
とあるプロジェクトの立ち上げ記録 D×2真・女神転生リベレーションの場合 その2
前回の記事はこちらから。
あなたならどう作る?「スマホのメガテン」
さて、「スマホのメガテン」を作るとしてだ。想像してほしい。貴方がプロデューサーだとして、どんなゲームを作るだろうか?「こういうの入れたい」とか「こんなのあったらいい」というのは比較的アイディアを出しやすいのだが、全体像をまとめるのは意外と難しいものである。
特に、基本無料のスマホゲームを考えるうえで「どのようにマネタイズをするか?」というところはもっとも重要なポイントなので、家庭用ゲームを作る時とは全然違う難易度が存在する。ここを的確に設計しなければ、そもそも商売にならないのだ。
よくあるスマホゲームは「キャラクターガチャ」を売り上げの中心としている。しかし、メガテンはキャラクターが豊富なわけではない。(ペルソナシリーズになるとまたちょっと話は違ってくるが)やはりメガテンは「悪魔」が最もユーザーが欲しいものだ。故に悪魔を販売するというのがストレートではあるだろう。
ただ、普通のゲームとは全く違う事情も存在する。
硬派…というか、悪魔デザインは絶対的なものですから。 #Peing #質問箱 https://t.co/hG7YQEwMDM
— 山田理一郎 (@reachman) September 10, 2020
この質問はスマホでメガテンを作る場合に発生する問題の本質的な部分を表している。キャラクターガチャの商材を作り続けるために普通のスマホゲーはキャラを着せ替えたり、バリエーションを作ったりするわけだが、「メガテンにおける悪魔デザインは聖域」なのだ。そこを変え出した時点で、メガテンではなくなってしまうだろう。
おのずと簡単に商材を作れないということになるわけで、よくあるゲームの運用のようにはいかない。そして、シリーズ的に武器装備など悪魔はしないので、そっちを売っていくというも難しい。
さて、あなたなら、どうする?
僕の中では悪魔を売る以外にはいい選択肢を思いつかなかった。その場合のマストの条件は
「悪魔の価値をできるだけ長く担保しつづけなくてはならない」
ということになる。安易に悪魔を増やせない以上、よくあるスマホゲームの運用であるように、どんどんキャラクターが使い捨てにされていったり、キャラクターの人気に依存したコレクション性を売りにして運用していく運用は無理なのだ。
言葉にすると簡単だが、どうすればいいか?1からそれを構築しろ、と言われると難儀なのだが、それを実現できているゲームが一つあったので、僕の中では設計をイメージするのは簡単だった。
そう、そのタイトルこそが「サマナーズウォー」だったのである。
「サマナーズウォー」との類似点
サマナーズウォーは、2014年にリリースされた韓国産のRPGゲームなのだが、サブタイトルに「Sky Arena」と書いてある通り、PvP(D2においてのデュエル、龍オンにおいてのタイマン)がメインコンテンツのゲームになっている。世界中でヒットして1000億以上の稼いだという、ビッグタイトルだ。
ちなみに、このゲームにもガチャがある。だから「海外ではガチャは受けないから日本のスマホゲームは売れない」というような言説がたまに見受けられるのだが、それは全く正しくない。日本のゲームが受けないのはまた違う理由だ。
ソシャゲ、っていう言葉が曖昧な定義なんで、この質問は答えられないです。スマホゲームはソーシャルゲームじゃないと思ってますんで…。 #Peing #質問箱 https://t.co/MEw1lS25ow
— 山田理一郎 (@reachman) September 6, 2020
「ソシャゲ」を「FtoPスマホゲーム」とするなら、間違いなくそれはサマナーズウォーだ。よくできたゲームである。正直、これはメチャクチャやった。Clash Of Clan以外のハマりゲームだったと言っていい。
なにが、サマナーズウォーの面白いところなのか?
海外では、実はこのゲームは「RPG」というジャンルとして売られていない。「Strategy」として語られている。バトルがターン制なのと、日本では「RPG」と言った方が売れるのでそうしているのだと思うのだが、ここがポイントだ。あくまでこれは「Strategy」ゲームなのである。
サマナーズウォーを簡単にまとめるとこうなる。
・戦略性の高いターン制バトル
・育てたキャラクターで様々なバトルコンテンツに挑む
・特定クエストでドロップするルーン(装備品)を使ってカスタマイズ
・すべてのキャラクターは★6まで育成可能
これはD2も全く同じだ。如何にD2がサマナーズウォーに影響を受けて作られているかがわかるだろう。
「なんだ、パクリかよ」と言われるかもしれないが、全くそんなことはない。「プレスターンバトル」という特殊なバトルシステムによって、サマナーズウォーとは違う戦略性を持たせる遊びにする、というのが狙いである。両方プレイしてもらえればわかるのだが、両者は全然違うゲームである。
そして前述したように「キャラクターの価値を担保する」という意味では、このゲームは群を抜いている存在だった。僕が記憶している限り、2年間で追加された★5キャラの数は数体しかいなかったのではなかろうか。さすがにリリースから6年もたつとキャラクターの追加も増えてきているようだが・・・。
つまりこのゲーム、★5キャラは「マジで手に入らない」のだ。本当に出ない。僕は累計で結構このゲームに課金しているが、結局3年ぐらいやって5体ぐらいしか手に入れていない気がする。ガチャから本当に★5がでないのだ。
2018年。サービス開始から4年経って、それまで出なかった★5の排出率がサマナーズウォーでも表示されるようになった。通常のガチャから★5の出る確率は…
0.5%
だった。
以前は絶対もっと低かったと思っているし、こちらが意図したわけではないものの、排出率に関して「初期のD2と同じ」という符号に何かしら運命的なものを感じたものである。
という前振りから、あんまりD2だけの話ではなくなってきたので、次回は少しわき道にそれて、何回も質問を受けている「ガチャゲー云々」の話を書こうと思う。
続く!