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アメリカでUX・プロダクトデザイナーになるための面接対策まとめ(パート1)

あくまで参考ですがFacebook、Airbnb、Uberといった比較的若く組織が大きいアメリカ・テック系企業のプロダクトデザイナーの面接には役に立つと思います。

LinkedInのプロフィール
僕の場合企業からのアプローチのほとんどがLinkedIn経由で来ます。面接のプロセスは3〜4のステージからなっており、最初にリクルーターや採用責任者(通常デザインマネージャー)が人材を探しますが、このときほぼ必ずLinkedInを使うので少なくとも過去と現在の職歴を記載してLinkedInにプロフィールを作っておくのが重要です。

履歴書
準備しておいてもいいですがスクリーニングする側はLinkedInのプロフィールをよく使うので履歴書があっても見ない場合があります。職歴に重点を置いてシンプルに1ページでまとめてください。カバーレターはまず必要ありません。

学歴
学校で得るものは多くあり大切だと思いますが経験上デザイナー候補者を評価するときに学位や学校が話題にのぼったことは一度もありません。最近は学歴をわざと無視するよう指示が出ている企業も多くあります。LinkedInや履歴書に記載してもいいですが一番目立たないところでいいでしょう。

仕事の領域
以前は企業によってはビジュアルデザイナー、UIデザイナー、UXデザイナー等組織の中で細分化されていた場合もありましたが今では全く聞きません。求められるのは端から端までできるジェネラリストのような「プロダクトデザイナー」です。一般的な視覚情報デザイン、UXデザイン、リサーチ等広範囲に能力と経験を持つことが理想的です。

ポートフォリオサイト
人材を探す側はもちろん時間がないので1人のデザイナーのポートフォリオサイトに費やせる時間は多くても数分程度です。少数の作品を簡単にまとめるのがベターですが、自分の役割、問題提起、最終結果にいたるまでの過程や思考プロセスを記載するのを忘れずに。Webサイトである必要もなく応募するときにクラウド上にあるPDFポートフォリオへのリンクを提出する候補者も多くいます。

ポートフォリオ・プレゼンテーション
面接の中で一番重要なステップです。ポートフォリオサイトをスクロールするだけでプレゼンするデザイナーを見たことがありますが非常に見づらいのでスライド形式でプレゼンするのをお薦めします。プロジェクトを2つ選んで45〜60分で5〜6人の面接担当者(複数のデザイナーに少数のエンジニアかプロジェクトマネージャー)を前にプレゼンするのが一般的です。

学校の課題や実験的なプロジェクトではなくできる限り実際にリリースした製品や施作を選んでください。学生の方には難しいかもしれませんがインターンシップを利用したりフリーで働いてできるだけ実在するケーススタディを用意してください。

最終的に辿り着いたデザインを見せることも大切ですが、開発背景、チームの紹介、自分の役割、データやユーザーの声、問題提起、デザインスプリントの詳細等をかなりの時間とスライドを使って論理的にまとめるのが一番重要です。プレゼンを始めてすぐ最終デザインを見せる候補者もいますがこれは大きなマイナス点です。日頃からデザインスプリントを行っていると資料の準備に問題はないはずですね。

以上のようなケーススタディの過程を1人でこなしたとなるとマイナス点です。当たり前ですがデザイナーは組織の中でPMやエンジニアと協力して製品開発するので企業側は当然コラボレーションをできる人材を探しています。できる限り1人で取り組んだプロジェクトを紹介するのは避けてください。

最後に取り組んだ施作がどれくらい成功したかデータやSNS上の声を紹介しながら示してください。たとえ結果的に失敗した施作だとしても、なぜそうなったか、自分ならこういうふうにやり直すなど、明確に話せるようになっていれば問題ありません。

App Critique
最終面接の中でよくある形式です。30〜45分で面接担当者が一緒にアプリを批評しながら候補者のデザイン思考、コミュニケーション能力、建設的なフィードバックができるかなどのシグナルを探ります。批判するだけでなくアプリを作った側の苦労や、成功している箇所を見つけて称賛することも忘れずに。ほとんどの場合両者のスマートフォンにあるアプリを選んで取り組むことになるので必然的にGoogle Maps、Spotify、Uber等の一般的なアプリになります。

Problem Solving Exercise/Whiteboard Challenge
英語のコミュニケーションが得意でないと最終面接の中で一番難しい部分だと思います。面接官からその場で下記のような指示をもらいFigmaやホワイトボードを使って課題に取り組みます。

例:子供でも使えるATMのデザイン
例:カスタムオーダーができる家具屋のウェブサイトのデザイン
例:MUNI(サンフランシスコ市営鉄道)のアプリのデザイン

ここには書ききれませんが一番重要な点はプロセスであり最終的に完成されたデザインにたどり着くことではありません。全体的なプロダクトを1時間以内でデザインすることなど不可能なので、課題の内容から1つか2つの問題を提起し、それを解決することに集中してワイアーフレームで簡単にスケッチするのが理想的です。

基本的な流れは課題の目的の明確化、ユーザーの定義、問題の把握、解決策の提唱です。この間面接担当者はパートナーであり、質問をしたり意見を聞いたりして課題を進めるのに役立ててください。何度も言いますがワイアーフレームの仕上げは大雑把でも構いません。文章だけで構築して採用されるデザイナーもいます。「もしあなたがPMならどういった指標でこの製品の成功を計測しますか?」は最後によく聞かれる質問です。

Take Home Design Exercise
上記のProblem Solving Exerciseと似たような課題を宿題のように自宅で取り組み面接時に担当者に結果をプレゼンする形になります。このように自宅で準備できてしまうので候補者のスキルを測るのに適していません。この課題を課す企業は少なくなりつつあるので対策をする必要はないと思います。

個人特性
上記以外にも複数の1対1の面接があり特性や人格等を探られることが一般的です。どれだけ過去の職歴が素晴らしくても自尊心が高く自身の評価ができないデザイナーは好まれないので、自分の得意と不得意を説明できるようになりチームプレーヤーであることを強調してください。この点においては「I」ではなく「We」を多用して喋るように気をつけるのも大事です。「謙虚さ」を持っていることは大きなプラス要素です。

自分の能力・地位などにおごることなく他人(同僚・顧客)の意見をよく聞き、自分の犯した間違いを受け入れられるか面接担当者はよく見ています。過去の失敗とそれをどのように克服したかというのはよくある質問です。

デザインスキルや職歴の評価が低くても最後には採用されるケースも何回も見たことがあります。そういった場合の候補者の共通点は向上心と学習意欲が高いことです。実務で勉強してすぐ他のデザイナー達に追いついてくれれば今採用しても問題ないということです。

面接担当者への質問
各面接の最後に必ず5分ほど質問できる時間がもらえるのでこれを最大限に利用してください。最終ステージ前の面接でどういったスキルを持ったデザイナーを探しているのか、チーム内で成功しているデザイナーは日頃どんなプロセスを踏んでいるのか、よく質問して最終面接に役立ててください。

リファレンスチェック
一般的には口頭でオファー(内定)をもらう時にリファレンスを準備するように指示されます。身元照会のことで候補者の前職や現職の上司や同僚などに勤務状況や人物像を問い合わせることです。企業によっては必要ない場合もあります。

リファラル採用
アメリカのテック業界で採用される人材の4割がリファラル採用だと言われています。ただの縁故ではなく以前に一緒に仕事をしていたことが求められるので、上記のリファレンスチェックと同様に同僚との良い関係はたくさんあれば有利でしょう。しかし全体的な面接のプロセスは変わらないので準備と対策は必要です。

例外
例外として企業側がまだアーリーステージで面接担当者が創業者やプロダクトマネージャーの場合があります。当然担当者がデザイナーではないのでApp critiqueやProblem solving exerciseがない場合があり、面接プロセスが簡単になる可能性がある反面、上記のような対策が役に立たない場合もあるので注意が必要です。

採用されなかったら
必ずフィードバックをもらってください。採用されなかった場合多くの企業は面接後に担当者からフィードバックがもらえるので、良い点と改善すべき点をもらって次の機会に役立ててください。数カ月から1年後に再度同じ企業にチャレンジすることも可能です。

最後に
リモートワークの普及で応募できるポジションは以前に比べればはるかに多いと思います。ぜひ頑張ってください!