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新人研修はオンラインで本当に良いのか?

来年度の新人研修は対面 or オンライン?

人事の方は4月から始まる新人研修の準備を進めていると思います。新人研修だけは、なんとか対面でと考えていた人事の方も、オミクロン株の流行により、判断を迷っていると聞いています。

私は研修講師として、オンライン研修でも対面研修と同等の成果が出せるという手応えを感じています。ただ、新人研修は対面を強く推奨しています

それは、新人研修で定番となる名刺交換などの動作が伴うスキルのトレーニングは、オンラインでは困難であること理由の一つです。実際にオンラインでマナー研修を受けた今年度の新人からは、マナーについて不安だという声が寄せられています。

それ以上に大事な理由は、新人同士、あるいは人事と新人との心の交流は、オンラインでは難しいということです。

オンラインで共感が生まれるかの研究

東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太教授の研究結果をご紹介します。

学生5人1組で、学部の勉強や趣味について、対面とオンラインで会話してもらい、脳活動を比較する実験を行いました。
対面で、顔を見ながら会話しているときは、5人の脳反応の周波数が同期していたのですが、オンラインではそれが一切見られませんでした。
周波数が同期していないということは、オンラインは脳にとってはコミュニケーションになっていない、つまり、情報は伝達しているが、感情は共感していない、相手と心がつながっていないことを意味しています。

なぜ同期しないのか。その理由として川島教授は、オンラインの場合、視線が合いにくいことと音声と画像がズレることの2点を挙げています。

情報共有の3つの深度

日本報連相センターの提唱する「真・報連相」に、情報共有の3つの深度、という考え方があります。

情報共有には、深さのレベルがあるということなのです。

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新人研修では、新人同士の悩みや不安の共有だけでなく、人事や経営幹部の方からも沢山のメッセージが送られます。組織の理念、守るべきルール、新人に対する期待などです。もちろん、なぜそれが必要か、意味、目的を伝えているとは思います。

新人がそのことに共感したり、「よし、やろう!」と感じるには、メッセージの伝え手が、自分の想いとともに届ける深度3の情報共有が必要なのです。

また、同期同士の一体感を育む上でも、感情レベルのやり取りとなる深度3レベルの情報共有がポイントとなります。

オンライン研修の場合、深度2レベルでの共有は十分できると思います。ただ、波長の共有である深度3レベルでの情報共有は難しいでしょう。

新人研修はぜひ対面で

今年度の新人研修も全部オンラインという会社は多いです。そのような会社では、秋ぐらいになってもよそよそしさが抜けず、「さん」づけで名前を呼んだり、敬語を使いあっていたりします。本音でのやり取りができる関係性は十分築けていないと感じます。

新入社員にとって、これから築く人間関係や取り組む仕事への不安や悩みを分かち合う同期のつながりは重要です。

川島教授は、オンラインでのコミュニケーションが多用され続ければ、「人と関わっているけど孤独」という矛盾したことが起こってくるのではないかと推測しています。

人事の方は社内の調整が難しいとは思いますが、新人同士の心の交流の時間を確保するためにも、また会社からのメッセージに心から共感してもらうためにも、ぜひ新人研修は対面で実施しましょう。





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