14歳の自分に伝えたい「お金の話」
「お金を使って何をするか」という選択が、君の未来を形づくっていくのです。
藤野英人. 14歳の自分に伝えたい「お金の話」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.157). Kindle 版.
藤野英人さんが今14歳の人たち、そして、14歳だったご自身に向けて書かれた一冊です。
藤野さんは、レオス・キャピタルワークスという会社で多くの人たちからお金を預かって、託されて、それを「使って」います。何に使っているか、会社の株式を買うために「使って」います。どんな会社の株式を買うのに、お金を「使って」いるのか、それはこちらを見れば分かります。
藤野さんのお金の「使い方」は、世間では「投資」や「(資産)運用」と呼ばれているものです。ですので、藤野さんは”投資家”と一般に呼ばれていますし、ご自身も”投資家”とおっしゃっています。
「お金の話」と聞くと、多くの人は反射的に「ふやす」「増やす」「殖やす」、何で殖やす、どう増やす、そんなことを連想されるのではないでしょうか。でも、この本はお金を「どうふやす」「何してふやす」ということは、メインのテーマではありません。
メインテーマはお金の「使い方」です。
これから新しい事業にチャレンジしたいと意気込む起業家に向けて、僕はよく言います。「みなさんのライバルは他の会社ではありませんよ。お金そのものです。お金の魅力に勝てる商品やサービスをつくらないと、お客さんは買ってくれませんよ」と。
藤野英人. 14歳の自分に伝えたい「お金の話」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.354-356). Kindle 版.
日本人は「お金」そのものが大好き。とにかく手許に置いておきたい。そういうマインドになってしまっている。お金を使わないから、使い方がヘタクソになってしまうのも当然のことでしょう。
買い物の試行錯誤そのものが面白いのです。それに、買い物に限らず、人生には失敗を経験しないとわからないことはとても多い。
藤野英人. 14歳の自分に伝えたい「お金の話」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.871-872). Kindle 版.
この1年、湯水のようにお金を使ったけれども、残念ながら日本は未だに現状の有様です。結局のところ、国全体でお金の使い方がヘタクソってことになるのでは、と僕は思っています。
この本には、僕が昨年出会った一冊の本も登場します。
ヤマザキOKコンピュータさん(ヤマコンさん)の #くそつま本 です。
ヤマコンさんのコメントが紹介されています。
どうお金を使うか、使ったお金がどうなるのか、そう意識する回数が増えるだけで、周りの見え方が変わり始める。そういうことです。
寄付は、社会全体の経済を活性化する行動でもあるのです。
藤野英人. 14歳の自分に伝えたい「お金の話」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.746-747). Kindle 版.
そのお金はどこから来ているかというと「社会」なんですね。
会社が提供したモノやサービスを、社会で暮らす誰かが使ってお金を払ってくれることで、会社は売上をあげています。そしてその売上から、労働の対価として、会社で働く社員に給料を支払っているのです。
藤野英人. 14歳の自分に伝えたい「お金の話」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1046-1049). Kindle 版.
最近、よく考えていることも出て来ましたし、お金を使う、循環させる、それが未来を「選ぶ」「つくる」ことにつながるのだ、ということがこれでもか!という塩梅に強調されています。
僕には、ちょうど14歳の息子がいます。この本もそうですし、先日出版された、奥野一成さんの本も、一緒に読んでもらいたい。2冊読んでみて、まずは藤野さんの本かなあ、と思っています。
問題は、どうやって読んでもらうか、できることなら主体的に。親から「これ読みなさいよ!」と押し付けるのは下策だと思いますし、作戦を練らねばなりません。
中高生に「お金」の話を語る、藤野さんの本、奥野さんの本、こうした本がしっかりと中高生の手元に届いて、主体的に読んでくれたら、そんな中高生が一人でも多くなったら、きっとパラダイムシフトが起きると思うんですよね。
まずは自分の息子から、ですが、この作戦は、社会全体としてお金の使い方がちょっとでも上手になるためには必須のもののような気もしています。
もう一つ、印象に強く残った箇所です。
本当に人生を守ってくれるのは、知恵であり、仲間であり、勇気です。
藤野英人. 14歳の自分に伝えたい「お金の話」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.412). Kindle 版.
「お金」じゃないよ、って。
そんなのキレイゴトだ!と感じる人もいるでしょうけど、僕もこうしたスタンスでありたい、と思っています。とても大事です。
早く読んでみたくてKindleで買い求めて大正解でした。オススメの一冊です。
江東区を拠点に実行されているプロジェクト #TableforKids のご紹介、寄付を募るキャンペーンを行っています。よかったら、下記のページをご覧ください!
僕の14歳は 1986〜1987年頃になります。当時の記憶にあるのは、ファミコン。で、見出し画像にファミコンの写真を使いました。 #任天堂 は知ってました、ゲームウオッチも遊んだ記憶があります。でも、その任天堂がどれくらいの売上高で、どのくらい利益を生み出しているのか、市場の評価はどうなのか、全く関心がありませんでした。当時からすればごくごく当たり前。インターネットも無かったし、その種の関心を持っても調べることは難しかったことでしょう。
ドラゴンクエストは1986年に発売されていたんですね。
1986年当時、エニックスは未上場。ファイナルファンタジーをつくったスクウェアは設立されたばかりだったのですね。
今から振り返ってみれば、ああそうなのか、とも思うわけですし、その当時にそんな風に関心を向けることなんて無理だったと思います。でもね、自分の身近な会社がどのくらい価値を社会にもたらしているのか、そういうことを「お金」というモノサシで知りたい!って考えていたら、その後の人生が結構大きく変わっていたのかもしれない、とも思うのです。
お金をどう使ったら生かせるのか、自分の考えや希望を反映できるのだろうか、そんなことをもう少し早くから想像できていたら、と。
日経平均の推移を振り返ってみました。
1986−1987年というと、バブル経済のピークに向けて駆け上がっていた頃ですね。新聞やテレビには「財テク」という言葉が度々出てきてた記憶があります。でも、覚えているのはNTTの上場くらいでしょうか。1987年2月のことだったようです。この頃、株価って何だろう、って疑問を持つように導いてくれる大人は周りにはいませんでした。株価がなんぼ、ということは彼方此方で話題になっていたと思います。でも、「なんで」という話については、需給の話で片付けられていた?関心が無かったから実際のところはわかりませんが。NTTという会社がどんな価値をつくっているのか、売上高、利益はどういう構造で生み出されているのか、それは将来も持続的に伸び続けるものなのか、そうした話がなされていたのか、まるっきり分かりません。
では、35年経ってどうか。
世間的にはあまり変わっていないようにも感じます。株式投資、資産運用の裾野がここ数年で大きく広がったのは感じます。それにともなってインターネットで発信する人も激増しました。でも「なんぼ(騰がった、下がった)」「価格」の話ばかりが増えていて「なんで」「価値」についてじっくりと調べられたり考えられたりした発信は圧倒的に少ないように思われます。
今から35年後、どうなっているでしょう。引き続き「なんぼ」の話が大多数を占めているのでしょうか。「なんで」の話がそこそこ増えている状態が仮に起きていたとしたら、それは”パラダイムシフト”だと思います。
そんな”パラダイムシフト”を引き起こすきっかけだった。
藤野さんの「14歳本」、奥野さんの「15歳本」が、そんな評価とともに振り返られる未来がやってきたら、とても痛快だろうなあ。