見出し画像

幅を広げてみる。

こうして僕は初めての海で新たな教訓を得た。
海原は遠くにありて思うもの。
海の幸は、猫が自分で獲るもんじゃない。人間に用意させたものをいただくだけで充分だ。

最近読んだ小説に登場した猫のセリフ。
ちょっと笑ってしまうけれど、
自分で体験してみて好き嫌いが初めてわかる事ってあるのだと思った。

まずは知り、その上で自分の幅を広げること。
それはきっとすごく大切なことではないだろうか。
そんな事を書いてみました。

______________________
____________
_____

タイプ違いのおもしろさ

最近、2冊の小説を読みました。

画像1

1冊目は『楽園のカンヴァス』

美術の世界では名の通った「トム・ブラウン」を上司にもつ「ティム・ブラウン」。
何かの間違いか「ティム」宛に1通の招待状が届く。
おそらくはトムに宛てた内容のもの、しかしこれをチャンスにティムはトムになりすましてその招待を受ける…。

自分の正体がバレるのではないか、そして謎めいた絵は果たして真作かそれとも贋作か。
ドキドキしながらぺージをめくり、そのたび驚きが待っている。
そんな作品でした。


もう1冊は「旅猫リポート」

野良猫だったナナはサトルに拾われ幸せな日々を過ごす。
けれど、ある事情からサトルはナナを手放すことに。
安心してナナを任せられるような友人たちの元へ、
ナナとサトルの最後の旅が始まる…。

なぜサトルは愛してやまないナナを手放すのか。
2人の別れに向けて、少しずつ積み重なっていく思いと、
見えてくるサトルとナナのあり方。
お互いを大切に思い合う姿勢に心打たれました。
・・・
この2作品の面白さは全く違うタイプのもの。
けれど、それぞれ僕の中に満ち足りた読後感が存在します。

全く違う物語の世界に触れることで日常にはない、
自分の知らない世界が広がる。

それは本を読むことだけではない。
誰かに会うこと、誰かが夢中の世界を知ること。
そうした出会いを重ねるほど、自分がどれだけ無知だったのかを知ることができる。
これは肯定的な意味で。

無知な自分が少しずつものを知って、理解が広がる。
そんな自分の幅が広がっていく感覚は何より”面白い”
そんなことを思います。


出会いから全て、はじまる。

物語の世界や日常生活において、
知ろうとしなければ、きっとそのまま一生知らない世界がある。

旅猫リポートで、ナナは海を知らなかった。
はじめて触れてみて、その音に驚き、遠くから見るだけで充分だと気付いた。笑

僕自身は最近、”ガラスペン”という存在を知った。
文字通りガラスでできた筆記用具。
羽ペンのようにインクをつけて、文字を記す物。

「字を書くにはボールペン1本あれば充分だ」
そんな声もあるかもしれない。
けれど、ガラスペンの美しさとこだわりのインクから伝わる味わい深さによって、”書く”という役割を超えた”何か”があることを気付かされる。

最近の僕はそんなタイプ違いの面白さに出会うことができた。

2つの小説やガラスペンにおそらく共通する要素はない。
物語も、味わいのある物も、知らないところで困ることは少ないだろう。

でも、そんな些細な豊かさを知っているだけで日常の感覚が変わるのかもしれない。

知ろうとしなければ、きっとそのまま一生知らない世界がある。
何かに出会う事で自分の価値観が変わる。
例えば、知らないうちに苦手な食べ物が食べられようになる事は味覚の退化と言われている。

しかし興味や関心が広がっていく事は、きっと退化ではない別の何かのはずだ。
その何かを見つけるために、感じる幅を広げてみる

・・・
社会人として働き出してみると、意外に休日は家に篭って過ごす。そんな自分に気付く。

ご時世的に仕方のない部分かもしれない。
けれど食わず嫌いで知らなかった世界の輝きは、踏み込んでみなければわからない。

気にしてなかったけど、無意識だったけれど、
そんなものに目を向けて自分はそれらに何を感じるのか、
もっと探ってみたい。

そんな事を思う今日この頃。

ライ

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?