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【SS】VERMILIONハロウィン
10月31日は世界的にみても、ハロウィンである。
子供たちは様々な仮装に身を包み、家々を訪ねてはお菓子をねだる。
大人たちはコスプレをして街へとくり出し、お祭り騒ぎに興じる。
そしてそれは、仮想世界に住む、VERMILIONのみんなも同じである。
「がおー!でいいんだっけ?キョンシーって?」
「絶対に違ぇだろ。東洋のゾンビだろ?」
「じゃあ、うがぁ!」
「シィ、まずは叫ぶの止めよっか」
Vermilionな日々side.デルタフレア
「僕って、かなりクールだと思うんだ」
「……デルタちゃん。それマジで言ってる?」
学校からの帰り道。隣を歩く友人に日頃から思っていたことを話すと、なぜか変なものを見るような目を向けられた。
確かに、僕の見た目がクールとは言い切れないのは自覚してる。認めるしかない。
身長は低いし、目つきだって鋭くない。動物を思わせる耳や尻尾を持っているけど、それは可愛いがられる方面にしか役にたってない。
だか
VERMILIONな日々 sideラムダ
アタシ、ラムダにとってお酒はまさに、命の水だ。
喉を焼くアルコールは虚ろな脳を覚醒させ、ほどよい酩酊は現代社会に蔓延るあらゆる不安を忘れさせてくれる。
酔っている間、アタシは無敵になれる。酔っている間だけは、どんな困難にも打ち勝てる気がする。
アルコールがアタシにくれる至福の酩酊こそ、この世で5指に入るほどの宝物だ。
だけど、ひとたび酔いが醒めればーー
「あああ!!レポートが間に合わなー
VERMILIONな日々 sideファイ
「ファイ~。おやつちょうだ~い」
「だ~め。さっき食べたでしょ」
「ファイの作ったお菓子なら何個でもいけちゃう!」
「ありがとう。でもだーめ。残りは妹の分なの」
「ぶ〜、ファイは妹に甘いよねぇ。私もファイの妹になりたーい」
夕日によってオレンジ色に染まった帰り道を、私ことファイは、友達と一緒に下校していた。
友達の手には、さっきまでクッキーを包んでいた袋紙が握られている。試食をお願いしたんだけど
VERMILIONな日々 sideシィ
ボクはそわそわしながら、先生の頭上に掛けられた時計を見つめていた。
教壇に立つ先生は、抑揚のない話し方で衣替えの連絡をしているんだけど、今のボクは長袖解禁の時期よりも大事なことで頭がいっぱいになっていた。
他の人よりもちょっと特徴的な、犬や猫みたいな耳が逸るようにぴこぴこと揺れてしまう。
もうちょっと、もう少し……。
時計の長針が12時を指し、学校のあちこちでチャイムの音が鳴り響く。
「