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カナダ トロント自粛生活 8週間目の記録。

「なーんだやっぱたいしたことないんじゃん」なわけがなく、これを読んで、ますます徹底しようと思った。トロントは外に出る時にマスクをしている人•しない人も、ソーシャルディスタンスの意識も、人によって異なっていると感じる。
緊急事態宣言のレベルを引き下げる見解がアナウンスされており、伴い、警戒を緩める人達が増えるだろう。無症状感染の危険性を噛み締めている。
https://note.com/rootsy/n/nabb7901b2e09

5月4日。この日はもしかすると、今後の対コロナ生活において分かれ道になるかもしれないので記録しておく。介護が必要な人と触れ合う話。

5月3日。連絡が絶たれていた移民弁護士から2ヶ月ぶりに連絡が来た。申請物について明日会えないかという。今は外で人と会うのは避けたいが、弁護士は手足が不自由でオンライン会議に持ち込めない。

オンライン会議に持ち込めない私の担当弁護士だが、彼は手足が不自由。というか、動かせるのは指先と頭だけである。
電動車椅子で生活している。移動するためのボタンは指先で押すことができるので、彼自身は逞しく街を移動しているが、電動車椅子の手すりに委ねた肘から手首がずり落ちてしまうと自分で手を戻せない=ボタンを押せない=詰む。
私の担当弁護士の稼働域は、指先と首から上である。

普段の連絡は彼の、「Hey Siri, 〇〇して」で送られてくるテキストメッセージかemailでやり取りしている。よってオンライン会議は不可能=5月4日、対面打ち合わせをすることにする。
待ち合わせ場所のオフィスに着くと40分後位に弁護士到着。

彼は体が不自由なので、普段は人の力を借りて生活している。
オフィスは現在、緊急事態宣言に基づき閉めているので、事務所の人が在中していない。オフィスの鍵を開けるための鍵は、彼に指示された通り、彼の車椅子にかかった鞄から取り出して行う(この場合は私)。
鍵を開けてオフィスビル内の弁護士事務所に入室。今日のように打ち合わせのたびに顧客が彼の身の回りから鍵を取り出し、解錠して打ち合わせを行なっているのだろう。

打ち合わせ中、別の顧客Aが来た。その人はマスクもしていない軽装なことに驚いた。

前述の通り弁護士は首から上と指先しか動かせないので、マスクをしていない。自分でマスクを付けれないし外せないのだろう。
その人相手にマスク無しで打ち合わせにいらっしゃり、手洗いもせず対面で打ち合わせを開始する、顧客Aと弁護士。
もし自分が保菌していて伝染すかもしれないとは考えないのだろうか。
この弁護士さんは50代くらいであるし、もし感染したら元々体が不自由な上に、更に思うように生命維持しづらくなるだろう。

私は時間のかかる重たい書類を作る必要があったため打ち合わせを中断し、別室で記入しながら残りは顧客Aの打ち合わせ終了後に再開することになった。再度わたしの番が来た。5時過ぎの開始から始まり今は8時。

今から更に打ち合せの時間がかかりそうなので一旦ピザのテイクアウトに行こうかと言われる。コロナが怖い私は、事務所で待っていると答えるも、彼は「人の助けが必要なんだ」と言う。あぁそうだったごめん。私も同行することに。
移動中、マスク姿の私に対して、エレベーターを降りてエントランスを出るまで一緒だった顧客Aが腫れものを触るように距離を取る。警戒する私のために距離を取ってくれているのだろうけれど、相手によってソーシャルディスタンスを変えるのは無症状感染拡大において意味が無い。

顧客Aと別れ、私と弁護士はピザ屋に到着。
ピザ屋は徹底していて安心安全だったのだけれど、
行き帰りの街中、歩行者のマスク率が30〜40%くらいだったことに恐怖を覚える。よほど中国人やアジア人の方がマスクの着用率は高く、日本で言う銀座のような街並みのここ、高級オフィス街では人々はあまりマスクをしていなかった。
街を歩く分にはソーシャルディスタンスは保たれているし屋外なので、そんな様子を見ると、屋外はそこまで神経を張らなくて良い気にさせてしまうような、人々の様子。

いやいや、では彼らは店に入る時にマスクをするのかと問われると答えは否だろう。そうだとしても店内でマスクを着用し、その前後で外していたら自分で何度もマスクに触れていることになり、マスクの意味もない。

無事にピザを受け取り、弁護士事務所に戻り、打ち合わせ再開。
体の不自由な弁護士さんにピザや飲み物を口元に運びながらの打ち合わせ。
その間私は彼にタッチしまくっているし、彼の荷物にも触れまくっている。彼の他の顧客もそうだっただろう。
今日の打ち合わせに向けて自転車で来て、マスクをし、アルコールを見つけては塗りたくり、手洗いをし、神経を張って臨んだが、先ほどの顧客Aはマスク無しで既に弁護士と対面打ち合わせ。
そして今わたしは彼に食事を運ぶのに、ピザを手で運ばなければならないし、彼は口をアーンして待つしかできないし、そうこうしている間にもピザを運ぶたびに私の手は彼の口周りに触れちゃっているし、
かといって嫌だ、という気持ちで触れているわけでは無い。腫れ物を扱うように彼に接したくない。私はこの弁護士さんに好意的であり大切なのである。頭はキレるが優しいかわいいおじいさんなのだ。
これでもう、彼が・私が・他の顧客が•感染者だったらアウトだと覚悟と諦めのような感情を持った。
彼のような体の不自由な方は、毎回様々な人の助けが必要だ。打ち合わせでなくても普段、食糧を買う際に彼は店員に呼びかけ、店員さんに、彼の首にかけたパスケースの中からカードを出してもらい決済している。日々、濃厚接触せざるを得ない生活だ。

担当弁護士がこのパンデミックの中、どれくらいの人と濃厚接触せざるを得なかったかは計り知れるし(前述のように彼は人の助けが必要な生活を送っている)、彼はオンライン会議は不可能。
では打ち合わせに行かなければよかったかと言うと、私のビザ期限も迫っており前回から3ヶ月待たされており、ビザ期限が過ぎてしまってはカナダで生産を維持することができない。打ち合わせせねばならない局面だった。そして打ち合わせに参加するまで、この一連の流れを私は想像することができなかった。

弁護士事務所を閉じている今の状況は、彼の助手も側近にいない状況という事。この自粛期間中、彼はますます不特定多数の人の助けが必要な状況になっているし、顧客が、店員が、彼の身の回りから鍵やクレジットカードの出し入れをする状況。食事の時間帯周りであれば、私のように不特定多数の顧客が打ち合わせ中に食事を運ぶのだろう。
彼と接触する不特定多数の人々が日々、どう過ごしているかわからない。そして彼は体が不自由なため、日々様々な人の助けのもと、濃厚接触の日々を送らざるを得ない。

仮定しよう。手洗いマスク無しで外出するとする。自分は家に帰ったら手洗いうがいをするから大丈夫と思って外に出て、彼のような人の助けが必要な人に出くわしたら?保菌を渡してしまう。
彼が感染していたら私は確実に濃厚接触者だし、他の顧客もそう。逆に私たち顧客側が無症状感染者の場合は?彼は確実に感染する。
体の不自由な人は人と接触を絶って生活できない。

私は移民弁護士さんを変えるつもりは無い。とても優秀で、彼のお陰で私はワークビザを降ろせたと思っているし、毎回、彼の提案する方法や、予備の第二の手、第三の手にはいつも感謝と安心をもらっている。

言いたいのは、これは今後の社会問題だということ。人が接触し生活することはケアセンター等では必須のことであり、今後の社会問題にのしかかる。ケアは濃厚接触を避ける事はできない。
人は助けが必要だし、Black Mirrorの未来のような、人と人との接触の少ない未来もすぐには来れない。


5月5日
今回の一連の出来事があったので、下記の唐木さんのnoteは、ますます手洗いうがい徹底の心に刺さった。私は今日感染していてもおかしくないと思って生活しよう。すぐに対処できるようにしておかなくては。
(ちなみに3月4日に38.2度の熱と喉のイガイガ感と止まらない鼻水と体の痺れ。
4月9日に38.35度の高熱と体の痺れと倦怠感があった。)

段々と規制を緩め始める各国の緊急事態宣言の警戒レベル。
規制緩和に伴い、心なしか人々の警戒も緩まっているように感じる。街中のマスク無しの人々。
今一度、マスク手洗いソーシャルディスタンスの徹底を。


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