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EU 欧州委員会、TEMUをVLOPに指定

先日お伝えした「TEMU、EUのDSA法違反で消費者擁護団体BEUCからイエローカード?!」の続報です。

5月31日、欧州委員会は「European Commission」のプレスリリースにて、中国発のオンラインマーケットプレイスTEMUをEUのデジタルサービス法(DSA法)に基づき超大規模オンラインプラットフォーム(Very Large Online Platform=VLOP)に指定したことを発表しました。
VLOPの恐ろしさ詳細については、別note「ヨーロッパのECファッションリーダーに急伸したSHEIN、過酷なEUデジタル規則の標的に②」で解説しています。ぜひご覧ください。

今回TEMUは、4月末に欧州委員会から指名されたSHEINより1か月遅れでのVLOP指定のため、最初の4か月間でおこなう関連事項の履行とそれに関する報告書を提出は、SHEINの8月期限から1か月後の9月が期限となっています。

欧州委員会がTEMUに求める義務は、SHEINの時とまったく同じ内容ですので、「European Commission」のプレスリリースは省略します。
詳しくご覧になりたい方は、こちらをどうぞ。

今回は、このプレスリリースを報じたスペインのニュースをご紹介しますね。

※以下、ニュース記事ではTemu表記です。



ブリュッセル、Temuを規制強化の対象となる大規模プラットフォームに指定

欧州連合(EU)で月間4,500万人以上のユーザーを持つプラットフォームTemuは、デジタルサービス法(DSA)に基づき、欧州委員会(EC)から正式に超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)に指定された。

ECの声明によると、この任命は、新法が要求する基準値を超える多数のユーザーによるもので、Temuは2024年9月末までの4ヶ月間、DSAの厳格な規則を遵守する必要がある。これらの基準には、システミックリスクの評価と軽減、偽造品、安全でない製品、違法製品の販売、知的財産権の保護などが含まれる。

Temuは、違法商品の厳格な監視を実施し、違法コンテンツの拡散に関する特定のリスクを分析し、モデレーションシステムを改善しなければならない。さらに、内部プロセスを強化し、外部監査を受けるためのリスク評価報告書を毎年提出しなければならない。

義務には、消費者、特に未成年者の健康と安全に対するあらゆる悪影響を評価し、これらのリスクを軽減するためにプラットフォームを構造化することが含まれる。これは、推奨アルゴリズムの改善から、年齢制限のある商品の購入を制限する年齢保証システムの導入まで多岐にわたる。

加えて、Temuはリスク評価と法的義務の遵守において透明性を確保し、発表のリポジトリを公開し、権限を与えられた研究者にデータへのアクセスを提供しなければならない。さらに、コンプライアンス部門を指定し、毎年外部監査を受けなければならない。

一般デジタルサービス法(DSA)の遵守

2024年2月17日以降、Temuを含むすべてのオンライン・プラットフォームは、取引業者のトレーサビリティの確保、違法商品に関する消費者への情報提供、違法コンテンツの報告メカニズムの提供など、DSAの一般的義務を遵守しなければならない。

欧州委員会は、アイルランドのデジタルサービス調整機関と協力して消費者保護を確保し、違法商品の蔓延に取り組むため、Temuのコンプライアンスを注意深く監視すると警告した。欧州委員会は、Temuと緊密に協力し、すべての義務が適切に順守されるよう尽力すると述べた。

この新たな指定は、欧州委員会がいかに市場の動向を注視しているかを浮き彫りにするものである。これまでのところ、24の超大型プラットフォームと検索エンジンが新規則の下で指定されている。同法の監督と施行は、欧州委員会と加盟国が指定するデジタルサービス・コーディネーターが分担しておこなう。

Source:Bruselas designa a Temu como plataforma de gran tamaño sometiéndose así a una mayor regulación(ecommerce-news)

おわりに

先月の5月中旬、実に17か国の欧州の消費者擁護団体(BEUC)とそれに関連する団体らによって、TEMUはEUに苦情の申し立てをされたわけですが、そこからの欧州委員会の動きは速かった!
今、そんな印象を受けています。

EUでは最近、こうした格安オンラインショップを煙たがって排除したい動きもあるとかないとか…そんな話を聞きます。

巨大化が止まらないSHEINとTEMU

しかしこれだけ多くの国で人々に浸透し、巨大化が止まらないプラットフォームは、もう誰も、いや国でさえも止められないのではないかとすら思えてきます。

Forbesの記事によれば、

顧客に適切な時間で製品を届けるために、SHEINとTemu両社は航空貨物に大きく依存している。Cargo Facts Consultingの2月の調査によると、SHEINとTemuを合わせて毎日約9,000トン、言い換えればボーイング777型の貨物機約88機が満杯の状態の貨物を世界中に輸送している。(Planespotters社によると、この規模はアマゾンのプライム・エアの86機に匹敵するという。)

これにより、価格は前例のないレベルにまで上昇した。ゼネタの最新データによると、これまでのところ、中国南部から米国への5月の航空貨物の「平均スポット料金」は約4.75ドルで、昨年末以来の高値となり、ホリデーシーズン前の需要ピーク時の料金に匹敵する。これは、2019年の同時期の料金が1キログラムあたり2.32ドルだったことの2倍以上である。

Forbes

…とのこと!

現在、一部の物流会社や航空会社では中国間のフライト数を増やしており、中国政府もまた「主に国境を越えた電子商取引の貨物輸送に対応する」と、中国ー米国間の新たな航空貨物路線を大々的に宣伝しているほどで、それは今や航空貨物にとどまらず、特にTEMUによって海上輸送界でも異常事態となっているようです。

Source:You’re Buying So Much From Temu And Shein The Air Cargo Industry Can’t Keep Up(Forbes)

このような記事を読むと、今回の欧州委員会のSHEINとTEMUをVLOP指定したことは、少しでも自国の企業を守るための苦肉の策にも見えてきます。


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