レン

はじめまして、VRChatに生息するアマチュアなライトノベル作家、レンです。 普段はバ…

レン

はじめまして、VRChatに生息するアマチュアなライトノベル作家、レンです。 普段はバーチャルな世界を舞台に、掌編や短編を作っております。

マガジン

  • エッセイ・雑文

    自分のこと、VRChatのこと、日々思うこと。感じたことを感じたままに書き綴る、私のお話。もしくは思考の切れ端

  • ライトノベル

    VRChatに関係なく、世界も時代も異なる、1話限りの短編集。

  • VRC小説

    VRChatを舞台にした短編小説群。続き物だったりそうじゃなかったりします。

  • VERMILIONな日々

    VERMILION.studio(https://kv2.booth.pm/)の展開する3Dモデルシリーズを題材とした日常系短編集

最近の記事

私が転職を決めたわけ

私は、今の職場が嫌いなわけではない。かといって好きなわけでもない。 ただ、安定した生活と充実した趣味の時間が欲しくて選んだだけの、妥協の選択だった。 安定は、していると思う。 少なくとも私が定年を迎えるまで、この会社は残っているだろう。 給料も、悪くはない。 この円安物価高にもかかわらず一向に給与を上げる気はないようだが、元々の給与体系がそれなりだったので、すぐに困窮することはない。 ただ、相性が悪かった。 社会のためになることだから、もてる全てで答えることが当

    • VRで生きています

       VRで生きています。  VRの世界で食事がとれるわけではありません。  VRで生活費を稼いでいるわけでもありません。  ログイン時間は短いです。  VR機器をつけたまま眠るなんて、やったこともありません。  それでも私は、VRで生きています。  平日の夜、疲れて帰ってきた私は、VRで友人と遊ぶことができます。  心がしんどい時。暗闇の中、ひとり静かにきれいな月を眺めることができます。  何かに興味がわいたとき、VRではすぐに始めることができます。  始めた

      • 廃墟の街の武者と猫

        夜。それは俺の店が一番騒がしくなる時間帯だ。 鉄くずと漂流物だらけのこの島でも、酒が飲めるところはそれなりにある。だが、労働者向けの安いパブの中では、俺の店が一番繁盛していると自負している。 「マスター! ビール!」 「デカい声で叫ぶんじゃねぇ。聞こえてるよ」 「そりゃ悪かったな! マスターはどこも機械化してねぇフレッシュマンだから、耳も俺たちより悪いんだと思ってたぜ!」 「てめぇらみたいな安物より、俺の耳の方がよっぽど上等だっての」 品のない男のだみ声に悪態をつきなが

        • 私の小説、私の色

          私の作品には、節操がない。 ヤンデレみたいな恋愛話を書いたと思えば、ほのぼのとした話を書き、かと思えばバトルを入れて、エモい感じのものも書く。 世界観もあっちこっちに飛んでいる。VRC小説は舞台がVRと決まっているが、現代を書いたりサイバーパンク調のものを書いたり、かと思えば剣と魔法のファンタジー世界を書くこともある。 そして、一番書きたい巫女と和風ファンタジーは、書きたいことが多すぎて全然かけていない始末だ。好きすぎて書けないとはこれいかに。 そんなわけで、私の小説

        私が転職を決めたわけ

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        記事

          伯爵と令嬢は相企む

          「みなさま、伯爵陛下をご存知ですか。齢19で家督を継ぐと、北に行っては蛮族を討ち、南に行っては呪いを払う。治める領地は常に潤い、町は常に祭りのように賑わっているという、まっこと偉大な名君でございます」 昼下がりの街を目的もなく歩いていると、大広場に人だかりができていることに気がついた。野次馬根性で近づいてみれば、吟遊詩人が語り引きをしているらしい。 しかも歌の内容が伯爵かぁ。 この王国で伯爵の名は国王の次に有名である。なんたって、吟遊詩人が歌うネタの6割が伯爵関連なのだ

          伯爵と令嬢は相企む

          【メタバースぼくの生き方】ソロ系物書きマンの場合

          初めての方ははじめまして。知ってる人はいらっしゃ~い!普段はnoteでVRChat系の小説を書いているレンと申します。 今回は、こちらの企画に参加して、記事を書いております。 私のメタバースライフはひとりでの活動が多いので、ひとりでの楽しみ方を中心に書かせていただきます。 別にいつもぼっちなわけではないデスヨ? 私ってこんな人です。 メタバースライフを語る前に、まずは自己紹介といきましょう。 私はVRChat(以下、VRC)にて「renfree」という名前で、202

          【メタバースぼくの生き方】ソロ系物書きマンの場合

          Vermilionな日々side.デルタフレア

          「僕って、かなりクールだと思うんだ」 「……デルタちゃん。それマジで言ってる?」 学校からの帰り道。隣を歩く友人に日頃から思っていたことを話すと、なぜか変なものを見るような目を向けられた。 確かに、僕の見た目がクールとは言い切れないのは自覚してる。認めるしかない。 身長は低いし、目つきだって鋭くない。動物を思わせる耳や尻尾を持っているけど、それは可愛いがられる方面にしか役にたってない。 だからこそ、僕は行動や言動で自分のクールさを表現してきた! 「ほら、僕が黒を着ると

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          VERMILIONな日々 sideラムダ

          アタシ、ラムダにとってお酒はまさに、命の水だ。 喉を焼くアルコールは虚ろな脳を覚醒させ、ほどよい酩酊は現代社会に蔓延るあらゆる不安を忘れさせてくれる。 酔っている間、アタシは無敵になれる。酔っている間だけは、どんな困難にも打ち勝てる気がする。 アルコールがアタシにくれる至福の酩酊こそ、この世で5指に入るほどの宝物だ。 だけど、ひとたび酔いが醒めればーー 「あああ!!レポートが間に合わなーーい!」 くそったれな日常が、私を待っているのだ。 「ラムダ、また唸ってる」

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          あなたの1番になりたくて

          「うがーー!聞いてよ紗夜ーー!」 「はいはい。ちゃんと聞くよ。神奈ちゃん」 私こと紗夜は、友達の神奈ちゃんに「相談したいことがある」と言われ、大学近くの喫茶店に来ていた。 といっても、誘った本人はこうして机につっぷしてうめくばかりで、一向に話に入ろうとしない。 こうして神奈ちゃんのうめき声を聞くだけの時間というのも悪くないけど、私もそこまで暇じゃないのよねぇ。 私はため息をつき、神奈ちゃんに確認をした。 「で、どうしたの?また合コン失敗した?それとも街コン?」 「何

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          トリートは売り切れ中

          10月31日は、世間的にハロウィンである。 悪霊から身を守るため、悪霊と同じ衣装に仮装するという風習は、キリスト教圏でない日本でも、都市を中心に賑わいを見せている。 まぁ、一部では主役である子供そっちのけでコスプレイベントじみた雰囲気になりつつあるが、そこはもう日本らしさとして納得する他ないよね。 かくいう私も、そんな日本風ハロウィンを満喫するべく、可愛らしいハロウィン衣装に身を包んでいるわけなのだ。 ただし、現実ではなく、仮想空間で。 「は~、やっぱかわヨ〜。私め

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          私とコミュニケーションのお話

          人と話すのが、苦手だ。 対面、オンライン、バーチャル関係なく、人と話すということが、どうしようもなく、苦手だ。 今、眼の前にいるその人は、私なんかに時間を取られて、迷惑じゃないか。 面白い話も、楽しい話題も持っていない私なんかが話しても、きっと楽しくないだろう。 そんな事を思いながら、言葉を絞りだしている。 沈黙が、怖い。 きっと退屈なんだろう、そう思ってしまう。私の反応がどこかズレていて、会話がしにくいのかもしれない。 だからつい、逃げてしまう。 そんな私の弱

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          VERMILIONな日々 sideファイ

          「ファイ~。おやつちょうだ~い」 「だ~め。さっき食べたでしょ」 「ファイの作ったお菓子なら何個でもいけちゃう!」 「ありがとう。でもだーめ。残りは妹の分なの」 「ぶ〜、ファイは妹に甘いよねぇ。私もファイの妹になりたーい」 夕日によってオレンジ色に染まった帰り道を、私ことファイは、友達と一緒に下校していた。 友達の手には、さっきまでクッキーを包んでいた袋紙が握られている。試食をお願いしたんだけど、好評そうで良かった。帰ったら妹にもあげよっと。 「でもさ~、そんなに料理が上

          VERMILIONな日々 sideファイ

          VERMILIONな日々 sideシィ

          ボクはそわそわしながら、先生の頭上に掛けられた時計を見つめていた。 教壇に立つ先生は、抑揚のない話し方で衣替えの連絡をしているんだけど、今のボクは長袖解禁の時期よりも大事なことで頭がいっぱいになっていた。 他の人よりもちょっと特徴的な、犬や猫みたいな耳が逸るようにぴこぴこと揺れてしまう。 もうちょっと、もう少し……。 時計の長針が12時を指し、学校のあちこちでチャイムの音が鳴り響く。 「え~では、これでホームルームを終わります。みなさん気を付けて帰りましょう」 や

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          Vではない君と、推してない俺

          一時期、ビジネス界を賑わせ、しかし今はAIに持って行かれたバズワード、『メタバース』。 企業の中には、未だにバーチャル空間の活用を検討しているところもあるようだが、一般人の俺にはまだ縁遠い話だ。 むしろ俺たちが一番興味を持っているのは、HMDを被り、好きなアバターになって遊べる「バーチャルSNS」だ。 今日も俺は、数あるバーチャルSNSの中でも、普段よく使っている『VRChat』にログインすると、とある人物に会うためにワールドを移動していた。 移動先のワールドアイコン

          Vではない君と、推してない俺

          これまでのキセキとこれからのお話

          VRCを初めて4度目の夏。 この時期はいつだって、Vketの話題で持ち切りになる。 企業をも巻き込んだお祭りは、開かれたインスタンスの数やフレンドのログイン状態からも、その盛況さを伺うことができる。 もちろん私も、様々な趣向が凝らされたワールドを楽しんでいる。 だけど私には、いや、私たちにはお祭りと同じくらい大事なことがある。それは毎週木曜日に開催する、Quest単機でも参加できるイベント。 「VRC初心者ワールドツアー」である。 「本日はVRC初心者ワールドツアー

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          婚期遅れの僕ら

          深夜、それはVRCが最も賑わっている時間帯だ。 サーバー上では様々なインスタンスが立てられ、多種多様な姿をした住人たちが活動的になるゴールデンタイム。 いつもであれば、俺もフレンドの集まるワールドにjoinして、他愛もない雑談に交じわっている頃だろう。だけど今日はしない。しないったら、しない。 俺も行きたい。すっごく行きたい。が、こっちの作業も進めたいんだよなぁ。 俺は未練がましく開いていたソーシャルを閉じると、仮想ディスプレイを表示した。画面一面に表示されるのはun

          婚期遅れの僕ら