に人々がその国の通貨に価値があると思い込むことによって成り立つ)

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エシモの解説:皇帝から領地を与えられたファウストは自分の領地を発展させるべく海と海をつなぐ運河を作ることに決める。ゲーテが生きた時代にエジプトのスエズ運河をイギリスの東インド会社が作った事実を元に書いている。人類が香辛料の獲得とアジア支配という己の欲望のために大陸の地形をも変えてしまうほどの力を得たことをゲーテは皮肉ったのかもしれない。

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エシモの解説:これは地元住民の生活より、領地全体の繁栄を優先した結果、弱者を殺してしまうシーン。いつの時代も力のあるものが弱者を苦しめる構図は変わらない。今みたいに庶民に参政権が無かった時代は領主の意見は絶対だった。現代は当時に比べれば全然マシだ。なぜなら参政権があるからだ。それでも弱肉強食のバランスは変わらない。コロナに対する政府の対応を見れば分かると思う。この現状を変えるために立ち上がるのは私たちしかいない。個人主義で他人任せの国民が多ければ多いほど国は腐る。権力の腐敗はいつ、誰がなっても起きるからだ。

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エシモの解説:これは当時の権力者にバチが当たることをゲーテが望んでいたのだろうか。事実は定かではない。

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エシモの解説:人間の底なしの欲望にあきれる悪魔メフィストフェレス。ブッダやセネカが説いた「足るを知る」がどれほど大事か教えてくれるシーンだ。自分はどれだけ稼げば十分暮らせるのか、どれだけ食べれば満足か、どれだけ寝ればスッキリするか、どれだけ恋人を作れば満たされるのか…自分で自分を理解しておくべきだ。

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エシモの解説:夢や目標は達成までは辛い道が続く。達成した瞬間はドーパミンが脳内でドパァと出るが、それも一瞬で終わる。自分が信じるビジョンと自ら決めた目標に向かって進む時、人は無理をしても耐えられる。それが経営者だ。経営者に先導されて言われた命令に忠実に従う大勢の労働者は明日の飯が食えればそれで良いのだ。考えるのは面倒だし、リスクをとるのも怖い、かと言って今の仕事が好きというわけでもない、正直早く帰りたい。だったら頭のキレる経営者の下で思考停止させて手を動かしていた方が楽ちんなのだ。

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エシモの解説:ここが資本主義社会で得られる幸せにファウストが気づいたシーンだ。自分の欲望を叶えるためではなく、社会にとって良いと信じられるものに没頭するときが「頑張ろう」と集中できて、完成品を受け取った人からの「ありがとう」に喜びを感じる。周りから感謝されることで自分は社会に貢献できていると実感し、人は幸福感を得る。これは人間関係を重視してきた狩猟民族時代から変わらない本能だ。今の時代では「仲間への貢献」を実感するには資本主義社会で事業を起こして貢献するしかない。なぜならお金が無いと生きていけないからだ。

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エシモの解説:偉大な社会貢献をしていると実感したファウストはついにこのセリフを叫んでしまった。

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エシモの解説:ファウストは空から雷に打たれて死んだ。この雷は、形を変えていずれ現代人にも突き刺さるのかもしれない。

西洋の没落を書いた哲学者のシュペングラーは「ファウスト」を読んでこう述べている。

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「際限なく成長を続け、新しいものを発明し続ける」この思想によって生み出されたものがいずれ人間の生命をも弱らせるだろう。

…今回のコロナショックは間違いなくグローバル化した資本主義によって生み出された人災だ。これは、明らかにファウストが受けた雷なのだ。

◆エシモの所感

人は誰だって幸せになるために生まれてきた。ぼくはそう信じている。幸せを得られる方法はハーバード大学の長年の研究で「人間関係を良好に築くこと」だと分かった。貧乏も富裕層も関係なく、人間関係の質が幸福感を左右するのだ。自分がいるのは家族のおかげ、友人のおかげ、近隣住民のおかげなのだ。貨幣を通して視野を広げれば自分が買ったものは、顔も知らない誰かが作ってくれたものだ。人類は狩猟民族時代から仲間と行動を共にし、それぞれが出来ることで仲間に貢献し、幸福感を得て暮らしていた。お金さえあればなんでも出来る、金を出しているのだから文句は言わせない、お金こそ自分の力、そう思っている人がこの時代にどれほどいるのだろう。お金は社会を豊かにする潤滑油みたいなものでただの道具にすぎない。その道具を使う人間が自分自身の力で人に貢献しない限り幸福は得られないのだ。

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