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箱森裕美 Hiromi Hakomori

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#qai

推したり萌えたり|もしもし、今日はどうだった|箱森裕美

推したり萌えたり|もしもし、今日はどうだった|箱森裕美



姫乃たま『もしもし、今日はどうだった』より 12句連作

脳みそをマッサージ
まず左ほぐされている秋の昼

やすらぎインダハウス
はるのうみにぜんぶしずめてあげるから

たまちゃん!ハ~イ
食べないよ、へいき 初雪見に行こう

手弁当でまいります
新米のくるくる回る手のあいだ

お母さん!たまが妖怪になってるよ
日向ぼっこ九尾まとめて撫でてやる

ご褒美はなんだろう
ぶつかってまたぶつかっ

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名前の由来|栃木市箱森町|箱森裕美

名前の由来|栃木市箱森町|箱森裕美



栃木市箱森町
ひぐらしや神社の木々を森と呼ぶ
パチンコ店宮殿を模し天の川
秋高しジャスコに小さき映画館
どれも姓違わず稲田の中の墓地
秋の田を本読みつつの下校かな
あきのらいさまだよテレビ消しとこう
花梨の実道路向こうに他の学区
月光に色褪せてゆく歩道橋
トラックの頭うずもれ曼殊沙華
花野ゆらめいてレンタルビデオ店

栃木県栃木市箱森町、わたしの生まれた町の名前だ。
「はこもり」ではなくて、「

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部活と私|脱ぎ捨てて|箱森裕美

部活と私|脱ぎ捨てて|箱森裕美



栗の花道着少しく湿りたり
てのひらに小手の逆らふ梅雨入かな 
夏つばめ手ぬぐいを広ぐれば海
黙想の想長々と夾竹桃
滴りのさかりに対峙してゐたり
炎帝に聞かせるやうに面といふ
五体判らず掛かり稽古や扇風機
道着脱ぎ捨てて飛び込むプールかな
8×4(エイトフォー)みんなで回すサイダーも
ささくれをしづかに削る夏休み

通っていた高校は女子高だった。剣道部に入っていた。
練習に使っていた自校の体育館

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自己紹介と記事3選|箱森裕美

自己紹介と記事3選|箱森裕美

どこまでもどこまでも先の見えない状態が続いている今日このごろですがいかがお過ごしでしょうか。
行けなくなってから週1、2回行っていた百円ショップにずいぶん心を救われていたことに気付きました。
ふらっと立ち寄ってノートや柄つきの保存袋、小さいネイルなど、取るに足らないものを少ない金額で手に入れる、不要不急の行為をわたしはとても好きだったんだなあ。
とかね。

いろんなものがうず巻いてしまうよね。

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2020年3月|健康と文化|箱森裕美

2020年3月|健康と文化|箱森裕美



磨り硝子より春の星つまみ出す
春燈やくつつき合ふて潤む飴
おがくづを身にまぶさるる春の風邪
発泡スチロールより雨あふれ春
紋黄蝶盛ん家屋の死を迎へ
おとうとが欲しい草餅食べさせたい
たましひはみな春眠の橋のうへ
健康と文化菜飯を軽く盛る
田螺鳴く腹のふくらむ呼吸法
木の瘤に水気ありけり卒業期
もう許す許すと桜吹雪かな
馬刀貝の穴から生まれ直します

創作とこども|きおく きろく|箱森裕美

創作とこども|きおく きろく|箱森裕美

2月9日 日曜日沈丁花咲き初むおよぐゆめみやう

2月10日 月曜日暗転ののち早春になる舞台

2月11日 火曜日ヒヤシンス押し合ふうちに開きけり

2月12日 水曜日春の星フッ素口内ゆき渡る

2月13日 木曜日忽ちに消えゆく音色暖かし

2月14日 金曜日いつまでも箱嗅ぐバレンタインデー

2月15日 土曜日銀箔のゆらゆらと蝶生まれけり

毎日しんどくてひどいと思うことが世界にあふれて逃げたい

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【文学フリマ】暮田真名『補遺』を読んで(箱森裕美)

【文学フリマ】暮田真名『補遺』を読んで(箱森裕美)

いつもは客として、事前に欲しいものを調べてばーっと購入そして離脱することが多かった文学フリマだけれど、先日の5月6日の文学フリマ東京でははじめて出店側に立ち(しかも子連れで)、いつもとは違った会場の見え方にどきどきしたり、会えたかったひとたちに会えたり、お知り合いにもなった方もできたりと、周りにほんとうに迷惑をかけたり、すごい雑なまとめ方で申し訳ないけれども、とにかくいろいろあってとても刺激的だっ

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