山田理一郎

元セガ。ゲームプロデューサー/ゲームデザイナー。創造は生命

山田理一郎

元セガ。ゲームプロデューサー/ゲームデザイナー。創造は生命

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    影響を受けた映画について

  • D×2 真・女神転生リベレーション よもやま話

  • スマホゲーム運営開発について

    スマホゲームの運営開発に関する云々。

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元セガになったのでnote書きます。

先日、20年ほど勤めたセガを退職しました。直近でも担当タイトルがあったりしたので、ユーザーさんが「サ終か?」とか不安になったりするのが憚られたので、ご報告がこのタイミングになりました。すみません。新しい会社でもゲームの仕事をするのですが、今までのように表に出てくることはあまりなくなるのかな、と思っております。 ちなみに、大きな不満があってセガを離れたわけではありません。クビになったとか、喧嘩別れしたということもないです。ありがたいことに引き留めいただいたものの、私のわがまま

    • 映画の話#1 マイケル・ムーアは教えてくれる。

      結構書きかけの記事も多くてアレなんだけれども、大統領選挙の情報洪水が世の中に溢れすぎている現状で、どうしてもこの話を書きたくなったので特に誰からも求められていない映画の話シリーズを唐突に始めることにする。 自分が影響を受けた映画のことなどを書いていくつもりのこのシリーズ。第一回目は超大国・米国の病巣を僕らに教えてくれている、アメリカの近藤春菜こと、この方の作品についてだ。 民主党支持者で左派のマイケル・ムーアの作品を「政治色が強すぎる」と嫌がる人もいるだろう。でも、実は元

      • コロナとセガとエンタメと。

        1998年、Dreamcastの頃。僕がセガに入社した時は、DreamCastの発売直後。「セガラリー2」「バーチャファイター3TB」「バーチャロン:オラトリオタングラム」「ハウス・オブ・ザ・デッド2」。初期のドリキャスを支えていたのは、セガのアーケードゲームの移植タイトルたちだった。当然、僕も買って遊んでいた。 セガというのは、元々アーケード開発が強い会社だ。当時は、アーケードの基盤の方が家庭用ゲームハードよりも性能が高かったし、最新技術やテクノロジーが真っ先に導入される

        • ゲームの企画を通す ~前編・みんな、ハーマイオニーになろう~

          前回記事からだいぶ時間がたってしまったわけだが、実際この続きをどうしようかというのは結構悩んでいたところだ。セガならまだしもアトラスさんも絡んでいる話なので、そんな詳細の話はできないし・・・うーん・・・。 と下書きに書いたり消したりしているうちに結構忙しかったこともあって、なかなか続きを上げられなかった、ということになる。続きを楽しみにしていた方、すみません。 と、いうことでまず今回はテーマをこの話にしてみた。一般論だ。これからゲーム業界を目指す人や、プロデューサーになり

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        元セガになったのでnote書きます。

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          4本

        記事

          とあるプロジェクトの立ち上げ記録 D×2真・女神転生リベレーションの場合 その3

          前回の記事はこちら。 そろそろ本筋のD2の話に戻ろう、と思っているのだが、またぞろ本稿はちょっと遠回り気味のお話になったりする。ただし、タイミングとしてはここで書くべき話なので少々お付き合いいただきたい。これも立ち上がりの記録には間違いないからだ。 D2の骨子は考えた。じゃあ、どうやったらそれが実際にプロジェクト化されるのだろうか?というのがこれからの話である。 企画って、どうやったら通るんですか?よく、新人面接なんかでこんな質問をされた。まあ、皆さんにとってもこれは謎

          とあるプロジェクトの立ち上げ記録 D×2真・女神転生リベレーションの場合 その3

          「ガチャゲー」とはなにか? ~後編~

          という前回記事の続き。まとめると ■FtoPは時間で資産を積み上げていくゲーム ■ガチャゲー=当時の日本産ゲームでよくある資産形成モデル(山田的に) という内容だった。 今回は後編として、「ガチャゲー的形成モデル」と「D2で目指した資産形成モデル」の違いを記したいと思う。 ちなみに、前回記事に対しては結構Twitterで反応があった。 これは本当にその通りで、「目指したのだがそうならなかった」という形になっている。それによってみんなに迷惑をかけてしまったわけなのだが

          「ガチャゲー」とはなにか? ~後編~

          「ガチャゲー」とはなにか? ~前編~

          ガチャはあるけどガチャゲーじゃない古参D2ユーザーの方々には僕のこの発言はよく覚えておられるのだろうと思う。ちなみに、出どころはリリース前に出したこの動画だ。 どうでもいいが、髪が長いな。忙しくて全く散髪にいけなかったのを思い出す。 結構インパクトがある発言だったようで、取り上げていただいた複数メディアの見出しに「D2はガチャゲーではない!」と書かれていて、叩かれる要因の一つとなってしまった。つまり電撃オンラインが悪い。(まり蔵さん嘘です。すいません。) 伝えたかったこ

          「ガチャゲー」とはなにか? ~前編~

          とあるプロジェクトの立ち上げ記録 D×2真・女神転生リベレーションの場合 その2

          前回の記事はこちらから。 あなたならどう作る?「スマホのメガテン」さて、「スマホのメガテン」を作るとしてだ。想像してほしい。貴方がプロデューサーだとして、どんなゲームを作るだろうか?「こういうの入れたい」とか「こんなのあったらいい」というのは比較的アイディアを出しやすいのだが、全体像をまとめるのは意外と難しいものである。 特に、基本無料のスマホゲームを考えるうえで「どのようにマネタイズをするか?」というところはもっとも重要なポイントなので、家庭用ゲームを作る時とは全然違う

          とあるプロジェクトの立ち上げ記録 D×2真・女神転生リベレーションの場合 その2

          とあるプロジェクトの立ち上げ記録 D×2真・女神転生リベレーションの場合 その1

          と、いうことで、そろそろ大抵の人に興味がありそうなタイトルについての話に移ろうと思ってアンケートを取ってみた。 サカつくの悲しさよ…こっちの方が歴は長いぞ俺は?!オールドトラフォードでユーベのウルトラに囲まれた話とか聞きたくない?! まあ、結局、僕はD2の人として認識されているのだ、ということだ。ありがたいことである。 何しろ、僕は生粋のメガテニストだ。ドラクエ・FFよりメガテンを好み、セガの新卒面接で、最近面白かったゲームについては「ソウルハッカーズとサカつく」と答え

          とあるプロジェクトの立ち上げ記録 D×2真・女神転生リベレーションの場合 その1

          44歳、初めての転職 ~後編~

          ダメ人間を伸ばす方法いきなりでアレだが、僕は相当ダメ人間である。一応ユーザーの前では真面目な人のフリをしているし、割ときっちり仕事をするのであんまり気づかれないのだが、根っこはただの自分のやりたいことしかしたくない、「ただのオタクな怠け者」なのだ。 セガにいるときの最後の所属はいわゆる「龍が如くスタジオ」だった。出戻りのような形で戻ってきた「龍スタ」は本当に居心地がよく、仕事がしやすい環境だった。 信頼できる上司がいて、頼れる同僚がいる。それなりに若いメンバーからも尊敬さ

          44歳、初めての転職 ~後編~

          44歳、初めての転職 ~前編~

          「なんで転職したんですか?」とよく聞かれる。まあ、20年も同じ会社に勤めていたのだから、疑問があるのは当然か。 転職いたる動機はひとそれぞれだ。給料を上げたいとか、仕事内容が不満だとか、人間関係が嫌だとか。よくある理由以外にもパーソナルな事情がある人もいる。結局大きい決断をするわけで、原因が一つというわけでもない。 なので、転職の理由を問われると返答に困る部分も多少あるのだが、僕の場合は、こう答えることにしている。 「スーパーマンになりたかったからです。」 そういう考

          44歳、初めての転職 ~前編~

          みんななにかと戦っている。~後編~

          人生に劇的なことを期待してはいけないと貝木泥舟は言った。自分で見返しても前編はなかなかドラマティックな展開に読み取れる。長文を書くのも久しぶりだが、仕上がりとして悪くはない。ただ、あの話から、あんまり「悲劇のヒーロー」みたいな受け取られ方をするのは本意ではない。コウテイの能力値に「明確な強さをつける」というのはいくつかの手持ちのカードの中の一つを切ったに過ぎない。絶対にやりたくないことであればやらなかっただろう。 あそこで伝えたかったことは、複数のステークホルダーがいる中で

          みんななにかと戦っている。~後編~

          みんななにかと戦っている。~前編~

          ※今回以降noteは丁寧語ではなく行きます。長いので。 2回目のエントリーはTwitterで募集したこのテーマとなった。 個人的には意外な結果である。それぐらい、「なんでああいうことになっているんだろう?」と不思議に思うことが多いということなのだろう。運営の内情については外から見ると真のブラックボックスと言えるだろうか。 このテーマに関しては積極的に書きたいと思っていたわけではなかったがそれだけニーズがあるのだからこのテーマにしようと思う。 しかし、ゲームは楽しいから

          みんななにかと戦っている。~前編~