quiyo |キヨ

裏千家茶道を志して10年以上。 「茶のあるくらし」をテーマにいろいろ書いています。

quiyo |キヨ

裏千家茶道を志して10年以上。 「茶のあるくらし」をテーマにいろいろ書いています。

最近の記事

  • 固定された記事

【メディア掲載】茶の湯は世界を救う

こんばんは。 日中は暖かい日が続きますね。 さて、私は「天狼院書店」というちょっと変わった本屋さんが主宰しているライティングのゼミを受講しています。 こちらのウェブマガジン「READING LIFE」に寄稿した茶の湯にまつわる記事が公開されましたので、シェアします。 タイトルがちょっと大袈裟な感じですが、最近はお茶の可能性についていろいろ考えています。 それは変だよ、とか、こう思う、とか、ご意見やご感想をいただけるととてもうれしいです。

    • 竹入り水羊羹

      京都を訪問してからもうすぐ3週間が経とうとしている。 時間が経つのは本当にあっという間だ。 京都滞在中、いくつかの茶席を訪問した。 そのうちの一席でふるまわれたのが、この水羊羹。 「今日のお菓子は今の時期にぴったりのものです。ただ相~当食べにくいですから、お点前なんて見ている場合ではありまへんで~」 ご亭主が気さくにこんなことをおっしゃった。 研究会やらでお見かけした、着物姿がすっかり似合う男性陣が運んでこられたのは、水分を含んだ濃い色をした笹の葉にくるまれた、細い竹

      • 利休百首その10 点前こそ薄茶にあれと 聞くものを

        こんにちは。 今日も「利休百首」のつづきを。 「利休百首」は茶の湯の作法や礼儀を100の和歌の形式でまとめられており、茶の湯の実践者だけでなく、初心者にも参考になるものです。 この利休百首を今、ひとつひとつ読み返していて、このnoteには感想や、この歌にまつわるエピソードを残しています。よかったらお付き合いください。 お点前の基本は薄茶にある。基礎を軽く見るような人に上達はない。 何事も基本が大切であることを説いた歌です。 お茶のお点前には、季節や使う道具、棚の有無

        • 利休百首その9 何にても置付けかへる手離れは 

          こんにちは。 今日も「利休百首」のつづきを。 「利休百首」は茶の湯の作法や礼儀を100の和歌の形式でまとめられており、茶の湯の実践者だけでなく、初心者にも参考になるものです。 この利休百首を今、ひとつひとつ読み返していて、このnoteには感想や、この歌にまつわるエピソードを残しています。 まだまだ91首あると思うと少し気が遠くなりますが、よかったらお付き合いください。 これは私のお茶の先生が大好きな歌です。 物を置く時は、手早く離さず、まるで愛しい人との別れ際に名残を

        • 固定された記事

        【メディア掲載】茶の湯は世界を救う

        マガジン

        • 茶菓子のはなし
          11本
        • 利休百首を読もう
          10本
        • 旅と茶
          5本
        • お茶道具を愛でる
          5本
        • お茶と本
          3本
        • コラム
          0本

        記事

          利休百首その8 何にても道具扱ふ度ごとに

          道具を運び出すときは、たとえ重くても軽く持ち上げるようにすること。また、道具を置いて手を離すときは、ゆっくりと離すこと。 茶の湯というのはシンプルで、お茶を出す人、つまり亭主と、そのお茶を飲む人、つまり客から成り立ちます。 亭主は客の目の前でお茶を入れるのですが、お茶が美味しいと思ってもらうためには、そのお茶を入れるふるまいだって気持ちの良いほうがよかろう、ということでこのような歌は生まれたのだと思います。 茶道の決まり事はガッチガチで、特に今の私のように知識が頭の中で整

          利休百首その8 何にても道具扱ふ度ごとに

          利休百首その7 点前には強みばかりを思ふなよ 

          これは私のお茶の先生がよく口にされる歌です。 でも、それにしても前の一首でおっしゃったことと矛盾していませんかと、頭を悩ませる一首でもあります。 お点前では、力強く振る舞うことばかり考えてはいけない。軽いものを持つ時は、まるで重いものを持つように、逆に重いものを持つ時は、まるで軽いものを持つように。 水がたっぷり入った大きな水指を運ぶ時。 また、薄茶のお茶碗とお棗を運ぶ時。 別の生徒さんを指導しているはずの先生が、「強きは弱く、軽く重かれ」と私の方を見ておっしゃいます。

          利休百首その7 点前には強みばかりを思ふなよ 

          利休百首その6 点前には弱みを捨ててただ強く

          これも解釈の難しい歌だ。 お点前をするときは、弱々しさを捨て、強くあれ。だからといって力が入りすぎて、卑しい動作にならないように。 なよなよしいお点前は、見る側も不安になるものです。ここでいう弱々しさというのは、練習不足や、自信のなさといった心理的なものを指していると思います。 だから自信を持って、堂々と。だからと言って力が入りすぎると、こちこちの動作になってしまいます。強くあれ、でもいい塩梅で。

          利休百首その6 点前には弱みを捨ててただ強く

          利休百首その5 上手にはすきと器用と功積むと

          上手になるための3つの条件とは。 上手になるためには、何事も「好きであること」「器用であること」「コツコツと努力すること」の3つが必要である。他人から強いられていやいや習うようでは、上達は難しい。 「好きこそものの上手なれ」という諺がありますが、利休百首は、上手になるには好きであることのほかに手先の器用さ、そしてコツコツと続けることが重要だと説いています。 これを読んで、はじめはショックを受けました。なぜなら私は大雑把なところがあり、手先の器用さを持ち合わせていないから

          利休百首その5 上手にはすきと器用と功積むと

          利休百首その4 はぢをすて人に物とひ習ふべし

          簡単そうで実は難しいこと。 知らないことを恥ずかしいと思わず、師匠や先輩に聞いてみよう。自尊心を捨て、教えてもらいながら学んでいこう。それが成長の礎となる。 まず、知らないことを認めること。その上で、他人に聞いて、教えてもらうこと。茶の湯に限らずいろんな場面で大切なことだと思います。 私の場合、特に学生時代から20代にかけて、知らないことを素直に知らない、教えてほしいとなかなか口に出すことができませんでした。 今も口頭で教えてもらうことはあまり得意ではありません。一回教

          利休百首その4 はぢをすて人に物とひ習ふべし

          利休百首その3 こころざし深き人にはいくたびも

          こちらも学ぶ姿勢について説かれた歌です。 解釈1:学ぶ側の読み方 志が深く熱心な人には、学びの場において何度も丁寧に親身になって教えてもらえる機会が訪れる。 解釈2:教える側の読み方 師匠は、志が深く熱心な弟子に対して親切であるべきである。憐み深く、誠実に。 一般的に、志は「高い」と表現することが多いと思います。しかし利休さんに言わせれば、志が「深い」人にこそ、学ぶチャンスが訪れるということなのかもしれません。 上へ、上へと高みを目指して向かうことも大事ですが、下へ、下

          利休百首その3 こころざし深き人にはいくたびも

          お稽古日記 2024年7月

          七夕の今日はおそらく、今年一番の暑さを記録した日だ。 私のお稽古場は、標高のやや高いところにある。 先生曰く、「暑い日」といえば数年前まではお盆の前の数日だけで、それでも朝晩は気温がしっかり下がったし、今のようにこんなに蒸し暑くなることはなかったという。 私の記憶を辿れば、遡るのはほんの数年…いや、少なくとも確か10年くらい前まではエアコンはついていなかった。朝はひんやり涼しいのだけど、お昼に近づくにつれ、お稽古場はだんだん暑くなっていくのだ。  それが今では、準備の時か

          お稽古日記 2024年7月

          利休百首その2 ならひつつ見てこそ習へ

          こちらはいろんな解釈のできそうな歌です。 真似をしながら、とりあえずやってみること。やってみもせず、見ただけや頭の中だけであれこれ決めつけるのは「食わず嫌い」であり、良いことではない。 大茶道家の井口海仙先生は、批判する人の視点にたった解釈をしています。 また、私のお茶の先生は、ある入門者がお稽古中にメモを取ろうとした時、上の句の「見てこそならえ」を引用し、メモをすることを禁止されました。 他にも全体で、また一部を切り取っていろんな捉え方ができると思いますが、私はお茶を

          利休百首その2 ならひつつ見てこそ習へ

          利休百首その1 その道に入らんと思ふ心こそ

          何事も、その道に入り、習おうとする気持ちがあれば、すでにその人自身の心の中に立派な師匠がいる。 利休百首の最初にふさわしい歌ですね。 これまで茶の湯のいろんな場面で一番引用されている歌のひとつだと思います。 一緒に稽古をしている中学生が、この心をもって茶の湯を習っています。もっと知りたい、もっと知りたい。おとなしい彼女がこう口にすることはないのだけど、彼女の姿勢からもう、彼女だけの立派な師匠が心の中にいることを側から感じています。

          利休百首その1 その道に入らんと思ふ心こそ

          利休百首を読もう

          こんばんは。 この春から「利休百首」を少しずつ読み進めています。 利休百首について▼ もう何年もお稽古をしていますが、それでもこの百首から学ぶことがとてもたくさんあります。 かなしいかな、ときどき、何を言いたいのかさっぱりわからないものもあります。 さらにこれを外国語(英語、フランス語)に訳する作業も同時に進めていますが、思った以上に大変です。 でもその分、ことばを丁寧に読み解く作業を進めていくと、利休さんの教えがさらに味わい深く感じます。 そんななかでひっかかったこ

          利休百首を読もう

          京都にて

          京都で行われたお茶人が集まる催しに参加した。 内容はとても濃かった。 1日目は選択制の茶事や研修、茶の湯ゆかりの施設見学に加え、お師匠を囲んだ夕食会。翌日には複数の茶席を伺った。 実はイベント以前からプレ行事がいくつも行われたほか、オプショナル行事毎に参加者との事前顔合わせがオンラインにて行われた。全国から人が集まり規模が大きくグループ単位で行動をするので、当日の進行がスムーズにいくことが第一の目的なのだと思うが、文字通り参加者同士が事前に顔を合わせることも大きな目的だっ

          お稽古日記 2024年6月

          今日のお稽古は、自分が食べる分のお菓子作りから。 白餡に青、紫、桃色に着色した餡を折り込んだ練り切りに、紫、青の寒天を細かくしたものをまぶして紫陽花風に。 みんなが集まった後に花月をしました。 先日行われた支部の研究会で花月があり、その復習を実践しました。炭付花月からはじまり、平花月、貴人清次花月の三本立て。 本当はベテラン組4人に先生が加わって5人で行う予定だったのだけど、小学生、中学生の生徒も仲間に入れて欲しいとのことで、交互に入れ替わり。 普段はどうしても時間がか

          お稽古日記 2024年6月