何を思って、この彼にとっては未知の文字群を一生懸命真剣に書いてるんだろう。俺はずっと不思議に思いながらその姿を眺めていたのだ。
スクールホリデー中ということもあって、朝から少し賑やかなお稽古だったんだが、その後もワークショップを挟んで切れ間なく誰かしらが教室に来てずっと字を書いている。
書道のワークショップに来たのはオージー(だと思う)の男性。
彼女に書を贈りたいという。
しかしこの彼、日本語は分からない、勉強したことない。しゃべれもしないし文字も知らない。当然毛筆も初めて。それでもって、この彼が書を送りたいという彼女は日本人ではなく外の国の人。彼女も日本語が分からない。
この彼が、日本語の書を彼女へのプレゼントに選んだというセンス、凄くはないだろうか…。
そしてこの言葉を書いて贈りたい、と彼が調べてきた言葉が「xxx(名前) 美しい人」
言葉選びのセンスも素晴らしい。
っていうか単に翻訳ソフトの問題なんだろうけども、「美人」と「美しい人」では随分ニュアンスが違う。漢字だけの「美人」と平仮名の混じる「美しい人」。漢語と和語。それが分かっているとは思えない。
写真はホワイトボードに書き順の練習をしたときのもの。消さずに帰って行ったから。
世界にはいろんな人がいて、不思議なところで日本文化が貢献?しているんだな。
実はこの人、電車で乗り過ごしたようで30分も遅刻してきたんだけども、彼女にどうしてもこの日曜日に作品を渡したいということで、仕方がないから遅刻の分は延長。物凄く真剣に頑張ってなんとか仕上げた。
「何を思って、この彼にとっては未知の(そして彼女にとっても未知の)文字群を一生懸命真剣に書いてるんだろう」
俺はずっと不思議に思いながらその姿を眺めていたのだ。
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