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みんななにかと戦っている。~前編~

※今回以降noteは丁寧語ではなく行きます。長いので。

2回目のエントリーはTwitterで募集したこのテーマとなった。

個人的には意外な結果である。それぐらい、「なんでああいうことになっているんだろう?」と不思議に思うことが多いということなのだろう。運営の内情については外から見ると真のブラックボックスと言えるだろうか。

このテーマに関しては積極的に書きたいと思っていたわけではなかったがそれだけニーズがあるのだからこのテーマにしようと思う。

しかし、ゲームは楽しいから価値があるものだと思っているので、夢を売る会社の内情を書くというのはあまりよろしくないのではないかという思いもある。そういった部分を見たくない方々は、すぐにこのブラウザを閉じて、お好きなゲームをプレイしてほしい。

龍オンは月1億いけば、サ終しなくてすみますかね?売上的に。

これは質問箱に寄せられたユーザーからの質問なのだが、そんなこと僕の口から説明できる話ではないことはそろそろ理解してほしい。

とはいえ、運営いタイトルはいつサービス終了するのだろうか。

端的に言えばこういうことなのだが、その判断基準は会社や状況によって異なるだろう。

赤字はそもそも論外なのだが、黒字だったとしても「利益率」という概念がある。同じお金を投資するならば、もっと儲かるものに投資するべきだ、というのは経営者としては至極まっとうな判断だ。同じ人月工数を使って別の新しいものを作る方が利益になるじゃないか、という考え方もまあ普通だろう。

ややこしいことに、例えタイトル単体で黒字で利益率もそれなりに悪くなかったとしても、会社全体で発生するコストが大きければ大きいほど、その分利益が低くなってしまう。セガのような図体の大きい会社ならばなおさらだ。

だから、利益を生み出すためにプロデューサーはメンバーと一緒になって利益を上げられる運営計画を立てていくわけであるが、利益を伸ばすためには「売り上げを上げる」or「コストを下げる」のどちらか必要になってくる。

そのためにはいろいろな手段があるわけだが、ガチャを乱発して客単価を上げる施策、みたいなものははっきり言って下策だろう。誰もやりたいわけではない。

しかし、のっぴきならない事態というものは残念ながら存在する。そういったときには、運営的にも苦渋の末、下策を選ばなくてはならない。

株式会社は株主のものとホリエモンは言った。

ライブドア買収騒動の時に、ホリエモンが言い放ったこの一言は結構物議を醸した。色々な意見はあるだろうが、法的には彼の言っていることは全く正しい。

そして株式会社のすべきことはビジネススクールではこう教わるのだ。

「株主の利益を最大化することです」

と。

ちなみにセガという会社は「感動体験をユーザーに与える」というが会社の使命(つまり存在意義)であるとホームページでは書かれていて、僕は立派な理念で、素晴らしい哲学だと思うのだが、そう会長が思っていたとしても、株式会社の原理原則たる「株主利益の最大化」からは逃れることができない。多かれ少なかれ「利益を最大化せよ」というプレッシャーは株主から落ちてくることになる。

当然、代表取締役とかCEOというような偉い人々はそういうプレッシャーにさらされる。そういったときに現場に圧力をかけ始める人もいっぱいいると思う。しょうがない。そうでなければ自分の首が飛ばされるのだ。

幸いなことに、セガの偉い人の中でそのような近視眼的な対応をする人はいなかった。苦しい状態でも将来的な見通しをしっかり説明すれば理解はもらえていたと記憶している。事実として、僕は偉い人に運営計画を提出して、否決されたことは一度もない。

この部署が吹っ飛ぶかもしれないんだぞ!!

ここまで読んだ方はひょっとしたらこう思うかもしれない。

「そんなことユーザーに関係ねえよ。」

と。

その通りである。そんな会社の事情はユーザーの知ったことではないのだ。金勘定などくだらないし、ゲームというのは夢を売る仕事なのだから。そんなことおくびにも出さずにユーザーに感動体験を提供し、会社に利益をもたらすのが一流のプロデューサーであろう。

だが、想像してほしい。

ここに、一人のボンクラなプロデューサーがいるとしよう。彼の担当タイトルは、非常に大きな売り上げを期待されたタイトルであるが、現状その目標値は会社の期待とはかけ離れた状態である。

会社である以上、彼にも所属する部署があるはずである。それが課なのか、部なのか、事業部なのかはさだかではない。その部署には上層部からの売り上げ目標というものが下りてきている。前述の通り、それは株主からのなにかしらのプレッシャーを受けたものであることは間違いはない。

「この部署が吹っ飛ぶかもしれないんだぞ!」

そのような叱責が飛ぶ羽目になったのは誰のせいだろうか?株主か?経営者か?あるいはその部署の責任者だろうか?

「そんなことはユーザーには関係ねえよ。」

会議の後、独りごちた彼は、悪魔の能力設計ミーティングに出席し、こう指示を下した。

「コウテイは壊せ。俺判断でそうしてほしい。」

そう。誰のせいでもない。すべてはこのボンクラプロデューサーの責任なのである。

~後編に続く~

注:このお話はフィクションです。一応。



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