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三島由紀夫の事件は、私の人生には大きな影響があった。
あの日、わたしは高校を中退し、上京、出版社に勤めだしたころだった。
会社に夫から電話があり、もうやめてしまえ、会社なんか。大変なことが起きた。
市ヶ谷に行こう。
電車に乗ると、みんな泣いている。すし詰めなのにシーンとしている。
不気味な異空間であった。
市ヶ谷の駅から出られず、深夜まで駅にいた。
軍駐屯地に行っても、駅に佇んでいても、何の情報もない時代。わかっていた。
一人ではいられ
月日(つきひ)は百代(はくたい)の過客(かかく)にして、行(ゆ)きかふ年もまた旅人(たびびと)なり。
この名文にしびれた人は多い。それにしてもだ。熟年の芭蕉が数千キロを歩いたのだ。旅人の健脚ぶりには、唖然とする。
その跡を追って数か所は行ってみた。歌枕を確かめていたようだが、ちんぷんかんぷんの別世界だ。
黒羽や尿前の関に、いつか行きたい。
啄木鳥も 庵は破らず 夏木立
この貧脚を頼るのか、淋しい限りである。
いま、ウサギを飼っている。
2代目だ。
直ぐにかみつく荒々しい気性。
好奇心の爆発。餌に輝く瞳。獣であった。
きちんと12支に収まった、小狡さがあり、最高級のペレット、フルーツを何種もペロリ。
山に置いてこようか、と考えたが、家人曰く
「きゃつは絶対戻って来る」
今は腹を上にして、勝ち誇った昼寝の時間だ。
痛い思いをするのは、ぼくだから・・・
家人はよく棚に頭をぶつける。薬をつけよう、その棚を一時的に何かでくるんでしまおう、と声をかけても、駄目である。大げさに言われるのが嫌なのだろう。血だらけでも構わない。「痛い思いをするのは、僕だから」
これ以上は何をかいわんや。
ぽたぽたと無音の、寒い空気がなだれ込む。
連休だったので、車屋のすすめに 倣ってドライブをすることにした。
何せ新車で買ったのに、1年半で1500キロしか乗っていない。2年ならば10000キロは乗るべきだ、とのたまう。 エイッ!とばかりに急に運転しだした。
今日は近藤勇の生家、なんと休日。八王子陵は広すぎて足がおぼつかない。
やれやれ、先が思いやられる。くた。