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アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン 作家の伝記

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ユーリ・ミハイロヴィチ・ロトマンによるプーシキンの伝記を少しずつ訳したものをまとめました。序章から第9章まであります。
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#ロシア語

プーシキン伝記第二章 ペテルブルク 1817-1820⑤

 А.Ф.オルロフ ― デカブリストの兄弟、 ― この当時やっと30才を越えたばかり、アウス…

レーチカ
1年前
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プーシキン伝記 第一章 青年時代⑰

 プーシキン自身はのちにこの対面について、ユーモアと叙情的気分を交えつつ、こう書いている…

レーチカ
1年前
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プーシキン伝記 第一章 青年時代⑮

 ミハイロフスコエでは新たな時期が始まっている ― プーシキンが同い年の者たちに惹きつけら…

レーチカ
1年前

プーシキン伝記 第一章 青年時代⑮

 ポエジー(詩情)がすべてに対する答えだった。ポエジーは自分の目を弁明するものとなり、ま…

レーチカ
1年前
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プーシキン伝記 第一章 青年時代⑭

³特別な大胆さについて話している。ツァーリはリツェイの校長エンゲリガルトにこう訴えた:《…

レーチカ
1年前
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プーシキン伝記 第一章 青年時代⑬

 プーシキンと友人たちとの関係は、すでに話したとおり、簡単に出来あがったのではなかった。…

レーチカ
1年前
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プーシキン伝記 第一章 青年時代⑫

 リツェイの第一期卒業生たちは、もちろん、詩をすべて暗記していた、また詩の一行一行が彼らには合言葉のように響いた。プーシキンはのちに何度かこのデリヴィグの詩を、リツェイの友人たちの意識上いくつかの言葉で彼らの青春時代の雰囲気を再現することができる、まさに合言葉のように使っていた。リツェイの創立記念日に捧げられた《10月19日》(1825)という詩のなかで、プーシキンは世界一周旅行に出ている船乗りのリツェイストF.F.マチューシュキンに向かって、こう書いた:          

プーシキン伝記 第一章 青年時代⑪

 リツェイでは友情崇拝が花開いていた。しかしながら、実際にはリツェイストは ― これはまっ…

レーチカ
1年前
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プーシキン伝記 第一章 青年時代⑩

 もし一方で、悪意に満ちた密告的な調子を捨象し、他方では、ブルガーリンが個人的な体験とし…

レーチカ
1年前

プーシキン伝記 第一章 青年時代⑨

 生徒の少人数制、教授陣の若さ、少なくとも彼らのうち最も優れた者たちが持っていた、生徒の…

レーチカ
1年前
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プーシキン伝記 第一章 青年時代⑧

リツェイは、周囲を取り巻く生活から切り離され、生徒たちをその壁の境界の外へ解放することは…

レーチカ
1年前

プーシキン伝記 第一章 青年時代⑦

 この目論見は、おそらく、皇后マリヤ・フョードロヴナの反発を招いたのだろう。1812年の戦争…

レーチカ
1年前
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プーシキン伝記 第一章 青年時代⑤

 しかしながら、幼年時代は―人間の自己認識において甚だ重要な時期であり、それを抹消するこ…

レーチカ
1年前

プーシキン伝記 第一章 青年時代④

 プーシキンは生家を簡単に捨て、詩の中で一度も母にも父にも触れなかった。叔父のワシーリー・リヴォーヴィッチには触れていたことは、率直にいって皮肉なことだった。とはいえ、彼に身内を想う感情がないわけではなかった:弟と姉を彼は生涯をつうじて優しく愛し、自らは物質的に困難な状況にありながら、献身的に彼らを援助していた。いつも不平ひとつ言わずに、弟レヴーシュカの、父親ゆずりの気楽さで作り、恥知らずにもプーシキンに負わせた少なくない借金を支払っていた。両親に対しても彼は、両親が彼に対し