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利休百首その9 何にても置付けかへる手離れは 

こんにちは。
今日も「利休百首」のつづきを。

「利休百首」は茶の湯の作法や礼儀を100の和歌の形式でまとめられており、茶の湯の実践者だけでなく、初心者にも参考になるものです。

この利休百首を今、ひとつひとつ読み返していて、このnoteには感想や、この歌にまつわるエピソードを残しています。
まだまだ91首あると思うと少し気が遠くなりますが、よかったらお付き合いください。


これは私のお茶の先生が大好きな歌です。

何にても置付けかへる手離れは 
恋しき人に別るゝと知れ

利休百首

物を置く時は、手早く離さず、まるで愛しい人との別れ際に名残を惜しむように、ゆっくりと離すこと。

ちょうどこの前のお稽古で、こんなやりとりがありました。

社中さんが、おそらく無意識のうちに柄杓の先を蓋置に置くというよりもポトンと落とすようなことをし、その手が中途半端に開いた状態で次の動作を始めようとしていた時です。

先 生:「こらっ。今、ちゃんと柄杓を置こうと意識していた?そんなにせっかちな動作をしちゃだめよ。ひとつひとつ、しっかり意識しなさい。あなた、恋人と手を放すときにもにもそうするの?しないでしょう。『何にても置付けかへる手離れは 恋しき人に別るゝと知れ』というでしょう♡」

先生がうれしそうに、まるでセリフを言うようにこの歌を唱えたので、小学生の社中さんがその様子を見てひとり大爆笑。

先 生:「あらっ〇〇君、今、笑ったね?先生が言った意味、分かるかな~?」

小学生:「う~ん……わからな~い」

体をくねくねさせながら言いました。
先生、社中共々、大爆笑。


好きな人には良く見せたいから、きっと相手に見せるふるまいにも気を遣うはず。

お茶のお点前だって同じこと。
大切なお客さんが目の前でお点前の様子を見ている。
物を置くときはついつい無意識にポンとおいてしまいがちだけれど、ゆっくりと、意識をすること。

この歌はよく先生が用いる歌のひとつです。
それだけ忘れやすいことなのかもしれません。
日常生活にも取り入れたいものです。

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