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ギャンブル依存症の〝人〟ではなく〝病気〟を恐れる

野球好きならずとも
メジャーリーガーの大谷翔平選手は
多くの人に知られていると思います。

その通訳を担当されていた
水原一平氏が
違法賭博に関与したと
明らかにしたと報道されました。

また賭博によって多額の借金を抱え
大谷選手がその借金を
肩代わりしたとかで

それが違法賭博であるのか
知っていたのか
とか
いろんな憶測が飛び交っていて

ギャンブル依存症のいう
キーワードが
トレンドになっているように思います。


一応私が働いている病院は
ギャンブル依存症治療の
拠点病院となっていたりするので

ギャンブル依存症について
少しは話せるかな?と思いますし

こういう関心が高まりつつある時に
情報を発信しておこうかなと思います。


あと前提として
水原一平氏が
ギャンブル依存症と
診断されているかどうかは
わかりませんし

今回の問題は
違法ギャンブルをしていることであったり
借金返済の方法(借り方)であって

ギャンブル依存症の人を責めるとか
そういう類ではありませんので。



◯「ギャンブル好き」と「ギャンブル依存症」の違いは?


ギャンブル依存症と
ギャンブルが好きな人

の違いはどこになるか?

というと
社会的に、経済的に
これ以上ギャンブルはしない方が
良いタイミングで
または額を使って
ギャンブルをしてしまう人

になります。

わかりやすい例で言うと
借金をしてまでギャンブルをしたり
仕事や人間関係に
影響を与えるほど
その〝行為〟が
自制できない状態。

生活が破綻しない範囲で
自制できれば
依存症とはまでは言えない可能性が
高まります。

そして
ギャンブル中心の生活になって
睡眠や食事の時間を
削っている
なども症状に当てはまります。


◯ネガティブな感情を消そうとすると依存症


楽しいだけのことなら
飽きてやめられるのが人間なんですけど

不安や悔しさ
孤独など
ネガティブな状態を紛らわすために
行動したり
使用すると
依存症になりやすい
んです。

ギャンブルだけじゃなく
お酒、薬物も同じですが

辛さを紛らわすために
使ってしまうのが
依存症のほとんどで見られます。



大きな成功をしている人ほど
その地位や収入、名声を
失う怖さから
依存症になる芸能人や
有名人も多い。

私の推察ですが
水原氏は
一般の人と比較すると
多くの収入があったと思いますが

周りはもっと億単位の
収入があったり
勝った負けたなどの
戦いの中で
ヒリヒリした環境にいる
選手の中で

自分の立場を卑下してしまった可能性は
あるなーと思います。

年下で
若い人たちが
比較にならないくらい
高額な収入があったり
名声を得ている姿を見て

卑屈な気持ちになるのも
わからなくはないんですよね。

人生は皆自分が主役。

世間から
大谷翔平の隣にいる人

ということで
人気はあったにせよ

当人にしかわからない
辛さがあったかもしれません。

比較する相手を
間違えて
自分の中で
劣等感を大きくしていたかもしれない。

その隙間を埋めるために
ギャンブルにハマって
しまっていたのかもしれません。


◯負ける悲しみの方が大きい。だから余計に勝ちたくなる


そして人間の性質として
何かを得る喜びより
何かを失う悲しみの方が大きい。

食う喜びより
食われる悲しみの方が
大きいんです。

ギャンブルも然りで
1万勝つ喜びより
1万負ける悲しみの方が大きい
と言えるかもしれません。

ここがギャンブルにハマる
仕組みなんですけど

勝っても
満足しにくくて
より勝ちたい!
と思い

負けると
より大きなストレスがかかって
勝つ喜びによって
埋めようとするようになる。

また
勝った時より
勝てるかも!
とか
勝ちたい!

という時にドーパミンが
出る仕組みの脳にも
問題があるような気もしてます。

Amazonで買い物をしても
家に届くまでが
喜びのピークだったりするようなものです。


10万円の軍資金で
20万になって

「もっと!」

と思いかけ続け50万まで勝ったとしても

「どこまでいけるんだろう!?」

と50万が5000円になり

45万5000円を失った、
より強い悲しみを埋めようとして

そして
ギャンブルで負けた分は
ギャンブルで取り返そうとして

ついに借金をしてしまう。

そうやって
どんどん物を売ったり
知人からお金を借りたりして

自尊心も下がっていき

そのストレスを埋めるために
またギャンブルに勤しみ

そうなってくると
嬉しいとか
悲しいとか
そういう感情も失われていき

廃人のようになって
判断力もなくなっていく…

というとても怖い病気なんですよね。


ついギャンブル依存症の人を
批判したくなりますが

人間の脳の病気だと思って
その人自身じゃなく
病気や人間の脳の仕組みの
問題を責めていく方が良い。


◯回復のきっかけは人間関係


依存症全般に言えますが
依存症になると
人は離れていきがちです。

どうしても
信頼を失ってしまいますからね。

脳の仕組みの問題とは言え
社会はそう思ってもらえないことの方が多い。


人は離れるし
自尊心も低下するし
ストレス下にいる時

その寂しさを埋められるのは
ギャンブルでも
お酒でもなくて

人間関係です。

ギャンブル?いいじゃんいいじゃん!
と肯定してくれる人ではなくて

見離さずに
普通に接してくれる人が
いるだけでもいい。

また
同じ苦労を味わった
依存症同士のコミュニティで
自分の存在を
否定せずに
肯定してくれる人が
回復には必要なんですよね。

確かに世間からは
バッシングされるのは
現実問題、仕方がないかなと思いますが

良好な人間関係が
自分の居場所になりますし

余計な寂しさによって
刺激を求めるきっかけを
感じないように生活していけることが
治療につながる。

少なくとも
自分1人では治せません。

病院にかかったり
または
身近な人が通院を促して
医療につながることが大事。

批判や精神論だけで
治せるほど
容易なことではありませんから

依存症にかかった
その人自身ではなく
病気や脳の仕組みを問題視して
その人自身を責めない

ということが
大事かなと思います😌

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