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劇場(2020)

夢と愛を追う若い男女が辿り着く
究極の〈愛の形〉とは?

原作はお笑い芸人にして、長編小説デビュー作で芥川賞作家となった異才、又吉直樹渾身の恋愛小説。独身の男性芸人たちで結成された「アローン会」に所属するなど、「恋愛がわからないからこそ、書きたかった」という又吉が突き詰めた、複雑で独特な〈愛の形〉が見事に映像化されました。

【ストーリー】
主人公は、屈折した青年・永田(山﨑賢人)。中学からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担いますが、彼の前衛的な作風は酷評されていました。それでも、自分を曲げず、意見した劇団員に暴言を吐くなど、独断的な永田に劇団員たちは離れていき、劇団は解散状態になってしまいます。
そんな悲惨な状況で、呆然と渋谷をさまよっていた永田は、自分と同じスニーカーを履く女性・沙希(松岡茉優)を見かけ、普段からは考えられない積極さで声をかけます。沙希は怪しい風貌の永田に驚きながらも、すぐに心を開きます。女優になる夢を抱いて上京し、服飾の学校に通う沙希は不器用な永田を強く信じ、優しく励まし続けますが……。

互いを求めるように、永田と沙希は同棲を始めますが、穏やかな日々は続きません。理想と現実の間で不安と葛藤を抱える永田にとって、沙希の優しさは諸刃の剣となります。永田は沙希の想いに応えられない苛立ちを沙希にぶつけ、沙希は好きだからこそ、永田の理不尽な甘えを笑って受け止めます。

純粋で未熟な2人のぶつかり合いは子どもじみて、正直、共感が湧きづらいのですが、「恋愛がわからない」と話す又吉だからこそ生まれた、壮大な恋愛劇へと発展します。

〈愛している〉だけではうまくいかない男女の関係を丹念に紡ぎ出すのは、『世界の中心で、愛をさけぶ』の行定勲監督。映画ならではのドラマチックなラストシーンまで、緻密に計算された演出力が冴えます。

永田と沙希との2人芝居のような物語を演じ切った山﨑賢人と松岡茉優の熱演は見応えたっぷりです。『白日』で、一躍注目を浴びた人気ロックバンド「King Gnu」のボーカル・井口理が映画初出演を果たしました。
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