見出し画像

ミラクル珍道中作家時代④

まだ想像出来ぬ新しい道をぼんやりと思いながら、「うーんではやりましょう」と売れっ子デザイナー気取りの若かりしQQ女(笑)

いくつかデザイン画を描いて用意する。

はて、しかし、つい最近簡単なバッグを自分の家のミシンで縫っていただけなんだけど、一体全体中国へ行って何が出来るのか?
何のスキルもありませんけど?

一抹の不安を感じるも、勘違い売れっ子デザイナー(自称)にはもはや羽が生えている。
とりあえず行けばなんとかなるべ〜

最初どういう話だったか覚えていないのだけれど(後にここが重要となるのだが)、まずは2週間くらい行って様子見てみるかと荷物をまとめ廈門へ行った。

最初に声をかけてくれたリタイアした日本人男性と運転手の人が空港へ迎えに来てくれた。

車が着いた所はバッグやベルトの金属パーツを作っている工場がある大きな会社だった。
たくさんの従業員と先日会った女副社長が大きな声で言い合っている。

寮もあり従業員たちはそこで暮らしている人もいる。

私は会社の重役たちが暮らす塔のゲストルームのような部屋を与えられそこで過ごすことになった。

リタイアおじさんが日本人であるというところにだけで信用というか安心できているという所もある。(と言ってもリタイアおじさんの事もよく知らない。。)

朝昼晩と台湾出身の社長、デキる女副社長、日本人のリタイアおじさん、運転手のおじさん(本来の役職はわからない)と私の5人でご飯を食べる。
女副社長とはカタコトの英語を、リタイアおじさんとは日本語を、後は皆中国語で全く言葉はわからない。
時々漢字を書きながらお話しする。

そんな中、私に専属の職人さんをつけてくれてサンプルを作ってくれということになった。職人さんといっても若い女の子とたまに来る(今思うと)4、50代くらいの男性。
お互い言葉がわからないのでやはり漢字で筆談。
だけど最近の若い子は略した漢字しか学ばないようで知らないらしく、私達日本人がが使う漢字がわからないらしい。そういう時はもう1人の50代男が訳してくれた。

私達はそうやって少しづつ仲良くなって、こっそり夜抜け出してビールを飲みに行きカエルをはじめて食べさせてもらったりした。

さてさて2週間ほどのつもりで来たお気楽気分の自称デザイナーQQ女。
なんとなく描いてきたお絵描きをこの人たちとどうやって形にするのか、全くわからない。そりゃそうですよ、つい最近なんとなくはじめてあーでもないこうでもないと気ままに作ってただけの人ですからたくさん作るという事に何のノウハウもない。

ヤング職人とあーでもないこーでもないと筆談でやりながらようやく1つサンプルを作ったころ、日本人のリタイアおじさんが言った。

「私はそろそろ日本に帰ります」

「え!おじさんいなくなっちゃうの?」
一気に不安が襲う。
「また戻ってくるんですか?」
「いえいえ私ももう歳ですからもうゆっくりします」

リタイアおじさんの本当のリタイア。
いやいや聞いてないよ〜え〜どうしよう〜

数日後リタイアおじさんが日本へ帰り、
言葉もあまりわからず、何をしていいかわからず残されたQQ女は不安でいっぱい。

与えられたゲストルームのTVも中国語でわからなかったのだけど唯一何となくわかる映画のチャンネルが1つ。

しかし!そこで流れてきた映画はホラー映画の
「hostel」という映画で、その内容がアメリカの男子学生がヨーロッパに旅行に来てオネエちゃんたちと楽しい思いをするのだけど最終的に殺しを楽しむ金持ちの人間に売られて拷問され殺されるという恐ろしい内容だった笑。
一気に不安と恐怖が襲う(そんなことは全くないのだが)

これは一度日本へ戻って、出直さなくてはならない。
しかしどうやってここから帰るのか?

そう思い相談してみた。
すると、
「まだなにも進んでないのだから日本に帰れない。このプロジェクトが終わるまで日本に帰るのは許さない」
と言われた。

うわああ!やばい。
帰れないのか!?
お気楽気分で来たQQ女。
いやいやそのうち拷問されて殺されたらどうしよう(映画の影響受けすぎ)

そもそも土台のないところに塔はたたないように、全く知識も経験もないハッタリでハリボテな自分に何が出来よう。
勢いだけで来た自分の不甲斐なさに嫌気がさす。

結局、不安と疲労で私には分不相応と悟り数日後このプロジェクトを辞退した。

こんな私に声をかけてくれたこの会社に感謝しているし、とても良い経験をさせてもらった。

ああNYに行った時と一緒だな。
いつも私は中途半端。
またも逃げるように日本に帰る。

中国の経験から自分に何が足りないのか。
自分に必要な物は何なのか。
それはちゃんとした経験と知識と場数である。

その為にはどうしたら良いのか。
まずはそういう所で働いてみよう。

となったのである。

つづく

またつづくんかい

この記事が参加している募集

夏の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?