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ミュージック・マガジン編

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ミュージック・マガジン誌「50年の邦楽ベスト100」で取り上げられているアルバムを扱った記事たちのまとめです。
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記事一覧

早川義夫『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』(1969)

アルバム情報アーティスト: 早川義夫 リリース日: 1969/11/10 レーベル: URC(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は99位でした。 メンバーの感想The End End  私は新しい価値観が服を着て歩いている現代っ子なので、「わらべ唄」のピアノのテープ録音であるが故の揺らぎを聴いて真っ先に”これが本質的なローファイか…!”と感じてしまった。  本作はほぼ全編を通して(エコーを除き)モノラルでミックスされているのだが、「知らないでしょう」で突如L

はっぴいえんど『はっぴいえんど』(1970)

アルバム情報アーティスト: はっぴいえんど リリース日: 1970/8/5 レーベル: URC(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は47位でした。 メンバーの感想The End End  ロックの洗礼を受けたギター・キッズだけでも、フォークシンガーだけでも、この作品は作れないだろうと思う。普遍的なポップネスへの愛情、そして”録音芸術としてのアルバム”への目線をビシビシ感じるし、サウンドも”ハイファイさ”という点でだけ言えば全く古くなく、あらゆる面で現代におい

はっぴいえんど『風街ろまん』(1971)

アルバム情報アーティスト: はっぴいえんど リリース日: 1971/11/20 レーベル: URC(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は1位でした。 メンバーの感想The End End  前作で既に”ロックのリズムに日本語を乗せる”ことには成功していたわけだけれど、このアルバムでは”失われていく自分たちの原風景、かつての東京の景色を「風街」という架空の街に仮託して描く”というストーリーを見つけたことで、フォーク的な自分語りを飛び出した”はっぴいえんどの語り

遠藤賢司『満足できるかな』(1971)

アルバム情報アーティスト: 遠藤賢司 リリース日: 1971/11/10 レーベル: ポリドール(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は19位でした。 メンバーの感想The End End  オープニング・ナンバーの「満足できるかな」で“僕の首を切ったあの女”を呪っているのに、その後はずっと“君”を懐かしんだり「待ちすぎた僕はとてもつかれてしまった」だの「君はまだ帰ってこない」だのと、なんとも情けない男の失恋譚だなあというのが第一印象。  去ってしまった女性の

フラワー・トラベリン・バンド『SATORI』(1971)

アルバム情報アーティスト: フラワー・トラベリン・バンド リリース日: 1971/4/25 レーベル: Atlantic(アメリカ)、ワーナー・パイオニア(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は40位でした。 メンバーの感想The End End  最初にきわめて雑な感想を言うと、英語で歌われるだけでやっぱり“本場っぽさ”のようなものを感じさせられる側面はあるよなあと。日本人の目線でしかないけれども。  “ロック未履修”を自称して憚らないほどロックを聴いていな

高田渡『ごあいさつ』(1971)

アルバム情報アーティスト: 高田渡 リリース日: 1971/6/1 レーベル: キングレコード(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は42位でした。 メンバーの感想The End End  「満足できるかな」を聴いていてもそう感じたが、そこにある生活をまっすぐ言葉にして歌うことが、何よりのプロテストソングなのかもしれない。身の回りはどんな景色で、どんなものを幸せだと考えていて、何が贅沢で、何が手に入らないのか、それらをただ正直に差し出されるだけで、イデオロギー

金延幸子『み空』(1972)

アルバム情報アーティスト: 金延幸子 リリース日: 1972/9/1 レーベル: URC (日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は33位でした。 メンバーの感想The End End  まず細野晴臣のプロデュース作である点について述べると、「風街ろまん」と「HOSONO HOUSE」を繋ぐ作品だと感じた。「風街ろまん」で到達したドライな音作りと、ロック以前のアメリカンポップスへの関心の両方を感じることができて楽しい。さらにプロダクションも見事だと思う。白眉は「

大瀧詠一『大瀧詠一』(1972)

アルバム情報アーティスト: 大瀧詠一 リリース日: 1972/11/25 レーベル: ベルウッド (日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は72位でした。 メンバーの感想The End End  1曲目を聴いて「未来の子守歌」だ、と思ってしまった、思う順番が逆なのか、両方が同じものをリファレンスとしているのかは不勉強で分からないけれど。アレンジ・演奏のパワーが圧倒的で、特に「びんぼう」のアンサンブルが凄まじすぎて口が開いてしまう。すべてのパートが絡み合うことでは

よしだたくろう『元気です。』(1972)

アルバム情報アーティスト: よしだたくろう リリース日: 1972/7/21 レーベル: Odyssey/CBS Sony (日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は83位でした。 メンバーの感想The End End  “アメリカの音楽に日本語を乗せるんだ!”という気概を強く感じるわけでもなく、ごく自然に言葉がメロディに乗っかっているように感じた。どう考えても字余りな歌詞を無理やり詰め込むことで生まれる躍動感、ここまで聴いてきたアルバムには無かったもののように

頭脳警察『頭脳警察セカンド』(1972)

アルバム情報アーティスト: 頭脳警察 リリース日: 1972/5/5 レーベル: ビクター音楽産業(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は86位でした。 メンバーの感想The End End  とにかく真っすぐ。サウンドも、アレンジも、メッセージも、皮肉や揶揄のやり方でさえも真っすぐだと感じた。そして、この作品やそこに込められているメッセージに共鳴できないのは世界の姿が変わったからなのか、或いは自分がボンヤリした人間だからなのか定かではないが、自分のためのアル

細野晴臣『HOSONO HOUSE』(1973)

アルバム情報アーティスト: 細野晴臣 リリース日: 1973/5/25 レーベル: ベルウッド(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は8位でした。 メンバーの感想The End End  キーや発声から、まだ自分の声との決着をつけきれていない感じがして、微笑ましい。(バンドで「CHOO CHOO ガタゴト」と「薔薇と野獣」とコピーをして思ったけど、ライブではここからさらにキーを下げて歌うってどんだけ声低いんですか)  この後の“トロピカル三部作”にはパラダイス

荒井由実『ひこうき雲』(1973)

アルバム情報アーティスト: 荒井由実 リリース日: 1973/11/20 レーベル: Express/東芝EMI(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は9位でした。 メンバーの感想The End End  ここまでこの企画で聴いてきたものと比べて、圧倒的に“歴史”の匂いがしない。これは否定的な意味ではなく、今日自分の耳に入ってくるポップスと完全に水平な地平にあるものに感じたということ。もっとも、私の耳が知らないうちにシティポップ・リバイバルに浸かってしまってい

村八分『ライブ』(1973)

アルバム情報アーティスト: 村八分 リリース日: 1973/1/25 レーベル: エレック(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は34位でした。 メンバーの感想The End End  頭脳警察の時に湘南ギャルさんが書いていた「ライブ版だったらなあ…」の答え合わせみたいな作品だな、と感じた。これも、もう少し整った音でレコーディングされていたりなんかしたら乗れない気がする。  合間のMCを見ても本当に普通には生きられなかった人なんだろうな、という感じで、演奏もと

はちみつぱい『センチメンタル通り』(1973)

アルバム情報アーティスト: はちみつぱい リリース日: 1973/10/25 レーベル: ベルウッド(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は36位でした。 メンバーの感想The End End  なるほどこれが向井秀徳がポケットに手を突っ込んで練り歩いていたセンチメンタル通り…と思いながら聴いた。でも一番に浮かんだ感想は「はっぴいえんど好きな人全員これも聴きなよ!」だった。  大瀧がやりたかったであろうことを、この時点では大瀧よりもよく達成しているとさえ言える